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「これは?」
「あぁ、それ?驚くほど綺麗な物だったからおじょー様とか好きかな~って思ったけど、いらないなら捨ててくれよ。ルイビルにはそういう物多いだろうし、君にとっちゃ安モンだろ─」
「わあー!可愛い蝶じゃない!こんなに小さなガラス細工なんて作れるのね!」
「…」
「あ、な、何見てるのよ?」
「い、いや、そんな感じに喜ぶんだなーって見てただけだよ」
「あら、喜んで悪い?有難く使わせて貰うわ」
私は手の中にある小さな蝶のキンホルダーをそっと触った。手作りであろうガラス細工の美しい蝶にビーズが小さく付けられている。とても可愛い。こんな物を貰うのは初めてだった。いつも宝石とかそんなのばかりで飽きてしまう。案外、女心がわかってるじゃない。
「喜んでくれて何よりだ」
「あ、このパンはりんごが入っているの?」
「そう、りんごと蜂蜜を練ったパン。甘くて美味いぜ」
「貴方甘い物が好きなの?以外ね」
「悪かったな」
ファクトは満更でもない顔をよそにパンを手にとった。そっと見つめているとぱっと横から手が伸びてパンを少し掴んで口に入れた。
「ほら─美味いぞ?」
「あぁ!!」
「なんだよ、その顔?毒味してやってんだろー、そうじゃないと食べれないだろ?」
私は思わず声に出して言ってしまった。そうだった。勝手に人から貰ったものを食べてはいけないと千度言われていた。それを素性も分からないファクトの方が覚えていたなんて…屈辱。
「まさか、毒が入ってないと普通に食べようとしてたのか?ハハッ、このディーレ様は、ハハッ!」
「な、何よ!」
「おじょー様は本当に王族かよ?人を信用し過ぎだぞ?てか、俺が部屋に入ってきた状態で従者も呼ばないし、侵入ルートも聞かないのか??国王陛下様に何かあったらどうすんだよ?」
「…じゃ、今から騎士を呼べば貴方は牢獄行きよ?そして、全て吐くまで返さないんだから!」
「ハハハッ、言われたままじゃないか。まぁそれもそれで良いけど、セレジェイラ城に張ってある結界、本の少しだけ弱ってきているぞ?あと、誰もが入らないって思ってたら駄目だ。俺と同じ奴が此処にくる可能性がある」
「弱ってるってどういう事よ?同じ人って追ってきた人?て言うか、何故あなたがそれを知っているの?私達しか知らないはずよ?」
「質問攻めだな。一週間前は多分入れなかっただろうが、最近は特殊な魔力が使える俺みたいな特定人物は入れる。もし入ってきたらそれは俺の敵だ。奴らはディーレおじょー様も殺しに来るぞ。一番はお前の父、そして第一王子と第二王子。俺からの警告、助けて貰った代わりだ」
「それってどういうこと…?ファクトと同じ人は入れるって何があるの?」
「それは─」
《コンコン》
ファクトとの真剣な話に突如扉の音が響いた。すると何かを察したのかファクトはまずいと呟き、窓に手をかけた。
「ま、待っ─」
《ディーレ?レイディオだけど…中に誰かいるの?》
「あ、レイディオちょっと待ってて!」
《はーい》
「ディーレ、俺は行くよ。彼らにあったら俺のことすぐに気付かれるだろうし。ここの王族とか凄い魔力の能力ばっか、流石にこの状況で第二王子に会う訳にはいかないしな」
「待ってよ、さっきの事、どういうことよ??」
「それ、ちゃんと隠しとけよ?次は会えないだろうが、会いたけりゃキンホルダーを離さず持ってろ」
「わ、分かったけど…何かあるの?これ…」
「少しだけ守る為の魔法を込めてある。だから安心しろ。命拾いしたし、この件が終わるまで俺はこの街にいるから、じゃ」
「あっ!」
そう言うと強い風が吹き、目を一瞬閉じてしまったが目を開けると何処にもファクトの姿は無かった。
《ディーレ?何してるの?》
「あっ、ちょっと待って!服が…途中なの!」
《…》
そう言って窓とカーテンを閉めて、袋を机の中に隠した。うっかりしてまだパジャマ姿…。再び服を羽織って髪を整えた。
「あぁ、それ?驚くほど綺麗な物だったからおじょー様とか好きかな~って思ったけど、いらないなら捨ててくれよ。ルイビルにはそういう物多いだろうし、君にとっちゃ安モンだろ─」
「わあー!可愛い蝶じゃない!こんなに小さなガラス細工なんて作れるのね!」
「…」
「あ、な、何見てるのよ?」
「い、いや、そんな感じに喜ぶんだなーって見てただけだよ」
「あら、喜んで悪い?有難く使わせて貰うわ」
私は手の中にある小さな蝶のキンホルダーをそっと触った。手作りであろうガラス細工の美しい蝶にビーズが小さく付けられている。とても可愛い。こんな物を貰うのは初めてだった。いつも宝石とかそんなのばかりで飽きてしまう。案外、女心がわかってるじゃない。
「喜んでくれて何よりだ」
「あ、このパンはりんごが入っているの?」
「そう、りんごと蜂蜜を練ったパン。甘くて美味いぜ」
「貴方甘い物が好きなの?以外ね」
「悪かったな」
ファクトは満更でもない顔をよそにパンを手にとった。そっと見つめているとぱっと横から手が伸びてパンを少し掴んで口に入れた。
「ほら─美味いぞ?」
「あぁ!!」
「なんだよ、その顔?毒味してやってんだろー、そうじゃないと食べれないだろ?」
私は思わず声に出して言ってしまった。そうだった。勝手に人から貰ったものを食べてはいけないと千度言われていた。それを素性も分からないファクトの方が覚えていたなんて…屈辱。
「まさか、毒が入ってないと普通に食べようとしてたのか?ハハッ、このディーレ様は、ハハッ!」
「な、何よ!」
「おじょー様は本当に王族かよ?人を信用し過ぎだぞ?てか、俺が部屋に入ってきた状態で従者も呼ばないし、侵入ルートも聞かないのか??国王陛下様に何かあったらどうすんだよ?」
「…じゃ、今から騎士を呼べば貴方は牢獄行きよ?そして、全て吐くまで返さないんだから!」
「ハハハッ、言われたままじゃないか。まぁそれもそれで良いけど、セレジェイラ城に張ってある結界、本の少しだけ弱ってきているぞ?あと、誰もが入らないって思ってたら駄目だ。俺と同じ奴が此処にくる可能性がある」
「弱ってるってどういう事よ?同じ人って追ってきた人?て言うか、何故あなたがそれを知っているの?私達しか知らないはずよ?」
「質問攻めだな。一週間前は多分入れなかっただろうが、最近は特殊な魔力が使える俺みたいな特定人物は入れる。もし入ってきたらそれは俺の敵だ。奴らはディーレおじょー様も殺しに来るぞ。一番はお前の父、そして第一王子と第二王子。俺からの警告、助けて貰った代わりだ」
「それってどういうこと…?ファクトと同じ人は入れるって何があるの?」
「それは─」
《コンコン》
ファクトとの真剣な話に突如扉の音が響いた。すると何かを察したのかファクトはまずいと呟き、窓に手をかけた。
「ま、待っ─」
《ディーレ?レイディオだけど…中に誰かいるの?》
「あ、レイディオちょっと待ってて!」
《はーい》
「ディーレ、俺は行くよ。彼らにあったら俺のことすぐに気付かれるだろうし。ここの王族とか凄い魔力の能力ばっか、流石にこの状況で第二王子に会う訳にはいかないしな」
「待ってよ、さっきの事、どういうことよ??」
「それ、ちゃんと隠しとけよ?次は会えないだろうが、会いたけりゃキンホルダーを離さず持ってろ」
「わ、分かったけど…何かあるの?これ…」
「少しだけ守る為の魔法を込めてある。だから安心しろ。命拾いしたし、この件が終わるまで俺はこの街にいるから、じゃ」
「あっ!」
そう言うと強い風が吹き、目を一瞬閉じてしまったが目を開けると何処にもファクトの姿は無かった。
《ディーレ?何してるの?》
「あっ、ちょっと待って!服が…途中なの!」
《…》
そう言って窓とカーテンを閉めて、袋を机の中に隠した。うっかりしてまだパジャマ姿…。再び服を羽織って髪を整えた。
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