110 / 519
いざ、中忍体!
第104話:控室にて
しおりを挟む
「ほっほっほ。今年の1年生は元気だのう。」
林道が重清達の様子を見ている。
「しかしノリよ、今日はゆっくりしてもおれんだろう?他の参加校は、既に向こうへ行っておるぞ?」
「早いんですね。ちなみに今回の参加校は?」
「ワシの立場で、それを言えるとでも??」
「失礼しました。では早速、お願いします。」
「ホレ、アケ。後は頼んだぞ。」
「はぁ~い。」
あけみ姉さんが気怠そうにそう言って、重清達のいつもの席の近くに掛かった、一軒家の描かれた絵に手を向ける。
すると、いつも部室で付かう掛け軸と同じように輝きだし、描かれた家の扉がひとりでに開き始める。
「いつも浸かってた積のすぐ近くに、こんな仕掛けがあったんですね。」
それを見た茜が、そう言葉を漏らす。
「ま、扉を開けるのは決められた者だけなんだけどね。」
あけみ姉さんが、得意そうにそう返して続ける。
「そもそも、この奥の席は忍者専用だからね。」
「え、そうなの!?」
重清が驚いて声を出すと、
「そうだよ。忍者じゃない人は、こっちの席には『なんとなく行きたくなくなる』ようになっているし、ある程度の言葉なら漏れないようになってるからね。特に平八様は、好んであの席を使ってらっしゃったのよ。」
そう言ってあけみ姉さんは、いつも重清達が使う席を懐かしそうに見る。
「じゃぁ、時々この辺りに座っている人達って、忍者なんですか?」
聡太が居うと、
「まぁ、そうなるね。時々言われたもんだよ。『なんであのガキ共があの席に座っているんだー』ってね。みんな、あそこが平八様の特等席だって知ってるから、そりゃもう怒ってたよ。」
「えっと、それ、大丈夫なんですか?」
茜が不安そうに言う。
「気にしなくていいよ。そう言う人達には、『あの子が平八様のお孫さんだ』って言えば、みんな納得してたからね。」
そう言って重清を見るあけみ姉さん。
「じいちゃんって、ホントに凄い人だったんだね。」
「ほっほっほ。あの方の素晴らしさは、そう簡単には説明できませんからのぉ。っと、その話はまた今度にしましょう。」
そう言って重清に微笑みかけた林道は、
「あの扉に触れれば、会場まで行けるからのぉ。皆、健闘を祈っておるぞ。」
そう言ってノリに目を向ける。
それにノリは頷き返し、
「じゃぁみんな、行くぞ。オウさん、アケさん。行って参ります。」
そう言って絵に触れ、その先へと消えていく。
そしてショウ達が林道とあけみ姉さんに会釈をし、ノリへと続いて行った。
「えっと、じゃぁ、オウさん、あけみ姉さん、行ってきます!」
「えぇ。またコーヒー飲みにいらっしゃい。」
「いつか、平八様のお話をゆっくりいたしましょう。」
重清は2人に笑いかけて、そのまま絵の先へと消えていき、ソウ達もまたオウとあけみ姉さんに頭を下げて会場へと向かうのであった。
「ここって・・・・」
目の眩む光から開放されたアカが周りを見て、そんな声を漏らしていた。
「いつもの部室じゃねーか。」
それに続くように、恒久が呟く。
「そう思うのも無理はないか。一応、ここが会場だよ。正確には、あの扉の先が会場で、ここは控室みたいなもんだがな。控室は、各中学の部室が真似られているんだ。お前等が緊張しないように、ってな。」
そう言って、ノリは目の前の扉を指す。
社会科研究部の部室であれば図書館に、そして忍者部の部室であればいつも修行を行う場へとつながるはずのその扉は、今は固く閉ざされているようであった。
重清達がその扉を見つめていると、
「ひとまず、お前ら座れ。もう少ししたら始まるはずたから、今のうちに今日の出場者を伝えておく。」
ノリがそう言って扉の前に立つ。
それぞれが適当に座ったところで、ノリが口を開く。
「まずはショウ。お前がリーダーだ。」
「はーい。」
ショウが頷く。
「そして、2年の3人。」
「発表が雑っ!」
シンがつっこむ。
「最後に、1年からはソウと重清に出てもらう。もちろん、プレッソとチーノにもな。」
「「はいっ!」」
「おぅ!」
「えぇ。」
それぞれが返事をすると、
「重清、お前に言っておくことがある。」
「へい?」
重清が間の抜けた声を出すと、
「今回お前が出られるのは、プレッソとチーノがいるからこそ、だ。確かにお前の銃が強力なのは認めるが、プレッソ達がいなければ、恒久やアカを選んだ可能性も十分にある。
くれぐれも、調子に乗らないようにな。」
「わかってますって!おれ、そんなに調子に乗るようにみえます!?」
「シゲは、調子に乗りやすいんじゃなくて、気持ちの浮き沈みが意外と激しいだけだよね?」
ソウがフォローにならないフォローを入れる。
「シン、ケン、ノブ、それにソウ。お前らも出場は初めてなんだ。油断せず、慎重に全力でいけ!」
「「「「はい(うっす)!」」」」
(慎重に全力でって。)
恒久が密かに心の中でつっこむ。
いい感じの流れを止めないように。
「ショウ、お前が唯一の中忍体経験者だ。しっかりとこいつらを引っ張ってやれ!」
「はーい。」
「それから恒久、アカ。悪いが今回は応援だ。さっき重清に言ったように、お前らが出る可能性も十分にあったんだ。
これで腐らず、しっかりと見ていろ!」
「「はい。」」
「キーンコーンカーンコーン」
その時、部屋の中にチャイムが鳴り響く。
林道が重清達の様子を見ている。
「しかしノリよ、今日はゆっくりしてもおれんだろう?他の参加校は、既に向こうへ行っておるぞ?」
「早いんですね。ちなみに今回の参加校は?」
「ワシの立場で、それを言えるとでも??」
「失礼しました。では早速、お願いします。」
「ホレ、アケ。後は頼んだぞ。」
「はぁ~い。」
あけみ姉さんが気怠そうにそう言って、重清達のいつもの席の近くに掛かった、一軒家の描かれた絵に手を向ける。
すると、いつも部室で付かう掛け軸と同じように輝きだし、描かれた家の扉がひとりでに開き始める。
「いつも浸かってた積のすぐ近くに、こんな仕掛けがあったんですね。」
それを見た茜が、そう言葉を漏らす。
「ま、扉を開けるのは決められた者だけなんだけどね。」
あけみ姉さんが、得意そうにそう返して続ける。
「そもそも、この奥の席は忍者専用だからね。」
「え、そうなの!?」
重清が驚いて声を出すと、
「そうだよ。忍者じゃない人は、こっちの席には『なんとなく行きたくなくなる』ようになっているし、ある程度の言葉なら漏れないようになってるからね。特に平八様は、好んであの席を使ってらっしゃったのよ。」
そう言ってあけみ姉さんは、いつも重清達が使う席を懐かしそうに見る。
「じゃぁ、時々この辺りに座っている人達って、忍者なんですか?」
聡太が居うと、
「まぁ、そうなるね。時々言われたもんだよ。『なんであのガキ共があの席に座っているんだー』ってね。みんな、あそこが平八様の特等席だって知ってるから、そりゃもう怒ってたよ。」
「えっと、それ、大丈夫なんですか?」
茜が不安そうに言う。
「気にしなくていいよ。そう言う人達には、『あの子が平八様のお孫さんだ』って言えば、みんな納得してたからね。」
そう言って重清を見るあけみ姉さん。
「じいちゃんって、ホントに凄い人だったんだね。」
「ほっほっほ。あの方の素晴らしさは、そう簡単には説明できませんからのぉ。っと、その話はまた今度にしましょう。」
そう言って重清に微笑みかけた林道は、
「あの扉に触れれば、会場まで行けるからのぉ。皆、健闘を祈っておるぞ。」
そう言ってノリに目を向ける。
それにノリは頷き返し、
「じゃぁみんな、行くぞ。オウさん、アケさん。行って参ります。」
そう言って絵に触れ、その先へと消えていく。
そしてショウ達が林道とあけみ姉さんに会釈をし、ノリへと続いて行った。
「えっと、じゃぁ、オウさん、あけみ姉さん、行ってきます!」
「えぇ。またコーヒー飲みにいらっしゃい。」
「いつか、平八様のお話をゆっくりいたしましょう。」
重清は2人に笑いかけて、そのまま絵の先へと消えていき、ソウ達もまたオウとあけみ姉さんに頭を下げて会場へと向かうのであった。
「ここって・・・・」
目の眩む光から開放されたアカが周りを見て、そんな声を漏らしていた。
「いつもの部室じゃねーか。」
それに続くように、恒久が呟く。
「そう思うのも無理はないか。一応、ここが会場だよ。正確には、あの扉の先が会場で、ここは控室みたいなもんだがな。控室は、各中学の部室が真似られているんだ。お前等が緊張しないように、ってな。」
そう言って、ノリは目の前の扉を指す。
社会科研究部の部室であれば図書館に、そして忍者部の部室であればいつも修行を行う場へとつながるはずのその扉は、今は固く閉ざされているようであった。
重清達がその扉を見つめていると、
「ひとまず、お前ら座れ。もう少ししたら始まるはずたから、今のうちに今日の出場者を伝えておく。」
ノリがそう言って扉の前に立つ。
それぞれが適当に座ったところで、ノリが口を開く。
「まずはショウ。お前がリーダーだ。」
「はーい。」
ショウが頷く。
「そして、2年の3人。」
「発表が雑っ!」
シンがつっこむ。
「最後に、1年からはソウと重清に出てもらう。もちろん、プレッソとチーノにもな。」
「「はいっ!」」
「おぅ!」
「えぇ。」
それぞれが返事をすると、
「重清、お前に言っておくことがある。」
「へい?」
重清が間の抜けた声を出すと、
「今回お前が出られるのは、プレッソとチーノがいるからこそ、だ。確かにお前の銃が強力なのは認めるが、プレッソ達がいなければ、恒久やアカを選んだ可能性も十分にある。
くれぐれも、調子に乗らないようにな。」
「わかってますって!おれ、そんなに調子に乗るようにみえます!?」
「シゲは、調子に乗りやすいんじゃなくて、気持ちの浮き沈みが意外と激しいだけだよね?」
ソウがフォローにならないフォローを入れる。
「シン、ケン、ノブ、それにソウ。お前らも出場は初めてなんだ。油断せず、慎重に全力でいけ!」
「「「「はい(うっす)!」」」」
(慎重に全力でって。)
恒久が密かに心の中でつっこむ。
いい感じの流れを止めないように。
「ショウ、お前が唯一の中忍体経験者だ。しっかりとこいつらを引っ張ってやれ!」
「はーい。」
「それから恒久、アカ。悪いが今回は応援だ。さっき重清に言ったように、お前らが出る可能性も十分にあったんだ。
これで腐らず、しっかりと見ていろ!」
「「はい。」」
「キーンコーンカーンコーン」
その時、部屋の中にチャイムが鳴り響く。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
異世界に行けるようになったんだが自宅に令嬢を持ち帰ってしまった件
シュミ
ファンタジー
高二である天音 旬はある日、女神によって異世界と現実世界を行き来できるようになった。
旬が異世界から現実世界に帰る直前に転びそうな少女を助けた結果、旬の自宅にその少女を持ち帰ってしまった。その少女はリーシャ・ミリセントと名乗り、王子に婚約破棄されたと話し───!?
その狂犬戦士はお義兄様ですが、何か?
行枝ローザ
ファンタジー
美しき侯爵令嬢の側には、強面・高背・剛腕と揃った『狂犬戦士』と恐れられる偉丈夫がいる。
貧乏男爵家の五人兄弟末子が養子に入った魔力を誇る伯爵家で彼を待ち受けていたのは、五歳下の義妹と二歳上の義兄、そして王都随一の魔術後方支援警護兵たち。
元・家族の誰からも愛されなかった少年は、新しい家族から愛されることと癒されることを知って強くなる。
これは不遇な微魔力持ち魔剣士が凄惨な乳幼児期から幸福な少年期を経て、成長していく物語。
※見切り発車で書いていきます(通常運転。笑)
※エブリスタでも同時連載。2021/6/5よりカクヨムでも後追い連載しています。
※2021/9/15けっこう前に追いついて、カクヨムでも現在は同時掲載です。
婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね
いくみ
ファンタジー
パトリシアは卒業パーティーで婚約者の王子から婚約破棄を言い渡される。
しかし、これは、本人が待ちに待った結果である。さぁこれからどうやって私の13年を返して貰いましょうか。
覚悟して下さいませ王子様!
転生者嘗めないで下さいね。
追記
すみません短編予定でしたが、長くなりそうなので長編に変更させて頂きます。
モフモフも、追加させて頂きます。
よろしくお願いいたします。
カクヨム様でも連載を始めました。
異世界でのんびり暮らしたい!?
日向墨虎
ファンタジー
前世は孫もいるおばちゃんが剣と魔法の異世界に転生した。しかも男の子。侯爵家の三男として成長していく。家族や周りの人たちが大好きでとても大切に思っている。家族も彼を溺愛している。なんにでも興味を持ち、改造したり創造したり、貴族社会の陰謀や事件に巻き込まれたりとやたらと忙しい。学校で仲間ができたり、冒険したりと本人はゆっくり暮らしたいのに・・・無理なのかなぁ?
転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。
Gai
ファンタジー
不慮の事故で亡くなった後、異世界に転生した高校生、鬼島迅。
そんな彼が生まれ落ちた家は、貴族。
しかし、その家の住人たちは国内でも随一、乱暴者というイメージが染みついている家。
世間のその様なイメージは……あながち間違ってはいない。
そんな一家でも、迅……イシュドはある意味で狂った存在。
そしてイシュドは先々代当主、イシュドにとってひい爺ちゃんにあたる人物に目を付けられ、立派な暴君戦士への道を歩み始める。
「イシュド、学園に通ってくれねぇか」
「へ?」
そんなある日、父親であるアルバから予想外の頼み事をされた。
※主人公は一先ず五十後半の話で暴れます。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる