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クラウディアは国王シャルルを見向きもせず、フレデリックの頬を撫で続け、弔っていた。
薬におぼれたどうしようもない浮気男だったにせよ、一度は好きになった人。思い出が込み上げてくる。
死の間際に彼は懺悔しており、その気持ちに嘘偽りはないとクラウディアは信じた。一つの生命が絶えたという現象を前にして、疑いや憎しみの感情はいつしか消えていた。
「おい! クラウディア! 聞いておるのか!? お前は今日からわしの側妃。わかったら返事せよ!」
国王シャルルがクラウディアに怒鳴り声をあげた。クラウディアははっとして、声の主の方向を見つめた。
「……? 私が陛下の側妃……? はあ……? きしょくわる。意味不明です。断固拒否します」
「なんだとこいつ!」
国王シャルルはクラウディアに近づき、殴ろうとした。まるで髪が逆立った明王さながらであり、思いのままにいかないことへの憤怒が顔に現れていた。
そして……
また血塗られた事件が発生した。
近衛兵Aが国王シャルルを剣で突き刺したのである。
薬におぼれたどうしようもない浮気男だったにせよ、一度は好きになった人。思い出が込み上げてくる。
死の間際に彼は懺悔しており、その気持ちに嘘偽りはないとクラウディアは信じた。一つの生命が絶えたという現象を前にして、疑いや憎しみの感情はいつしか消えていた。
「おい! クラウディア! 聞いておるのか!? お前は今日からわしの側妃。わかったら返事せよ!」
国王シャルルがクラウディアに怒鳴り声をあげた。クラウディアははっとして、声の主の方向を見つめた。
「……? 私が陛下の側妃……? はあ……? きしょくわる。意味不明です。断固拒否します」
「なんだとこいつ!」
国王シャルルはクラウディアに近づき、殴ろうとした。まるで髪が逆立った明王さながらであり、思いのままにいかないことへの憤怒が顔に現れていた。
そして……
また血塗られた事件が発生した。
近衛兵Aが国王シャルルを剣で突き刺したのである。
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