109 / 519
いざ、中忍体!
第103話:中忍体会場へ
しおりを挟む
重清が琴音と約束をした翌日の早朝。
「よし、全員揃ったな。」
忍が丘第2中学校の校門前で、ノリが周りを見渡しながら言う。
「よっし、じゃぁ、会場に向かうぞ。」
「あれ?」
そう言って校門を背に歩き出すノリを見て、重清が声を出す。
「ノリさん、会場って部室から行かないんですか?」
「ん?言ってなかったか?会場には別の場所から行くんだよ。
っていうか、集合をここにした時点で、そのくらい気付けよ。
いつも、休みの日だって部室に入ってるだろ?」
「「あ。」」
重清と同時に、恒久も声を漏らす。
「恒久、お前もか。」
「なははは。」
「ったく。少しはソウとアカを見習って頭使えよ。」
ノリの言葉に2人が聡太と茜に目を向けると、茜がそっと目をそらしていた。
「おいっ!茜、お前も分かってなかっただろ!?」
「えっと・・・・それよりノリさん!これからどこに向かうんですか!?」
恒久のつっこみに、茜が無理矢理話題を変える。
「着いてくりゃわかるよ。まぁ、お前ら1年もよく知ってるトコだがな。」
そう言ってノリが歩き出し、ショウ達がそれに着いていく。
重清達1年生メンバーは、お互いに顔を見合わせ、肩をすくめて先輩達の後に続いていく。
その道中、重清の側を歩いていたチーノが、フワッとノリの肩へ飛び乗り、
「ノリ、今日の夕方、雅が家にいらっしゃいって。もちろん、私も一緒にね。なんのことだか、わかるわよね?」
そう言ってグッとノリの肩に爪を食い込ませて、チーノはその場から飛び降りる。
「・・・・」
チーノの言葉に、ノリはただただ茜を睨む。
「あ、わたしもみーちゃんから伝言!『あっちゃんに報復しようとしたら、ただじゃおかないよ。』だそうです!」
「雅様を後ろ盾にするとは。アカめ・・・」
そう呟いたノリは、肩を落としてあるき続けるのであった。
そして一同がしばらく歩いていると。
(この道って・・・)
聡太が周りを見てそう思っていると、プレッソを頭に乗せた重清と目が合った。
どうやら重清も同じことを考えていると思った聡太は、重清に頷いて歩みを進めた。
そしてノリは、ある建物の前で立ち止まる。
それに合わせて重清達も立ち止まり、目の前の建物に目を向ける。
『準備中』と書かれた札の掛かった扉。
そして扉の近くにあった看板には『喫茶 中央公園』の文字。
「ノリさん、会場って、ここから?」
重清が、ノリに話しかけると、ノリはただニヤリと笑って、準備中の札も気にせず店内へと入っていく。
それに続いて一同も、店内に足を踏み入れる。
「いらっしゃーい。」
重清達の耳に、いつもの声が聞こえてくる。
「あ、あけみ姉さん!?と、誰??」
忍者部一同を迎え入れたのは、『喫茶 中央公園』の店員、あけみ姉さんと、見知らぬ初老の男であった。
「キミが、平八様のお孫さんですな。」
男は、そう言って重清に笑いかける。
「この店にはよく来ていただいているのに、お会いするのは初めてでしたな。ワシは林道と申します。忍名を、甲賀オウ。この店のマスターをしております。」
「おぉっ!!幻のマスター!!あれ?ってことは??」
何年も通っていた店のマスターに初めて出会って興奮した重清は、叫んだあとにふと、あけみ姉さんに目を向ける。
「ふっふっふ。そう、この私、黒屋朱美は、忍者、甲賀アケだったのさ!!」
ババァーーン!という効果音でも聞こえてきそうなくらいのドヤ顔で、あけみ姉さんが胸を張る。
「えぇ!?あけみ姉さん、黒屋って名字だったの!?」
「いや、そこじゃねーだろ!!」
重清の小ボケをしっかりと捕球する恒久。
相変わらずのキレである。
「っていうかお前ら、アケさんと知り合いだったのか?」
シンが、そんな重清達に呆れながら言う。
「はい。ぼく達、よくこのお店に来てたんです。」
ソウが、シンに返す。
「・・・よくこんな店、見つけたな。」
ケンが呟くと、
「ちょっとケン君!?こんな店、って失礼じゃないかい!」
あけみ姉さんがそう言ってケンを睨むと、ケンはスススッとノブの後ろに隠れてしまう。
「はっはっは!アケさん!コイツに悪気はないんです!許してやって下さい!」
ノブがそう言ってケン庇うのであった。
ノブは、いつもボロっカスに言ってくるケンをも庇う、優しきゴリラなのである。
「ケン、ちょっと言い過ぎだよ~?ノブも、ケンを甘やかさないの。」
ショウそう言って苦笑いしている。
そんな中、
「オウさん、アケさん、お久しぶりです。」
ノリが、そう言って2人に頭を下げる。
「久しぶりじゃな、ノリ。お前のところは、いつもこんな感じなのか?」
自己紹介をして以降、全く触れられなかった林道が、そう言ってノリに笑いかける。
「はい。大体は、重清、平八様のお孫さんが原因なのですが・・・」
「ほっほっほ。いつの間にか話の流れを違う方向に持っていってしまうとは。平八様を思い出すのぉ。」
懐かしそうにそう言う林道の言葉に、
「確かに、平八様はいっつも、いつの間にか話が脱線していたわねぇ。」
あけみ姉さんもそう言って微笑んで重清に目を向ける。
「おれって、そんなに話の流れ、変えてる!?」
「自覚ないんかいっ!!」
ショウ達先輩を含めた、忍者部一同が重清につっこむのであった。
「よし、全員揃ったな。」
忍が丘第2中学校の校門前で、ノリが周りを見渡しながら言う。
「よっし、じゃぁ、会場に向かうぞ。」
「あれ?」
そう言って校門を背に歩き出すノリを見て、重清が声を出す。
「ノリさん、会場って部室から行かないんですか?」
「ん?言ってなかったか?会場には別の場所から行くんだよ。
っていうか、集合をここにした時点で、そのくらい気付けよ。
いつも、休みの日だって部室に入ってるだろ?」
「「あ。」」
重清と同時に、恒久も声を漏らす。
「恒久、お前もか。」
「なははは。」
「ったく。少しはソウとアカを見習って頭使えよ。」
ノリの言葉に2人が聡太と茜に目を向けると、茜がそっと目をそらしていた。
「おいっ!茜、お前も分かってなかっただろ!?」
「えっと・・・・それよりノリさん!これからどこに向かうんですか!?」
恒久のつっこみに、茜が無理矢理話題を変える。
「着いてくりゃわかるよ。まぁ、お前ら1年もよく知ってるトコだがな。」
そう言ってノリが歩き出し、ショウ達がそれに着いていく。
重清達1年生メンバーは、お互いに顔を見合わせ、肩をすくめて先輩達の後に続いていく。
その道中、重清の側を歩いていたチーノが、フワッとノリの肩へ飛び乗り、
「ノリ、今日の夕方、雅が家にいらっしゃいって。もちろん、私も一緒にね。なんのことだか、わかるわよね?」
そう言ってグッとノリの肩に爪を食い込ませて、チーノはその場から飛び降りる。
「・・・・」
チーノの言葉に、ノリはただただ茜を睨む。
「あ、わたしもみーちゃんから伝言!『あっちゃんに報復しようとしたら、ただじゃおかないよ。』だそうです!」
「雅様を後ろ盾にするとは。アカめ・・・」
そう呟いたノリは、肩を落としてあるき続けるのであった。
そして一同がしばらく歩いていると。
(この道って・・・)
聡太が周りを見てそう思っていると、プレッソを頭に乗せた重清と目が合った。
どうやら重清も同じことを考えていると思った聡太は、重清に頷いて歩みを進めた。
そしてノリは、ある建物の前で立ち止まる。
それに合わせて重清達も立ち止まり、目の前の建物に目を向ける。
『準備中』と書かれた札の掛かった扉。
そして扉の近くにあった看板には『喫茶 中央公園』の文字。
「ノリさん、会場って、ここから?」
重清が、ノリに話しかけると、ノリはただニヤリと笑って、準備中の札も気にせず店内へと入っていく。
それに続いて一同も、店内に足を踏み入れる。
「いらっしゃーい。」
重清達の耳に、いつもの声が聞こえてくる。
「あ、あけみ姉さん!?と、誰??」
忍者部一同を迎え入れたのは、『喫茶 中央公園』の店員、あけみ姉さんと、見知らぬ初老の男であった。
「キミが、平八様のお孫さんですな。」
男は、そう言って重清に笑いかける。
「この店にはよく来ていただいているのに、お会いするのは初めてでしたな。ワシは林道と申します。忍名を、甲賀オウ。この店のマスターをしております。」
「おぉっ!!幻のマスター!!あれ?ってことは??」
何年も通っていた店のマスターに初めて出会って興奮した重清は、叫んだあとにふと、あけみ姉さんに目を向ける。
「ふっふっふ。そう、この私、黒屋朱美は、忍者、甲賀アケだったのさ!!」
ババァーーン!という効果音でも聞こえてきそうなくらいのドヤ顔で、あけみ姉さんが胸を張る。
「えぇ!?あけみ姉さん、黒屋って名字だったの!?」
「いや、そこじゃねーだろ!!」
重清の小ボケをしっかりと捕球する恒久。
相変わらずのキレである。
「っていうかお前ら、アケさんと知り合いだったのか?」
シンが、そんな重清達に呆れながら言う。
「はい。ぼく達、よくこのお店に来てたんです。」
ソウが、シンに返す。
「・・・よくこんな店、見つけたな。」
ケンが呟くと、
「ちょっとケン君!?こんな店、って失礼じゃないかい!」
あけみ姉さんがそう言ってケンを睨むと、ケンはスススッとノブの後ろに隠れてしまう。
「はっはっは!アケさん!コイツに悪気はないんです!許してやって下さい!」
ノブがそう言ってケン庇うのであった。
ノブは、いつもボロっカスに言ってくるケンをも庇う、優しきゴリラなのである。
「ケン、ちょっと言い過ぎだよ~?ノブも、ケンを甘やかさないの。」
ショウそう言って苦笑いしている。
そんな中、
「オウさん、アケさん、お久しぶりです。」
ノリが、そう言って2人に頭を下げる。
「久しぶりじゃな、ノリ。お前のところは、いつもこんな感じなのか?」
自己紹介をして以降、全く触れられなかった林道が、そう言ってノリに笑いかける。
「はい。大体は、重清、平八様のお孫さんが原因なのですが・・・」
「ほっほっほ。いつの間にか話の流れを違う方向に持っていってしまうとは。平八様を思い出すのぉ。」
懐かしそうにそう言う林道の言葉に、
「確かに、平八様はいっつも、いつの間にか話が脱線していたわねぇ。」
あけみ姉さんもそう言って微笑んで重清に目を向ける。
「おれって、そんなに話の流れ、変えてる!?」
「自覚ないんかいっ!!」
ショウ達先輩を含めた、忍者部一同が重清につっこむのであった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる