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バレてた
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「組長、それは簡単ですよ。誠也の心なんてすぐに手に入ります。」
「あ?なんでそう言い切れる。」
…これ以上こいつらのくだらねぇ話なんて聞いてられねぇ。腹が立つ。狸寝入りしてたけど起きた方がマシか…?
「星秀を使えばいいんですよ。そしたら誠也は聞き分けが良くなると思いますよ。」
「確かにそうかもな。」
クソ野郎…。くそ…っ。くそ…っ。腹が立つ。けど今よ俺には何も出来ない。こいつらに好き勝手言われても言い返すことすら出来ねぇんだ…。今ここで言い返したら酷い目に遭う。それこそ星秀さんのためにならない。だから耐えるんだ俺…。
「健二。お前は頭が冴えるな。」
「ありがとうございます。あ、そうだ。そういや渚が後で組長の所に行くって言ってましたよ。」
渚…?あいつか…。あいつも好きじゃねぇ。けど渚ってやつは星秀さんのことを大切にしてそうな感じがした。だから本気で嫌いなわけじゃない。
「渚が?」
「はい。」
「あいつはお前に何か言っていたか?」
「いえ、何も。」
「そうか。分かった。とりあえず待ってみよう。」
「ですね。じゃあ組長、俺はこの辺で失礼しますね。シャブの件も色々片付けなきゃいけないので。」
「そうだな。その件もまとまり次第報告しろ。」
「承知しました。では、失礼します。」
「ああ。」
扉の音がした。健二がこの部屋を出ていったんだ。よし、とりあえずは治と俺だけ。3人でいる時より楽だ。心が楽になる。だから俺はそろそろ起きようとした。
けどその時…。
「誠也。お前はいつまで狸寝入りをするつもりなんだ?」
…は?バレてた?いつから…?いつからこいつは俺が起きてることに気づいてたんだ…?
「どうした驚いた顔をして。俺が気づかないとでも思ったか?」
「……その、」
今更寝たフリなんてしても意味が無い。だから俺は目を開けて治を見た。そしたら治は楽しそうに笑ってたんだ。けど怖かった。言い訳を許さない…そう治の目が言ってるように見えたから。
「たく、狸寝入りなんかしやがって。俺に気づかれないと思ってんのはまぁ可愛かったけどな。俺はこれまで何人拷問してきたと思ってんだ。寝てるフリしてるかしてねぇかの違いなんてすぐに分かる。」
そう話してる治の様子を見る限りは怒ってないように見える。良かった…。とりあえず怒ってないなら良かった…。
「…ごめんなさい。」
「あ?別に謝って欲しいわけじゃねぇよ。ただ狸寝入りはもう二度とするな。分かったな。」
治はそう言いながら俺の頭を撫でてきた。それでその後俺に圧をかけてきたんだ。いいえということは許さないと言わんばかりに…。
「…はい。」
「よし。いい子だ誠也。」
治はそう言うと俺の体を起こして自分の膝の上に座らせてきた。落ち着かない…。羽交い締め…ではないけど座ってる状態で後ろから治に捕まってる感じだ…。いや実際そうか…。怖いんだよ…こういうのされると。
「誠也。さっきの話聞いてたから分かってると思うが今から渚が来る。だからちょーっと怖い話をするかもしれねぇけど耐えてくれよ。」
「…怖い話?」
「そうだ。お前には刺激が強い話になる。まぁ本気で嫌になったら言え。健二呼んで部屋の外に出してやるから。」
…それはつまりこの部屋から出られるって訳か。けど星秀さんがいないのに逃げようとしても意味が無い。だったらこの部屋にいる方がマシな気がする。健二なんて嫌いだし。
「この部屋にいます。」
「そうか。あんま無理すんなよ。」
そう言うなら優しくして欲しい。俺じゃなく…星秀さんに…。俺がそんなことを考えていると…。
コンコン
誰かがドアをノックした。多分渚ってやつだろうな。
「組長お疲れ様です。渚です。」
やっぱりそうだ。健二よりは渚ってやつの方が良い奴に見える。まぁ今となってはの話だけどな。
「よぉ渚。入れ。」
「失礼します。」
そう言うと渚ってやつが部屋に入ってきた。けど俺はすぐに気づいた。渚ってやつの様子がさっきと違う。さっきは俺をいたぶるのを楽しんでいた様子。けど今はどこか不安…?そうにみえる。
「どうしたんだよ渚。お前が俺に用事?珍しいな。誠也に会いに来たのか?」
「突然訪ねてきてすみません組長。」
「そういうのはいい。お前がここに来た理由を話せ。」
「…星秀の事です。」
え…?星秀さん?渚…今星秀さんのことで訪ねてきたって言ったよな…。もしかして星秀さんに何かあったのか…?
「だと思った。お前は星秀と仲がいいもんな。なぁ渚。」
「仲がいいのは確かにそうです。その仲がいい星秀がどこかに消えたのですが知りませんか?組長に頼まれていた仕事を一緒にしていたんですよ。」
…渚ってやつ、ちょっと怒ってる。けど渚は治が嫌いなわけじゃない。こいつの行動を見てるとそれは分かる。ただ星秀さんのことになると別ってことか。つか渚ってやつは星秀さんがどこに行ったのか知らないのかよ…。じゃあ治は渚たちに内緒で星秀さんに酷いことをしてるのか?
「そうか。それならその仕事はお前一人でやれ。お前なら出来るだろ?渚。」
「ということは星秀は外部の仕事に出たのですか?」
「ああ。そういう事だ。だから渚、お前がやれ。出来ねぇなら俺が手伝ってやるよ。」
「組長にそんな事させられませんよ。それで組長、星秀はいつ戻ってきますか?」
「あ?なんでそう言い切れる。」
…これ以上こいつらのくだらねぇ話なんて聞いてられねぇ。腹が立つ。狸寝入りしてたけど起きた方がマシか…?
「星秀を使えばいいんですよ。そしたら誠也は聞き分けが良くなると思いますよ。」
「確かにそうかもな。」
クソ野郎…。くそ…っ。くそ…っ。腹が立つ。けど今よ俺には何も出来ない。こいつらに好き勝手言われても言い返すことすら出来ねぇんだ…。今ここで言い返したら酷い目に遭う。それこそ星秀さんのためにならない。だから耐えるんだ俺…。
「健二。お前は頭が冴えるな。」
「ありがとうございます。あ、そうだ。そういや渚が後で組長の所に行くって言ってましたよ。」
渚…?あいつか…。あいつも好きじゃねぇ。けど渚ってやつは星秀さんのことを大切にしてそうな感じがした。だから本気で嫌いなわけじゃない。
「渚が?」
「はい。」
「あいつはお前に何か言っていたか?」
「いえ、何も。」
「そうか。分かった。とりあえず待ってみよう。」
「ですね。じゃあ組長、俺はこの辺で失礼しますね。シャブの件も色々片付けなきゃいけないので。」
「そうだな。その件もまとまり次第報告しろ。」
「承知しました。では、失礼します。」
「ああ。」
扉の音がした。健二がこの部屋を出ていったんだ。よし、とりあえずは治と俺だけ。3人でいる時より楽だ。心が楽になる。だから俺はそろそろ起きようとした。
けどその時…。
「誠也。お前はいつまで狸寝入りをするつもりなんだ?」
…は?バレてた?いつから…?いつからこいつは俺が起きてることに気づいてたんだ…?
「どうした驚いた顔をして。俺が気づかないとでも思ったか?」
「……その、」
今更寝たフリなんてしても意味が無い。だから俺は目を開けて治を見た。そしたら治は楽しそうに笑ってたんだ。けど怖かった。言い訳を許さない…そう治の目が言ってるように見えたから。
「たく、狸寝入りなんかしやがって。俺に気づかれないと思ってんのはまぁ可愛かったけどな。俺はこれまで何人拷問してきたと思ってんだ。寝てるフリしてるかしてねぇかの違いなんてすぐに分かる。」
そう話してる治の様子を見る限りは怒ってないように見える。良かった…。とりあえず怒ってないなら良かった…。
「…ごめんなさい。」
「あ?別に謝って欲しいわけじゃねぇよ。ただ狸寝入りはもう二度とするな。分かったな。」
治はそう言いながら俺の頭を撫でてきた。それでその後俺に圧をかけてきたんだ。いいえということは許さないと言わんばかりに…。
「…はい。」
「よし。いい子だ誠也。」
治はそう言うと俺の体を起こして自分の膝の上に座らせてきた。落ち着かない…。羽交い締め…ではないけど座ってる状態で後ろから治に捕まってる感じだ…。いや実際そうか…。怖いんだよ…こういうのされると。
「誠也。さっきの話聞いてたから分かってると思うが今から渚が来る。だからちょーっと怖い話をするかもしれねぇけど耐えてくれよ。」
「…怖い話?」
「そうだ。お前には刺激が強い話になる。まぁ本気で嫌になったら言え。健二呼んで部屋の外に出してやるから。」
…それはつまりこの部屋から出られるって訳か。けど星秀さんがいないのに逃げようとしても意味が無い。だったらこの部屋にいる方がマシな気がする。健二なんて嫌いだし。
「この部屋にいます。」
「そうか。あんま無理すんなよ。」
そう言うなら優しくして欲しい。俺じゃなく…星秀さんに…。俺がそんなことを考えていると…。
コンコン
誰かがドアをノックした。多分渚ってやつだろうな。
「組長お疲れ様です。渚です。」
やっぱりそうだ。健二よりは渚ってやつの方が良い奴に見える。まぁ今となってはの話だけどな。
「よぉ渚。入れ。」
「失礼します。」
そう言うと渚ってやつが部屋に入ってきた。けど俺はすぐに気づいた。渚ってやつの様子がさっきと違う。さっきは俺をいたぶるのを楽しんでいた様子。けど今はどこか不安…?そうにみえる。
「どうしたんだよ渚。お前が俺に用事?珍しいな。誠也に会いに来たのか?」
「突然訪ねてきてすみません組長。」
「そういうのはいい。お前がここに来た理由を話せ。」
「…星秀の事です。」
え…?星秀さん?渚…今星秀さんのことで訪ねてきたって言ったよな…。もしかして星秀さんに何かあったのか…?
「だと思った。お前は星秀と仲がいいもんな。なぁ渚。」
「仲がいいのは確かにそうです。その仲がいい星秀がどこかに消えたのですが知りませんか?組長に頼まれていた仕事を一緒にしていたんですよ。」
…渚ってやつ、ちょっと怒ってる。けど渚は治が嫌いなわけじゃない。こいつの行動を見てるとそれは分かる。ただ星秀さんのことになると別ってことか。つか渚ってやつは星秀さんがどこに行ったのか知らないのかよ…。じゃあ治は渚たちに内緒で星秀さんに酷いことをしてるのか?
「そうか。それならその仕事はお前一人でやれ。お前なら出来るだろ?渚。」
「ということは星秀は外部の仕事に出たのですか?」
「ああ。そういう事だ。だから渚、お前がやれ。出来ねぇなら俺が手伝ってやるよ。」
「組長にそんな事させられませんよ。それで組長、星秀はいつ戻ってきますか?」
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