5 / 144
一度目の人生
契約書を交わしましょう
しおりを挟む
「それで、旦那様とそのご令嬢は当主夫妻のお部屋にいらっしゃるのかしら?」
私の問いにメイド長のナディアは、顔を顰めた。
「申し訳ございません。旦那様がこの部屋はララナ様が使うとおっしゃって・・・」
「あら?かまわないわ。ごめんなさいね?そういうつもりで聞いたのではないのよ。旦那様に契約書を交わしていただこうと思って」
「契約書・・・ですか?」
バートンの問いに頷く。
ただのお飾り妻なら、好き勝手にさせてもらうけど、侯爵夫人としての仕事をしているのなら話は別。
契約妻として、ちゃんともらうものはもらわないと。
これが私が旦那様のことを好きだというのなら、好きな人のためなんて言ってボランティアってのもアリって人もいるかもだけど、私は都合のいい女になるつもりはない。
「侯爵夫人としての仕事は、私がしているのでしょう?なら、ちゃんと契約書を交わして、お給金をいただかないとね。払わないというのなら、夫人としてのお仕事はご寵愛のご令嬢にしていただかなければね」
「あの方に侯爵夫人としての仕事は無理です!」
「そう。でも、私は好きでもない方のために奉仕をするつもりはないわ。決めるのは旦那様よ。結婚を決めたお義父様はもういらっしゃらないのだから、離縁するも良し、私を契約妻にするも良し。お好きになさればいいわ」
「もし離縁と言われたら、奥様にも疵が付かれるのですよ?」
ナディアの言うことはもっともだ。
前世の日本は、バツイチや未婚母なんてのも結構いて、そのこと自体に負い目を感じることは少なかったけど、この世界は違う。
離縁された貴族令嬢は、修道院に行くか、歳の離れた男の元へ後妻に入るかってくらいしか行き場がない。
でも、私は平気である。
離縁するにしても、悪いのは向こうだ。お金さえいただければ、離縁だろうと契約妻だろうとかまわない。
実家に帰れなくても、平民として暮らせばいい話だ。
本当のレティーナなら難しいことでも、私には何でもないことだし。
「明日にでも旦那様宛にお手紙と契約書を作るから、渡してもらえるかしら?」
「は・・・はい」
「それからバートン。記憶がないから、侯爵夫人としての仕事が分からないの。とりあえず契約が成るまでは今まで通りにするから、教えて貰えるかしら?」
「も、もちろんでございます」
よし。
じゃあ、後でラナかアメリーに聞いて、弁護士さんに契約書を作ってもらわなきゃ。
お金が絡むと、後で揉めるものね。
ちゃんと第三者に入ってもらうべきだわ。
私の問いにメイド長のナディアは、顔を顰めた。
「申し訳ございません。旦那様がこの部屋はララナ様が使うとおっしゃって・・・」
「あら?かまわないわ。ごめんなさいね?そういうつもりで聞いたのではないのよ。旦那様に契約書を交わしていただこうと思って」
「契約書・・・ですか?」
バートンの問いに頷く。
ただのお飾り妻なら、好き勝手にさせてもらうけど、侯爵夫人としての仕事をしているのなら話は別。
契約妻として、ちゃんともらうものはもらわないと。
これが私が旦那様のことを好きだというのなら、好きな人のためなんて言ってボランティアってのもアリって人もいるかもだけど、私は都合のいい女になるつもりはない。
「侯爵夫人としての仕事は、私がしているのでしょう?なら、ちゃんと契約書を交わして、お給金をいただかないとね。払わないというのなら、夫人としてのお仕事はご寵愛のご令嬢にしていただかなければね」
「あの方に侯爵夫人としての仕事は無理です!」
「そう。でも、私は好きでもない方のために奉仕をするつもりはないわ。決めるのは旦那様よ。結婚を決めたお義父様はもういらっしゃらないのだから、離縁するも良し、私を契約妻にするも良し。お好きになさればいいわ」
「もし離縁と言われたら、奥様にも疵が付かれるのですよ?」
ナディアの言うことはもっともだ。
前世の日本は、バツイチや未婚母なんてのも結構いて、そのこと自体に負い目を感じることは少なかったけど、この世界は違う。
離縁された貴族令嬢は、修道院に行くか、歳の離れた男の元へ後妻に入るかってくらいしか行き場がない。
でも、私は平気である。
離縁するにしても、悪いのは向こうだ。お金さえいただければ、離縁だろうと契約妻だろうとかまわない。
実家に帰れなくても、平民として暮らせばいい話だ。
本当のレティーナなら難しいことでも、私には何でもないことだし。
「明日にでも旦那様宛にお手紙と契約書を作るから、渡してもらえるかしら?」
「は・・・はい」
「それからバートン。記憶がないから、侯爵夫人としての仕事が分からないの。とりあえず契約が成るまでは今まで通りにするから、教えて貰えるかしら?」
「も、もちろんでございます」
よし。
じゃあ、後でラナかアメリーに聞いて、弁護士さんに契約書を作ってもらわなきゃ。
お金が絡むと、後で揉めるものね。
ちゃんと第三者に入ってもらうべきだわ。
25
あなたにおすすめの小説
【完結】一番腹黒いのはだあれ?
やまぐちこはる
恋愛
■□■
貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。
三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。
しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。
ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。
私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました
山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。
※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。
コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。
ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。
トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。
クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。
シモン・グレンツェ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。
ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。
シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。
〈あらすじ〉
コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。
ジレジレ、すれ違いラブストーリー
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
【完結】身代わり皇妃は処刑を逃れたい
マロン株式
恋愛
「おまえは前提条件が悪すぎる。皇妃になる前に、離縁してくれ。」
新婚初夜に皇太子に告げられた言葉。
1度目の人生で聖女を害した罪により皇妃となった妹が処刑された。
2度目の人生は妹の代わりに私が皇妃候補として王宮へ行く事になった。
そんな中での離縁の申し出に喜ぶテリアだったがー…
別サイトにて、コミックアラカルト漫画原作大賞最終候補28作品ノミネート
【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。
たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。
その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。
スティーブはアルク国に留学してしまった。
セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。
本人は全く気がついていないが騎士団員の間では
『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。
そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。
お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。
本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。
そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度……
始めの数話は幼い頃の出会い。
そして結婚1年間の話。
再会と続きます。
笑い方を忘れた令嬢
Blue
恋愛
お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。
アンジェリーヌは一人じゃない
れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。
メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。
そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。
まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。
実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。
それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。
新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。
アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。
果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。
*タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*)
(なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)
【完結】あなたを忘れたい
やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。
そんな時、不幸が訪れる。
■□■
【毎日更新】毎日8時と18時更新です。
【完結保証】最終話まで書き終えています。
最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる