虐げられ令嬢の最後のチャンス〜今度こそ幸せになりたい

みおな

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一度目の人生

契約書を交わしましょう

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「それで、旦那様とそのご令嬢は当主夫妻のお部屋にいらっしゃるのかしら?」

 私の問いにメイド長のナディアは、顔を顰めた。

「申し訳ございません。旦那様がこの部屋はララナ様が使うとおっしゃって・・・」

「あら?かまわないわ。ごめんなさいね?そういうつもりで聞いたのではないのよ。旦那様に契約書を交わしていただこうと思って」

「契約書・・・ですか?」

 バートンの問いに頷く。
ただのお飾り妻なら、好き勝手にさせてもらうけど、侯爵夫人としての仕事をしているのなら話は別。

 契約妻として、ちゃんともらうものはもらわないと。

 これが私が旦那様のことを好きだというのなら、好きな人のためなんて言ってボランティアってのもアリって人もいるかもだけど、私は都合のいい女になるつもりはない。

「侯爵夫人としての仕事は、私がしているのでしょう?なら、ちゃんと契約書を交わして、お給金をいただかないとね。払わないというのなら、夫人としてのお仕事はご寵愛のご令嬢にしていただかなければね」

「あの方に侯爵夫人としての仕事は無理です!」

「そう。でも、私は好きでもない方のために奉仕をするつもりはないわ。決めるのは旦那様よ。結婚を決めたお義父様はもういらっしゃらないのだから、離縁するも良し、私を契約妻にするも良し。お好きになさればいいわ」

「もし離縁と言われたら、奥様にも疵が付かれるのですよ?」

 ナディアの言うことはもっともだ。
前世の日本は、バツイチや未婚母なんてのも結構いて、そのこと自体に負い目を感じることは少なかったけど、この世界は違う。

 離縁された貴族令嬢は、修道院に行くか、歳の離れた男の元へ後妻に入るかってくらいしか行き場がない。

 でも、私は平気である。
離縁するにしても、悪いのは向こうだ。お金さえいただければ、離縁だろうと契約妻だろうとかまわない。

 実家に帰れなくても、平民として暮らせばいい話だ。

 本当のレティーナなら難しいことでも、私には何でもないことだし。

「明日にでも旦那様宛にお手紙と契約書を作るから、渡してもらえるかしら?」

「は・・・はい」

「それからバートン。記憶がないから、侯爵夫人としての仕事が分からないの。とりあえず契約が成るまでは今まで通りにするから、教えて貰えるかしら?」

「も、もちろんでございます」

 よし。
じゃあ、後でラナかアメリーに聞いて、弁護士さんに契約書を作ってもらわなきゃ。

 お金が絡むと、後で揉めるものね。
ちゃんと第三者に入ってもらうべきだわ。
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