虐げられた僕は、ライバルの最強王子のパーティになんて入りません! 僕たちは敵同士です。溺愛されても困ります。執着なんてしないでください。

迷路を跳ぶ狐

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27.一部は

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 こうして、僕はその男と二人で歩きだした。

 男のことはまるで信用していないから、前を歩いてもらい、僕は少し離れてその後ろを歩く。

 リュックの中のライイーレ殿下が、僕にだけ聞こえるような声で囁いた。

「レクレット……気をつけたほうがいいよ」
「分かっています。相手の言っていることは、あまりに疑わしいです。盗賊か、誘拐目的、もしくは快楽殺人鬼かもしれません」
「そんな風に思ってるのに、なんでついてくの!? そうじゃなくて、ナンパだよ!」
「なんぱ?」
「だって可愛いとか食事したいとか言ってたじゃん!」
「そんなの、騙すために言っているだけです」

 だって、僕のことを可愛いとか、もう金と命狙いにしか思えない。もしかしたら、殺して魔法の実験用として売る気かもしれない。

「僕は信じません……」
「困ったなあ……」
「困りません。僕が倒されたら、ライイーレ殿下だって、困るはずです! リュックの中にいてください。危険です……」

 目の前の男の背中を睨みつけて歩く。

 すると、男は急に振り向いた。

「ねえ! レクレット!」

 ……初めて会ったはずなのに、普通に僕の名前を呼ぶなあ……本当に騙す気があるのか? 本当に騙す気なら、名前は知らないふりをすればいいのに。

 僕の名前を知っているってことは、やっぱりただの盗賊ではなく、僕のことを狙っていたのか?

「……なんで僕の名前、知ってるんですか?」
「知ってるよ。だって、森の奥の街で警備隊してて、しかも、反逆者なんだろ? どこかで見たことがあると思ったんだー」
「……僕は反逆者なんかじゃありません」
「それも知ってる。ロヴァウク殿下が、そう宣言したんだって? 俺も見たかったなー」
「……なんでロヴァウク殿下の宣言を知ってるんですか? あの街にいたんですか?」
「え……? あー……商人仲間から聞いたんだ!」
「……そうですか……」
「あ!! いたよ! いたいた! あいつだよ!!」
「え?」

 男は、突然道沿いの木の影に隠れて、道の先を指差す。
 だけど道は曲がりくねっていてその先は森の木々に隠れ、何がいるのかは分からない。

 この先に何があるのか知らないが、木の影に隠れただけでは、敵に見つかってしまう。

 僕は、彼に振り向いて言った。

「僕の魔法で姿を隠して近づきます。僕があなたにも魔法をかけて手を繋いでいくので、どうか、おかしな真似をしないでください」
「まだ俺のこと疑ってる!? 俺は心優しい市民だよ!?」
「……敵の前では、どうかそんな風に大きな声を上げないでください」
「わ、わかっているよ。相手は、あのロヴァウク殿下だからね!」
「……」

 なんだか楽しそうだけど、この人、状況はわかっているのかな?

 僕は、その男に人の目を誤魔化す魔法をかけて、続いて自分にも、魔法をかけた。

 ロヴァウク殿下には一度、僕の尾行を見破られている。あの時は、上からこっそりついていっただけで、魔法は使わなかった。だから見つかってしまったんだ。

 僕は、木々に隠れながら、男がロヴァウク殿下がいると言うあたりに近づいた。

 だけど……なんだあれ?

 森の中の道に、巨大な竜が座り込んでいる。あんなものがいたら、道を通ることができない。使い魔かと思ったが、本物の竜だ。あれ、何をしているんだ??

 そして、道沿いにある小屋の前には、大きなテーブルが置かれていて、紅茶やコーヒー、ケーキやクッキーやサンドイッチが並び、そこで、ロヴァウク殿下が優雅に紅茶を飲みながら、書類に目を通していた。
 他に数人の魔法使いが、同じテーブルで書類を読んだり、食事をしたりしている。
 ロヴァウク殿下の後ろには、何人も料理人がいて、屋外に設置されたキッチンで、料理を続けている。
 森を抜けるための小屋の前に、あんな大きなテーブルやキッチンなんてないし、料理人もいない。

 ……殿下は一体、何してるんだ……魔物が多い森で、なんで優雅に食事してるんだよ……

 彼の姿を見て、男が僕の隣で喚き出す。

「あ、あの竜だ!! あの竜のせいで、俺は先に進めなくて……み、見てくれ! テーブルの上にあるリボン! あ、あれ、俺の魔法の道具なんだ!! 殿下に取り上げられて……な! 本当だっただろ!?」

 言ってること、一部は本当だったんだ……
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