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応えなくても良いから
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レーチェル王女とクリストフお兄様を会わせたからといって、その想いが叶うとは限らない。
でも、これが初恋らしいレーチェル王女だから、自分が納得いく形で終わらせてあげたい。
叶わなくても、自分で納得できれば嫌な思い出にはならないと思うの。
政略結婚が当たり前の立場だとしても、誰かを好きになることは決して悪いことじゃないんだから。
そういう意味では、レオナルドとリリーシアが想い合ったことも、悪いことではないって思っている。
ただちゃんと、ローズマリアに自分たちの気持ちを話して、婚約を解消してくれたら良かったんだ。
ローズマリアとしては悲しいだろうけど、あんな形で裏切られてなければ、ローズマリアは魔王にはならなかったんじゃないだろうか。
「問題はホリック様の婚約者です。ホリック公爵夫妻が納得する身分で、偽装を理解して下さる方って・・・難しいですわね」
一応サリフィルは、弟さんとマハール王国の王太子殿下たちが協力してくれるから大丈夫って言うのだけど・・・
婚約は家と家の契約だから、親に強制的に結ばされる可能性は捨てきれない。
セニヨン公爵家が、甘いというか特殊なのよ。
かといって、私がサリフィルの婚約者になるわけにはいかない。
私の侍女がサリフィルの想い人っていうのもあるから、絶対公爵夫妻に怪しまれる。
これって、ある意味詰んだ?
五人も雁首揃えて、何も浮かばないって手の打ちようがないってことじゃない?
偽装に理解がないと駄目なのよ。
だって、サリフィルがヒルデに会いたい時に会うには、偽装だって理解してくれなきゃ。
そういう点でも、レーチェル王女は最適だったんだけど。
私がロイドに会いに来たって時に、サリフィルもレーチェル王女に会いに来たってことにすれば、ヒルデと会えるもの。
「難しく考えすぎでは?」
カイルにそう言われて、全員が顔を上げる。
「カイル、どういうこと?」
「ですから、偽装の婚約者であることと、クリストフ様との想いが通じるかは、別問題としてお考えになっては?クリストフ様も偽装のことはご存知ですし、もし王女殿下と想いを通わせたとしても、二年くらい婚約者を作らずにお待ちくださるでしょう」
「「「・・・」」」
どうしよう。
目から鱗だわ。
そうよね。
お兄様は偽装のことを最初から理解してくれているし、婚約者だって作らないって言ってるくらいだもの。
もし、レーチェル王女の気持ちに応えたとしても、サリフィルの卒業まで待っててくれるわよね。
そうよ。タチアナのことは、また別に考えれば良いんだわ。
でも、これが初恋らしいレーチェル王女だから、自分が納得いく形で終わらせてあげたい。
叶わなくても、自分で納得できれば嫌な思い出にはならないと思うの。
政略結婚が当たり前の立場だとしても、誰かを好きになることは決して悪いことじゃないんだから。
そういう意味では、レオナルドとリリーシアが想い合ったことも、悪いことではないって思っている。
ただちゃんと、ローズマリアに自分たちの気持ちを話して、婚約を解消してくれたら良かったんだ。
ローズマリアとしては悲しいだろうけど、あんな形で裏切られてなければ、ローズマリアは魔王にはならなかったんじゃないだろうか。
「問題はホリック様の婚約者です。ホリック公爵夫妻が納得する身分で、偽装を理解して下さる方って・・・難しいですわね」
一応サリフィルは、弟さんとマハール王国の王太子殿下たちが協力してくれるから大丈夫って言うのだけど・・・
婚約は家と家の契約だから、親に強制的に結ばされる可能性は捨てきれない。
セニヨン公爵家が、甘いというか特殊なのよ。
かといって、私がサリフィルの婚約者になるわけにはいかない。
私の侍女がサリフィルの想い人っていうのもあるから、絶対公爵夫妻に怪しまれる。
これって、ある意味詰んだ?
五人も雁首揃えて、何も浮かばないって手の打ちようがないってことじゃない?
偽装に理解がないと駄目なのよ。
だって、サリフィルがヒルデに会いたい時に会うには、偽装だって理解してくれなきゃ。
そういう点でも、レーチェル王女は最適だったんだけど。
私がロイドに会いに来たって時に、サリフィルもレーチェル王女に会いに来たってことにすれば、ヒルデと会えるもの。
「難しく考えすぎでは?」
カイルにそう言われて、全員が顔を上げる。
「カイル、どういうこと?」
「ですから、偽装の婚約者であることと、クリストフ様との想いが通じるかは、別問題としてお考えになっては?クリストフ様も偽装のことはご存知ですし、もし王女殿下と想いを通わせたとしても、二年くらい婚約者を作らずにお待ちくださるでしょう」
「「「・・・」」」
どうしよう。
目から鱗だわ。
そうよね。
お兄様は偽装のことを最初から理解してくれているし、婚約者だって作らないって言ってるくらいだもの。
もし、レーチェル王女の気持ちに応えたとしても、サリフィルの卒業まで待っててくれるわよね。
そうよ。タチアナのことは、また別に考えれば良いんだわ。
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