中二病少女

木下寅丸

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話す人がいない読書家と今の妹を見て思ったこと

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ノック。トン、トン、トン。
「空いてるよ」私は声をだした。
「珍しいね。こっちの部屋に入ってくるなんて」
 妹は、「たまにわね」とだけ言って、ベッドに腰かけた。そして、イスに座りながら本を読んでいる私をじーっと見ていた。
「面白い? それ?」
「ああこの本。うーんどうだろ?面白い方の部類だと思うけど」暫く間が開いた。
「なんでいつもそんなの読んでいるの?」
「なんでって言われると困るな。習慣としか言えないし」
「じゃあさ、読むようになったきっかけとかって何なの?」
「きっかけ、そうね。きっかけね。だいぶ昔のことだからなー。忘れてしまったよ。気がついたら読むようになっていた感じ」
「誰かに勧められたりとかってした?」
「それはなかったかな。本のこと話す友人なんていないし」
「本を読んで良かったって感じたことある?」
 私は即答することができなかった。良いこと? 本を読むことに対しての自分に起きた良いこと?
「ああ、あったよ」と言ってみた。
「嘘つき」そう言うなり部屋を出て行った。
 私は嘘をついたのだろうか? 何かしらの+にはなっているんじゃないかと思ったのだが。

17

 茶の間のソファーに座り、テレビを眺める。「おはよう」と言いながら、階段を下りてきた。相も変わらずお姫様スタイル。どこにそんなもの売っているのだろうか? 眠たそうな顔をして、日当たりの良いところまで来て丸くなった。その姿を見て私は、猫みたいだと思った。
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