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狸寝入り
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「…………で…………す。」
…なんか…声聞こえる。けど体がダルすぎて起きる気にならねぇ。起きれねぇ…。何がなんでもこいつらやりすぎだろ…。くそ…。せめて誰が話してんのかだけでも分かれば…。
「…そうなんですよ組長。だから俺も思わず笑っちゃいましたよ。あんな星秀の顔みたのは数年ぶりですからね。」
あ…これ健二の声だ。それでもう一人いるのは治。組長って言うことはそういうことだ。俺が1番嫌いな2人が揃ってる。しばらく狸寝入りしとこう。
「はは、そりゃ俺も見たかったな。それでお前はその嫌がる星秀を無理矢理連れて行けたのか?」
「はい。勿論です。大幹部殿をお待たせするわけにはいきませんからね。だから「帰らせてください。」って涙目でお願いしてきたあいつの腕を無理やり引っ張って部屋に投げ入れました。」
…くそっ。星秀さん…。俺が何とかしなきゃこの組には星秀さんの味方はいない。きっとみんなこの2人に逆らえないからだ。おかしいって思ってる人は一人ぐらいいるはず。そうじゃなきゃこの組はおかしい…っ。
「そりゃいいな。あいつらも喜んだだろうな。あいつらは星秀を玩具にすんのが好きだからよ。健二、よくやったぞ。」
「このぐらい当然ですよ。あ、そうだ組長。」
「どうした。」
「その大幹部殿達が組長に会いたがってましたよ。」
「めんどくせぇな。」
「そう言わず会ってあげて下さいよ。あいつら組長に媚び売るのを得意とするほど組長を尊敬してるんですから。」
また健二の媚び売りが始まった…。俺はとにかく星秀さんが心配でたまらなかった。ここに居たくない。いっその事一緒に行きたかった。俺がこんなふうに誰かを心配するのも初めてのことだ。だからそれだけ星秀さんは俺の中で大事な人になっていってるんだ。
「まぁそれはそうなんだが…仕方ねぇ。行ってやるか。3日後だ。その時に星秀も回収しよう。」
「承知しました。俺が回収してよろしいですか?」
「いや、渚にやらせろ。」
「承知しました。では連絡しときますね。」
「ああ。頼む。あ、そうだ健二、お前に聞きたい事があったんだ。」
「どうしました?」
こんなやつらの会話を聞いたところで逃げるヒントは何も見つからないかもしれない。俺はそう思ってきた。抜けがない奴らだから俺が万が一狸寝入りしてた時のことも思って会話してんだろうな…。
「誠也の事なんだけどよ。」
治に急に名前を呼ばれてれて俺は思わずビクッとしそうになった。危ねぇ…。狸寝入りがバレたらまた地獄に逆戻りだ。もう少し休憩したい…。
「誠也ですか?」
「ああ。」
「誠也がどうしました?」
「俺は思うんだがこいつは逃げるにしても星秀と逃げる気がすんだよな。」
「あーなるほど。そういう事ですね。」
…………やっぱり治には勘づかれてた。俺はそうしようと思ってたんだ。1人では逃げられない。星秀さんを見殺しに出来ない。俺は他人に興味がないはずなのに…。
「それは俺も思ってましたよ組長。」
「だろ?誠也の家庭環境的に他人には興味が無いはずなんだ。だが星秀と出会ってそれが変わっちまったようだな。星秀の方も。」
「そうですね。星秀は変わることは無いと思ってたんですが。そのために星秀に殺しをよくさせてきたんですけどね。」
一般人だったはずの星秀さんが人を殺すって…どれだけ辛かったか。俺が今から人を殺すってなってもそれは出来ない。他人に興味が無いとはいえそこまでは出来ない。勇気がねぇから…。
「意味がなかったようだな。んで俺はどうしようか考えたわけだ。」
「俺に聞かせてくれます?それ。」
「ああ。そのつもりだ。」
「ありがとうございます組長。」
「俺は敢えてこいつらを逃がそうと思ってる。」
「なぜです?」
そんなことしたら俺本当に逃げ切るぞ…。いやけど敢えて逃がすってことは罠があるってことだ。それで捕まったら俺だけじゃなくて星秀さんまで酷い目に遭うことになる…。
「逃げた後で捕まえて生きる方が辛いほどの躾をする。誠也に関しては抱き潰すことだな。こいつは俺のもんだから。星秀は回させる。」
…クソ野郎だ。
「いいですねそれ。」
……何も良くねぇだろ。
「だろ?一回痛い目を見ねぇと分かんねぇだろこいつら。いつまでも愛し合えると思うな。俺はそれを分からせてやるよ。」
「はは、俺はその組長の歪んでるところが大好きです。」
「そんな事を言うのはお前だけだぞ。まぁ俺も実際お前を一番頼ってるし人の事言えねぇかもな。」
「ですよ。てか組長。もしも誠也と星秀が逃げなかった時はどうするんです?」
その場合も考えられるのかよ…。俺は今どうしようか迷ってる。この状況で逃げてもすぐに捕まる。これを星秀さんに伝えるにも盗聴器があれば終わりだ。くそ…どうしたらいいんだよ。
「いいや、逃げる。こいつらは絶対に逃げる。お互いを自由にしてあげたいという気持ちが強いはずだからな。特に星秀だ。こいつは数年ここで地獄を見てきた。それを誠也に味あわせないようにするはず。それで誠也も思ってるはずだ。この人を助けたいって。だからこいつらは逃げる。」
「組長のそういう予感って当たりますからね。楽しみですね。」
完全に俺はこいつらに舐められてる。楽しい…?そんなことあるわけねぇだろ。こっちは本気なのに…。
「そうだな。誠也に関しては二度と外に出してやらねぇ。完全に俺のものにする。こいつだけは逃がさねぇよ。最悪薬漬けにしてやろうと思ってんだ。」
「組長。それはやめときましょ。俺は誠也の抵抗する姿が好きなんですよ。」
「たしかに。」
「でしょ?」
「まぁどっちにしろこいつは俺のものにする。心もな。」
…なんか…声聞こえる。けど体がダルすぎて起きる気にならねぇ。起きれねぇ…。何がなんでもこいつらやりすぎだろ…。くそ…。せめて誰が話してんのかだけでも分かれば…。
「…そうなんですよ組長。だから俺も思わず笑っちゃいましたよ。あんな星秀の顔みたのは数年ぶりですからね。」
あ…これ健二の声だ。それでもう一人いるのは治。組長って言うことはそういうことだ。俺が1番嫌いな2人が揃ってる。しばらく狸寝入りしとこう。
「はは、そりゃ俺も見たかったな。それでお前はその嫌がる星秀を無理矢理連れて行けたのか?」
「はい。勿論です。大幹部殿をお待たせするわけにはいきませんからね。だから「帰らせてください。」って涙目でお願いしてきたあいつの腕を無理やり引っ張って部屋に投げ入れました。」
…くそっ。星秀さん…。俺が何とかしなきゃこの組には星秀さんの味方はいない。きっとみんなこの2人に逆らえないからだ。おかしいって思ってる人は一人ぐらいいるはず。そうじゃなきゃこの組はおかしい…っ。
「そりゃいいな。あいつらも喜んだだろうな。あいつらは星秀を玩具にすんのが好きだからよ。健二、よくやったぞ。」
「このぐらい当然ですよ。あ、そうだ組長。」
「どうした。」
「その大幹部殿達が組長に会いたがってましたよ。」
「めんどくせぇな。」
「そう言わず会ってあげて下さいよ。あいつら組長に媚び売るのを得意とするほど組長を尊敬してるんですから。」
また健二の媚び売りが始まった…。俺はとにかく星秀さんが心配でたまらなかった。ここに居たくない。いっその事一緒に行きたかった。俺がこんなふうに誰かを心配するのも初めてのことだ。だからそれだけ星秀さんは俺の中で大事な人になっていってるんだ。
「まぁそれはそうなんだが…仕方ねぇ。行ってやるか。3日後だ。その時に星秀も回収しよう。」
「承知しました。俺が回収してよろしいですか?」
「いや、渚にやらせろ。」
「承知しました。では連絡しときますね。」
「ああ。頼む。あ、そうだ健二、お前に聞きたい事があったんだ。」
「どうしました?」
こんなやつらの会話を聞いたところで逃げるヒントは何も見つからないかもしれない。俺はそう思ってきた。抜けがない奴らだから俺が万が一狸寝入りしてた時のことも思って会話してんだろうな…。
「誠也の事なんだけどよ。」
治に急に名前を呼ばれてれて俺は思わずビクッとしそうになった。危ねぇ…。狸寝入りがバレたらまた地獄に逆戻りだ。もう少し休憩したい…。
「誠也ですか?」
「ああ。」
「誠也がどうしました?」
「俺は思うんだがこいつは逃げるにしても星秀と逃げる気がすんだよな。」
「あーなるほど。そういう事ですね。」
…………やっぱり治には勘づかれてた。俺はそうしようと思ってたんだ。1人では逃げられない。星秀さんを見殺しに出来ない。俺は他人に興味がないはずなのに…。
「それは俺も思ってましたよ組長。」
「だろ?誠也の家庭環境的に他人には興味が無いはずなんだ。だが星秀と出会ってそれが変わっちまったようだな。星秀の方も。」
「そうですね。星秀は変わることは無いと思ってたんですが。そのために星秀に殺しをよくさせてきたんですけどね。」
一般人だったはずの星秀さんが人を殺すって…どれだけ辛かったか。俺が今から人を殺すってなってもそれは出来ない。他人に興味が無いとはいえそこまでは出来ない。勇気がねぇから…。
「意味がなかったようだな。んで俺はどうしようか考えたわけだ。」
「俺に聞かせてくれます?それ。」
「ああ。そのつもりだ。」
「ありがとうございます組長。」
「俺は敢えてこいつらを逃がそうと思ってる。」
「なぜです?」
そんなことしたら俺本当に逃げ切るぞ…。いやけど敢えて逃がすってことは罠があるってことだ。それで捕まったら俺だけじゃなくて星秀さんまで酷い目に遭うことになる…。
「逃げた後で捕まえて生きる方が辛いほどの躾をする。誠也に関しては抱き潰すことだな。こいつは俺のもんだから。星秀は回させる。」
…クソ野郎だ。
「いいですねそれ。」
……何も良くねぇだろ。
「だろ?一回痛い目を見ねぇと分かんねぇだろこいつら。いつまでも愛し合えると思うな。俺はそれを分からせてやるよ。」
「はは、俺はその組長の歪んでるところが大好きです。」
「そんな事を言うのはお前だけだぞ。まぁ俺も実際お前を一番頼ってるし人の事言えねぇかもな。」
「ですよ。てか組長。もしも誠也と星秀が逃げなかった時はどうするんです?」
その場合も考えられるのかよ…。俺は今どうしようか迷ってる。この状況で逃げてもすぐに捕まる。これを星秀さんに伝えるにも盗聴器があれば終わりだ。くそ…どうしたらいいんだよ。
「いいや、逃げる。こいつらは絶対に逃げる。お互いを自由にしてあげたいという気持ちが強いはずだからな。特に星秀だ。こいつは数年ここで地獄を見てきた。それを誠也に味あわせないようにするはず。それで誠也も思ってるはずだ。この人を助けたいって。だからこいつらは逃げる。」
「組長のそういう予感って当たりますからね。楽しみですね。」
完全に俺はこいつらに舐められてる。楽しい…?そんなことあるわけねぇだろ。こっちは本気なのに…。
「そうだな。誠也に関しては二度と外に出してやらねぇ。完全に俺のものにする。こいつだけは逃がさねぇよ。最悪薬漬けにしてやろうと思ってんだ。」
「組長。それはやめときましょ。俺は誠也の抵抗する姿が好きなんですよ。」
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