中二病少女

木下寅丸

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杞憂と違和感

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 次の日。妹は体調が悪いといって学校を休んでいた。夜。私は妹の部屋を訪ねてみた。
ノック。トン、トン、トン。
「なんかよう?」
 部屋に入ってみると、妹は普通だった。
「あのねー。年頃の女の子の部屋に気軽に入れると思わないでほしいなー。だからモテないんだよなー」煽ってきたが、元々こんな感じな奴だ。
「年頃の? 女の子? そういやいますね目の前に。いやー私としたことが、気づかなかったよ」
「うわ、うざ」
「んで、なに?」
「昨日元気なさそうだったからさ、心配になってさ」
「なんだー。そんなこと!! 泣く日ぐらいあるよ、女の子だもん」妹はケラケラ笑っていた。
 杞憂だった。そりゃそんな日ぐらいあるさな思春期だもん。私は自分の考えすぎる癖を反省した。
「いやなんだ。その、お兄ちゃん元気ない時にこの本に助けられたことあってさ、良かったらどうかなって思って」そう言って本を差し出した。
「はいはいありがとさん。気を使わせてわるーございました。」そう言って受け取ってくれた。
 朝。今日は燃えるゴミの日だからと、母がゴミ袋を指さしてくる。面倒くさい。サラリーマンの朝は忙しいというのに。五分早く出てゴミ捨て場に向かう。
 ゴミを投げる。「……。あれ?」透明なビニールの中に、妹にあげた本が見えた。

15

 違和感を思い出した。それは、妹の部屋に入ったときのものだった。何かが消えているように感じたんだ、そのとき。なんだ。なんだ。なんだ?
 そうか。ポスターだ! 壁にアイドルのポスターが何枚か貼ってあったんだ昔。そう。確かにあった。イケメン好きだなこいつ。とか前入った時に思ったんだ。一年ないし、半年は経ったぐらいか。そういえば、ここ最近母とアイドルの話をしているのを見なくなった気がする。
 違和感の正体が分かったことで、一つ気がついたことがあった。だから、一体なんなんだ?

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