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番外編3.ずっとここにいたい

83.兄ちゃんに心配された

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 シーニュと別れ、オーフィザン様を探して走っていると、兄ちゃんが廊下で窓拭きをしていた。

 僕の世話、というか、僕がお城で騒ぎを起こさないようにするための見張り役としてここに来た兄ちゃんは、お城の雑用までは言いつけられていないのに「ここに置いていただいているのだから、それなりの仕事をしなくては申し訳ない」と言って、朝から晩まで忙しく働いている。兄ちゃんはすごく真面目で働き者。

「兄ちゃん!」
「クラジュ? どうしたんだ?」
「オーフィザン様、どこにいるか知らない?」
「いいや。今日はまだお見かけしていない。お前、その格好……」
「あ、これ……破れちゃったんだ……」

 僕は、スカートをつまんで見せた。

「そ、それで、今からオーフィザン様に謝りにいかないと……」
「クラジュ……オーフィザン様からいただいたものは大切に扱わないとダメだろう。それに…………と、とにかく、何か上に羽織りなさい!!」
「でも……もう服、ないんだもん……」
「オーフィザン様からいただいていないのか?」
「……」
「……クラジュ……? どうなんだ? 何かあったのか?」
「……え、えっと……」
「……クラジュ、話すんだ」
「うううー……」

 兄ちゃんに隠し事は無理か……

 僕は仕方なく、いただいた服を台無しにしてしまったことを話した。

 僕の話を聞いた兄ちゃんは、すごく大きな声で怒鳴る。

「クラーージュッッ!! お前は何でそういうことをするんだ!! オーフィザン様からいただいたものは大切にしろ!!」
「ご、ごめんなさい……」
「俺じゃなくて、オーフィザン様にきちんとお詫びはしたのか!?」
「……今から言いに行くの……」
「……そうか……じゃあ、早くオーフィザン様を探さないとな……俺も一緒に探してやる」
「うん! ありがとう!」
「ちょっと待っていろ。窓拭きを終えて、掃除道具を洗って片付けてからな」
「ええ……先に行こうよ……」
「ダメだ。中途半端になるだろう。俺にこの仕事を任せてくださったシーニュさんにも、迷惑がかかる」
「……はーい……窓って、後どれだけふくの?」
「あとは……一階を全部拭いたら終わりだ」
「一階を全部!? そんなの、日が暮れちゃうよ!!」
「だから、少しでも早く終わらせるために急いでいるんだ」
「……兄ちゃん。僕、先に行くよ」
「そうか? 分かった。あとで俺も行く」
「うん!」

 僕が背を向けようとすると、兄ちゃんは僕の腕をつかんだ。

「ごめんな。クラジュ。一緒に行けなくて」
「あ、謝らなくていいよ! もともと悪いことした僕が悪いんだから……兄ちゃんは忙しいんだから、僕一人で行けるよ!」
「気をつけろよ。また、何か物を壊すんじゃないぞ。特に、魔法で直せないものには近づいてはいけないぞ。廊下は気をつけて歩けよ。窓を割らないように。花瓶や調度品には特に気をつけるんだ。たまに恐ろしく高いものがあるからな。カーテンや燭台には、なにがあっても近づいてはいけないぞ」
「う、うん……」
「約束だからな。こ、こら! その首輪に触るんじゃない!! オーフィザン様には、お前にあまり高価なものを渡さないようにしていただかないと……触るなよ! 弁償できないんだからな!!」
「う、うん……」
「……何も壊すなよ。それと……ゆっくり話を聞いてやれなくて、ごめんな……」
「ほ、本当に気にしないで!」
「あとで俺もいく。それと、オーフィザン様にお話しして、上に羽織るものか、そうでなかったら、その……露出の少ない服を頂くんだぞ。俺も一緒に頼んでやるから」
「分かった! じゃあ、兄ちゃん!! 僕、先に行くね!」
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