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王女殿下はどうしたい?

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 カイルの言葉に、目の前が開けた気がした。

 そうよ。アレもこれも一度に叶えようとするから、行き詰まるんだわ。

 まずはレーチェル王女に、話をする。

 お兄様が何を考えているか説明して、その上でも告白したいか聞かなくちゃ。

 お兄様が・・・
レーチェル王女の気持ちに応えない可能性の方が高い。

 でも片想いは自由だし、サリフィルの婚約者役をしている間は、他の人に嫁ぐ必要もないから、片想いしていられる。

 サリフィルの婚約者役については、ザハード王国の許可も出てるから問題はない。

 というわけで、レーチェル王女に時間を取ってもらうことにした。

 まずは二人きりで話したいからと、ロイドたちにも外してもらう。

 彼らには、恋人との逢瀬を楽しんでいてもらおう。

「お時間を取っていただき、ありがとうございます」

「いえ、お気になさらないで。もうすぐ帰国ですわね。寂しいですわ。どうせなら留学していらしたら?」

「そう・・・ですわね。そうなれば、レーチェル様に会いに来られたホリック様もヒルデ様に会いやすいですけれど。私も無理を言ってセニヨン公爵家の養女にしていただいたので、できる限り親孝行はしておきたいのですわ」

 血は繋がっていないけど、お祖母様は私のことをとても可愛がって大切にしてくれている。

 家にいるだけが親孝行ではないけれど、少しでも近くにいた方が何かできるかもしれない。

 アザリウム王国に帰りたくはないけど・・・

 レオナルドとリリーシアは、王命で婚約している。

 だけど、レオナルドは何故か私に執着していたし、リリーシアもまだ聖女になっていない。

 そんなところにいるのは、足元がぐらついて不安だけど。

「いつでも留学したいと思われたら、いらしてください。そのために兄がいるんですから」

「ふふっ。ありがとうございます。帰国して良く話し合ってみますわ」

「それに・・・アザリウム王国の聖女や勇者の在り方ってなんだか気持ち悪くて。だからというのもおかしいですけど、ローズマリア様たちにはあの国にいて欲しくないって気持ちなんです。すみません、上手く説明できないんですけど」

「いいえ。レーチェル様のお気持ち、ありがたく思いますわ」

 他国から見たら、アザリウム王国の成り立ちは異質だろう。

 聖女と勇者が、突然現れる魔王という存在を倒して、王家を継ぐ。

 その上、災害も何もないというのだから。

 だけど、その異質さについては、セニヨン公爵家に戻ってからの話だ。

 今は・・・

「今回、お時間をいただいたのは、セニヨン公爵家嫡男クリストフお兄様の件について、です。レーチェル王女殿下、兄に想いを伝えるおつもりはありますか?」
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