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王太子視点 やりたくないのに聖女の面倒をみるように言われました
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初代国王が作った王立学園には、ブルゾン王国全土から優秀な学生が集まっているこの国最高峰の教育機関だ。1学年200名。貴族の子供の多くと金持ちの子弟、それに優秀な平民から成り立っていた。
大体貴族の子弟で3クラス、金持ちの子弟で1クラス、優秀な平民で1クラスだ。身分差はないと言いながら、俺がいるA組は基本は伯爵家以上、一部子爵が入るという感じのクラス編成になっていた。B組は残りの子爵と男爵家出身者、C組は残りの男爵が、D組は金持ちの子弟が、E組は優秀な平民という感じだった。
王立学園は貴族にとっては婚約者のいない貴族達の出会いの場でもあって、結構熾烈な戦いの場でもあった。王子の俺は宰相の娘のクラリスが婚約者でいると判っているにも関わらず、迫ってくる女達が多くてそれを躱すのが大変だった。
俺の婚約者のクラリスは俺の一年下で、俺自身がクラスが一緒ではないので守れない。クラリスは地味眼鏡をかけているとはいえ、見る奴が見れば可愛いのは一目瞭然だ。それにドジっ子でかわいらしい。そのクラリスを野獣の男どものいるクラスの中に置くのはとても心配だった。
更には最近男爵家の養女になった聖女まで同じAクラスになるという。俺はクラリスが虐められないかどうか本当に心配だった。
「クラリスが今後王妃になっていくのだから、王立学園ではあなたが庇護するのじゃなくて、ちゃんと自分でいろいろとさせないと駄目よ」
と母からは言われていた。
まあ、確かにその通りなのだが、別に大人になればクラリスは俺の横にいて笑ってくれていれば良いのだ。変な男に手を出されるよりは余程良いのだが……
それに、クラリスは俺の婚約者だ。やっかみとかひがみから虐められるかもしれない。まあ、公爵家令嬢で宰相の娘であり、更には生徒会長の兄がいるのだから、そういう事は無いとは思うが、どんな勘違いな奴がいるかわかったものではなかった。
取りあえず、母の言う事を聞かないと後が煩いので、しばらくは静観する事にした。
幸いな事に、1年A組には俺の側近のシャルル・アザール伯爵家令息のすぐ下の弟と、騎士団長の息子がいる事が判明した。俺は遠くから見守ってほしいと依頼したのだ。
「他の男が手を出しそうになったら、やんわりと釘を刺してくれ。それでも聞かなかったら俺が直接本人に言うか、親に言う」
俺は騎士団長の息子のフェリスに頼んだ。
「殿下って、婚約者には本当に過保護なんですね」
「何か問題があるのか」
フェリスの呆れた言葉に俺はにらみ返した。
「判りましたから。そんなに怖い顔で睨まないでくださいよ」
フェリスは慌てて俺の言う事を聞くと言ってきたが、どちらかというとおちゃらけている。こいつ、俺のクラリスに手を出したら殺す。
そう思って見ていたら、顔をこわばらせて、
「いや、だから、殿下、俺も命が惜しいですから、絶対に手を出しませんから。それでなくてもクラリス嬢はお兄様が生徒会長なんですから、目を付けられたら何かと煩そうですから、余計な事はしませんから、ご安心ください」
「当たり前だ。もし手を出したら北の雪国との国境地帯に左遷してやる」
「えっ、あそこって下手したら1年の半分が雪に閉じ込められている所じゃないですか。いや、ちょっと、マジでしゃれにならないんで止めて下さいね」
少し青くなって言ってきたが、これくらい脅してもどうかという感じだった。
俺は新学年が始める前はとても心配だった。
俺はクラリスのことは心配していたのだが、自分の事は全く気にしていなかった。聖女があんな問題女だとは思ってもいなかった。
一年前に百年ぶりにこの国に聖女が発現したとの報告が上がっていた。平民の子に聖女の力が宿ったんだとか。教会や民衆や一部貴族達は喜んだそうだが、俺としては別にそれがどうしたという感じだった。
確かに癒し魔術の使い手の中でも最強の聖女はいれば便利だが、それだけだ。
今は浄化の必要な汚れはそんなに多くないし、魔物は騎士団や魔術師団、あるいは冒険者達が狩っている。王都の近くの小さなダンジョンを聖女が浄化してくれた時は冒険者ギルドやダンジョンの近くの街から大クレームが来たのだ。これまでその地は王都の初心者冒険者や、騎士団、魔術団の訓練場になったいた。それが馬車で七日以上余分にかけないダンジョンまで行かなければいけなくなったと。近くの街の商店の売上が半減したと俺に文句を言われても困る。
そんなのは行った教会に文句を言ってくれ!
薬師ギルドからは聖女出現と近くのダンジョンが消滅したことで薬の値段が下がったからなんとかしろと文句は来るし……
聖女はこの王都近辺に限れば問題しか起こしていないのだ。
なのに、一部貴族や、教皇は俺が婚約者がいるにもかかわらず、聖女を婚約者にしろと言ってくれた。
こいつらは俺に婚約者がいるのを知らないのか?
それも宰相の娘だぞ!
最初にそれを言ってきた伯爵については、近隣のほとんど国交もないひなびた小国の大使として左遷する人事案が宰相府から回されて来たので、俺は即座に同意して父に回した。
さすがにそれを見て、それ以来俺にそういう事を言う奴は教皇くらいになった。
それを聞いたロワール公爵家は教会への寄付金を即座に半額に減らしたそうだ。
俺もあまりにもうるさいので、半額に減らしてやった。それ以来、教皇も少しはうるさくなくなったが……
別に我が国の国教が政治に口を出してくる女神教である必要はないのだ。海の向こうには仏様を信じる仏教とか言う宗教もあるのだとか。俺のクラリスにケチをつけ続けるのならば、宗派替えをしても良いのだ。
まあ、父と母は、百年前の聖女様の子孫なのだからそこまで言わなくてもと言うが、百年前は百年前だ。近年は魔物の数も減少傾向にあって、そこまで必要とはしていない。それを証拠に、前聖女は侯爵家が即座にし烈な競争を勝ち抜いて養女にしたそうだが、今回は中々なり手がいずに、結局訳の判らない男爵家が養女にしていた。
その聖女を俺が面倒を見ろと教会が言ってきた時は俺は切れかけた。
何故俺が男爵令嬢の面倒を見なければいけないのだ?
「そうね。これはエミールもクラリス離れができる良い機会だわ」
しかし、母は訳の判らないことを言いだしたのだ。
「母上、何を言っているのですか?」
こめかみをピクピクさせて俺は母を見た。
「だって、あなたがクラリスを構い過ぎるからクラリスには同年のお友達も満足にいないじゃない」
母が言うが、
「それはお祖母様に言って下さい。俺は今でも週に二回くらいしか会えないのですよ」
「まあ、せっかくの機会だから、クラリスにもお友達を作る機会を作った方が良いでしょう」
母は王太后の事は全く無視して俺に言ってくるんだが……文句は王太后に言ってくれ!
まあ、確かにクラリスには友達も必要だけど、クラリスの代ってあまり高位貴族の子弟はいないのだ。
母が何回か流産したせいで、俺の代や俺の上の代は高位貴族の面々も多いのだが、クラリスの代はほとんどいなかった。友達を作ると言ってもあまり役には立たないと思うのだが。
そういう思いもあり、入学式の前日に、聖女が挨拶に来た時は俺はクラリスに会っていて、無視したのだ。
クラリスは泣いていたし、聖女なんてどうでも良かった。
そうしたらその入学式の朝、準備で忙しい時に聖女はやってきたのだ。
こいつ、舐めているのか?
確かに前日会わなかった俺も悪かったが、元々会う必要は認めていないし、約束もしてしていなかったのに会えると考える方がおかしいのだ。
なのにだ。
「エミール、聖女様を学園に連れて行ってくれる」
母が余計なことを言ってきた。
なぜ俺が、聖女を送らないと行けない!
俺は思わず叫びそうになった。
しかし、さすがに、怒鳴り散らすのは不味いし、皆の手前、最初に俺が一応聖女を送ったら、聖女に余計な事をしてくるやつもいなくなるだろう。
俺はそう思ったのだ。
それが間違いだったのだ。
大体貴族の子弟で3クラス、金持ちの子弟で1クラス、優秀な平民で1クラスだ。身分差はないと言いながら、俺がいるA組は基本は伯爵家以上、一部子爵が入るという感じのクラス編成になっていた。B組は残りの子爵と男爵家出身者、C組は残りの男爵が、D組は金持ちの子弟が、E組は優秀な平民という感じだった。
王立学園は貴族にとっては婚約者のいない貴族達の出会いの場でもあって、結構熾烈な戦いの場でもあった。王子の俺は宰相の娘のクラリスが婚約者でいると判っているにも関わらず、迫ってくる女達が多くてそれを躱すのが大変だった。
俺の婚約者のクラリスは俺の一年下で、俺自身がクラスが一緒ではないので守れない。クラリスは地味眼鏡をかけているとはいえ、見る奴が見れば可愛いのは一目瞭然だ。それにドジっ子でかわいらしい。そのクラリスを野獣の男どものいるクラスの中に置くのはとても心配だった。
更には最近男爵家の養女になった聖女まで同じAクラスになるという。俺はクラリスが虐められないかどうか本当に心配だった。
「クラリスが今後王妃になっていくのだから、王立学園ではあなたが庇護するのじゃなくて、ちゃんと自分でいろいろとさせないと駄目よ」
と母からは言われていた。
まあ、確かにその通りなのだが、別に大人になればクラリスは俺の横にいて笑ってくれていれば良いのだ。変な男に手を出されるよりは余程良いのだが……
それに、クラリスは俺の婚約者だ。やっかみとかひがみから虐められるかもしれない。まあ、公爵家令嬢で宰相の娘であり、更には生徒会長の兄がいるのだから、そういう事は無いとは思うが、どんな勘違いな奴がいるかわかったものではなかった。
取りあえず、母の言う事を聞かないと後が煩いので、しばらくは静観する事にした。
幸いな事に、1年A組には俺の側近のシャルル・アザール伯爵家令息のすぐ下の弟と、騎士団長の息子がいる事が判明した。俺は遠くから見守ってほしいと依頼したのだ。
「他の男が手を出しそうになったら、やんわりと釘を刺してくれ。それでも聞かなかったら俺が直接本人に言うか、親に言う」
俺は騎士団長の息子のフェリスに頼んだ。
「殿下って、婚約者には本当に過保護なんですね」
「何か問題があるのか」
フェリスの呆れた言葉に俺はにらみ返した。
「判りましたから。そんなに怖い顔で睨まないでくださいよ」
フェリスは慌てて俺の言う事を聞くと言ってきたが、どちらかというとおちゃらけている。こいつ、俺のクラリスに手を出したら殺す。
そう思って見ていたら、顔をこわばらせて、
「いや、だから、殿下、俺も命が惜しいですから、絶対に手を出しませんから。それでなくてもクラリス嬢はお兄様が生徒会長なんですから、目を付けられたら何かと煩そうですから、余計な事はしませんから、ご安心ください」
「当たり前だ。もし手を出したら北の雪国との国境地帯に左遷してやる」
「えっ、あそこって下手したら1年の半分が雪に閉じ込められている所じゃないですか。いや、ちょっと、マジでしゃれにならないんで止めて下さいね」
少し青くなって言ってきたが、これくらい脅してもどうかという感じだった。
俺は新学年が始める前はとても心配だった。
俺はクラリスのことは心配していたのだが、自分の事は全く気にしていなかった。聖女があんな問題女だとは思ってもいなかった。
一年前に百年ぶりにこの国に聖女が発現したとの報告が上がっていた。平民の子に聖女の力が宿ったんだとか。教会や民衆や一部貴族達は喜んだそうだが、俺としては別にそれがどうしたという感じだった。
確かに癒し魔術の使い手の中でも最強の聖女はいれば便利だが、それだけだ。
今は浄化の必要な汚れはそんなに多くないし、魔物は騎士団や魔術師団、あるいは冒険者達が狩っている。王都の近くの小さなダンジョンを聖女が浄化してくれた時は冒険者ギルドやダンジョンの近くの街から大クレームが来たのだ。これまでその地は王都の初心者冒険者や、騎士団、魔術団の訓練場になったいた。それが馬車で七日以上余分にかけないダンジョンまで行かなければいけなくなったと。近くの街の商店の売上が半減したと俺に文句を言われても困る。
そんなのは行った教会に文句を言ってくれ!
薬師ギルドからは聖女出現と近くのダンジョンが消滅したことで薬の値段が下がったからなんとかしろと文句は来るし……
聖女はこの王都近辺に限れば問題しか起こしていないのだ。
なのに、一部貴族や、教皇は俺が婚約者がいるにもかかわらず、聖女を婚約者にしろと言ってくれた。
こいつらは俺に婚約者がいるのを知らないのか?
それも宰相の娘だぞ!
最初にそれを言ってきた伯爵については、近隣のほとんど国交もないひなびた小国の大使として左遷する人事案が宰相府から回されて来たので、俺は即座に同意して父に回した。
さすがにそれを見て、それ以来俺にそういう事を言う奴は教皇くらいになった。
それを聞いたロワール公爵家は教会への寄付金を即座に半額に減らしたそうだ。
俺もあまりにもうるさいので、半額に減らしてやった。それ以来、教皇も少しはうるさくなくなったが……
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まあ、父と母は、百年前の聖女様の子孫なのだからそこまで言わなくてもと言うが、百年前は百年前だ。近年は魔物の数も減少傾向にあって、そこまで必要とはしていない。それを証拠に、前聖女は侯爵家が即座にし烈な競争を勝ち抜いて養女にしたそうだが、今回は中々なり手がいずに、結局訳の判らない男爵家が養女にしていた。
その聖女を俺が面倒を見ろと教会が言ってきた時は俺は切れかけた。
何故俺が男爵令嬢の面倒を見なければいけないのだ?
「そうね。これはエミールもクラリス離れができる良い機会だわ」
しかし、母は訳の判らないことを言いだしたのだ。
「母上、何を言っているのですか?」
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「だって、あなたがクラリスを構い過ぎるからクラリスには同年のお友達も満足にいないじゃない」
母が言うが、
「それはお祖母様に言って下さい。俺は今でも週に二回くらいしか会えないのですよ」
「まあ、せっかくの機会だから、クラリスにもお友達を作る機会を作った方が良いでしょう」
母は王太后の事は全く無視して俺に言ってくるんだが……文句は王太后に言ってくれ!
まあ、確かにクラリスには友達も必要だけど、クラリスの代ってあまり高位貴族の子弟はいないのだ。
母が何回か流産したせいで、俺の代や俺の上の代は高位貴族の面々も多いのだが、クラリスの代はほとんどいなかった。友達を作ると言ってもあまり役には立たないと思うのだが。
そういう思いもあり、入学式の前日に、聖女が挨拶に来た時は俺はクラリスに会っていて、無視したのだ。
クラリスは泣いていたし、聖女なんてどうでも良かった。
そうしたらその入学式の朝、準備で忙しい時に聖女はやってきたのだ。
こいつ、舐めているのか?
確かに前日会わなかった俺も悪かったが、元々会う必要は認めていないし、約束もしてしていなかったのに会えると考える方がおかしいのだ。
なのにだ。
「エミール、聖女様を学園に連れて行ってくれる」
母が余計なことを言ってきた。
なぜ俺が、聖女を送らないと行けない!
俺は思わず叫びそうになった。
しかし、さすがに、怒鳴り散らすのは不味いし、皆の手前、最初に俺が一応聖女を送ったら、聖女に余計な事をしてくるやつもいなくなるだろう。
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