極道の密にされる健気少年

安達

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挑戦

118話 仕事

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駿里達は大臣との商談以来、平和に過ごしていた。
いつもの如く世話係として寛也の家にやってきた松下だが、1つ困り事があった。



「ダメだって言ってんだろうが。」

「ちょっとだけでいいからお願い!」

「やだね」

「何言い争ってんだお前らは。」



松下と駿里の口喧嘩を聞き、キッチンにいた圷がやってきた。



「こいつが仕事教えてくれって言うんだよ。ヤクザの汚ねぇ仕事なんて教えられる訳がないって言ってんだけど聞く耳を持たねぇ。」



駿里に言われたことは、かなり高い確率でする松下だがこの度は譲る訳にはいかなかった。脅したり騙したりするのが主な仕事だからだ。実際松下も駿里には到底言えないようなことをしてきた。



「働きたいっていう意識を持つことはいいことだな。でも急にどうした?」


圷は、まず駿里になぜそうしたいのかを聞くことにした。



「少しでもみんなに貢献したいんだ。俺やってもらってばっかりで何も皆にしてあげれてないから。」

「お前がここにいるだけで俺はかなり助かってるぞ。だからやめろ。」



圷とは裏腹に松下は1歩も駿里に譲る気はなかった。純粋なままでいて欲しかったのだ。時には一般人すらも道ずれにしてしまう事もあるから。

その例として1番残酷なのが旭川組は決してしていないが、一般的なヤクザは 臓器売買目的や奴隷目的 で、失敗して用無しになった組員とその家族、それに加え別れた彼女、彼氏や離婚した奥さん、旦那もろとも外国のマフィアに密売するのだ。



「そうだな。松下の言う通りだ。お前はいくら組長の恋人であろうとも俺たちみたいになったらダメだ。」



外国のマフィアに売られた人たちは、女であれば手足を全て切断され歯を全て抜かれた上に性奴隷として売られる。男は、臓器を全部取って死んだあと、動物のエサか肥料にされるのだ。そんな事も仕事を手伝っていくうちに知っていくことになる。それなら初めから駿里に仕事を手伝わせることはだめだな、と圷も松下に賛同した。
 


「…分かった」



圷にもそう言われ駿里は諦めた。



「他にバイトやら仕事とかをするにしても、まずは組長に許可を得ないとな。」

「うん、そうだね。」


許可なんてされないとは思っていたが念の為前もって寛也に言う練習をしておこうと思った。一歩間違えればお仕置きコースだからだ。



「おい、駿里。俺の許可も取れよ」

「なんでよ。」

「何でも糞もねぇよ。絶対言え。言わんかったら後悔することになるからな。気絶するまでくすぐり倒してやる。」


松下が真面目な顔をして手をワキワキしながら駿里を見た。



「言います。」


くすぐられることが大の苦手な駿里は大人しく言うことを聞いた。



「良い子だ」

「駿里くすぐり弱いんだな。」



圷の発言に駿里はビクッとしたので、じわじわと距離をとる。



「そんな警戒すんなって。海斗がいんのにお前にちょっかいかけないからよ。だから安心しろ。まぁ少しばかりお前の事をくすぐり倒したいとは思ったがな。」

「ならこいつが俺の許可を取りに来なかったら一緒にお仕置きしてやろうぜ。」

「絶対やだ!」


松下の方をそっぽ向いて圷を見た。

圷はそんな事しないよね、?と言うように自分の方を見てきた駿里の頭を撫でた。


「お前は相変わらず顔で会話出来るな。俺は松下と違って優しいからそんなことはしない。」

「てめぇ、喧嘩売ってんのか。」


苛立った松下を無視して駿里は圷に聞きたいことがあると言った。


「そういえば圷さん海斗と上手くいったんだね!」

「おう!思い切って気持ち伝えたんだよ。そしたらおっけいの返事が貰えた。そんで、今海斗は俺の部屋で寝泊まりしてんだ。」

「良かったね!」

「ほんとに良かった。恋人ができると人生変わるな。それじゃあ、俺らはそろそろ帰るな。組長が帰ってくるからよ。」

「うん!ありがとう。」



駿里は席を立って玄関に向かおうとする2人の後をお見送りするためについて行った。だが、松下はなかなか動こうとしなかった。



「ちゃんと許可取りに来いよ」

「分かったよ。心配してくれてありがとう」


駿里は最後まで仕事の話をしてくる松下の背中を押して玄関まで連れていった。


「じゃあな駿里」

「約束だからな」

「うん!」


松下は駿里の頭にぽんっ、と手を置いてそう言ったあと圷と共に玄関を出ていった。









***********




その数分後寛也が帰ってきた。


「おかえり!」

「ただいま。松下から聞いたぞ、お前仕事したがってんだな。」


まだ心の準備ができていないのに先に言われ、口軽すぎじゃん、と松下のことを恨んだ。



「…だめ?」


駿里は自分でも痛いと思いながらも、上目遣いでお願いした。


「お前な、それはずりぃぞ。お仕置きするにも出来ねぇじゃねぇかよ。」

「俺、寛也の役に立ちたいんだよ。」

「いるだけで役に立ってる。俺はお前に嫌な思いをして欲しくないんだよ。」


寛也はそういった後少し考え込んだ。



「駿里、俺の役に立ちたいんだよな?」

「そうだよ、なんでもする!」

「なんでもか…。それなら今から頼み事するから聞いてくれ。後から辞めるって言うのは無しな。絶対だぞ?」

「約束するよ!」



駿里はまさか許可が貰えるなんて思ってもみなかったのでそう言われて嬉しそうに返事をした。



ーーーこの状況で今からする仕事なんてあるわけねぇだろ。俺のこと信じきってんだな、可愛い奴め。

寛也は心の中でそう思い何処までも鈍感な駿里を騙したのだ。



「いい心掛けだ。駿里こっちおいで。」



寛也は駿里の手を引いて椅子に座った。隣に座ろうとした駿里の腰に手を回して自分の上に座らせた。


「この体制やりにくくないの?」

「この方が教えやすいだろ?上司に逆らうんじゃねぇよ。」


寛也は耳元でそう言った。いつもとは少し違う寛也の雰囲気に駿里は背筋が凍る。そして駿里が大人しくなると、お腹から腰に手を回して自分にくっつくようにした。


「いい子だな。これは今日の報告書だ。全て読んで間違ってれば森廣に連絡すんだよ。さっき見たら間違えが何個かあったから今から電話する。」

「それなら俺降りるね」

「あ?何言ってんだ。俺はそんな指示を出した覚えはないぞ。」


寛也はするっと、手を駿里の中に入れ乳首を擦り始めた。


「ま、まって!騙したな!」

「さっき約束したよな?後から辞めるのは絶対に無しってな。」

「っうぅ……」


乳首を弄っていた寛也の手がズボンの中に侵入してきた。


「だめ!」

「上司に口答えするなんてけしからん奴だな。今から俺は森廣に電話する。その間声を我慢出来たら許してやる。出来なかったら、わかるな?」

「そんなの出来るわけないっ」



寛也に触られたら嫌でも気持ち良くなってしまう駿里にはかなり難題だった。


「お前は上司の言うことが聞けないのか?それなら罰としてお仕置き追加だ。」

「っわかった、っわかったから!」

「判断が遅かったからどの道お仕置きは追加だな。それじゃ、電話かけるぞ」



森廣に電話をかけ、スマホをテーブルの上に置いた。ズボンの中にある手はそのままにし、もう片方の手は上に来ている服の中に侵入した。



『組長どうされましたか?』



何コールかした後に森廣が電話に出た。


  「ーーッ」


駿里は焦って直ぐに寛也の腕を掴んでいた手を口元に当て声を抑えた。
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