ラスボス魔王の悪役令嬢、モブを目指します?

みおな

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聖女と勇者の存在

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 アザリウム王国にとって、勇者と聖女そして魔王は必要不可欠な存在だ。

 いつの時代にも、魔王や勇者がいるわけではない。

 ただ、十五歳前後の王子が勇者となり、聖女と力を合わせて魔王を倒す。

 そして平和が訪れ、百年から二百年後にまた再び聖女と勇者が現れるのだ。

 その年の差は、おそらく十五歳前後の王子が存在しているかどうか、なのだろう。

 魔王になる者も、王族の血筋、つまりは王家の者か過去に王族が降嫁なりした公爵家の者である。

 そのルーティンは過去に狂ったことはなく、ある時は王子の弟だったり、ある時は聖女の父親だったりしたが、全員が間違いなく王家の血を僅かばかりでも引いていた。

 過去に、それを疑問に思った王族がいる。

 だが真相に辿り着く前に、彼は自身が魔王になり、勇者の息子に倒された。

 それ以来、誰も勇者と聖女そして魔王について調べようとはしなかった。

 勇者になる者の年齢は、ほぼ決まっている。
 その勇者の妻になる予定の聖女も、勇者の前後五歳程度だろう。

 だが、魔王だけは違う。
勇者たちと近しい年齢の場合もあるし、父親という離れた場合もあるのだ。

 ただ、勇者や聖女と近しい存在の者が魔王となる、というのが『決まり』だった。

 魔王になどならされて、殺されてはたまらない。

 誰もがこの件に関わることをやめた。

 魔王にならないことを祈って過ごす。
 幸いにも、魔王になるのは、勇者や聖女と近しい人間だ。

 そして勇者になるのは、王子。
公爵家の人間は、娘が二十歳を超えるまでは娘が聖女になることを警戒し、そして二十歳を超えれば家族が魔王になることはないと安心するようになった。

 だが、今回は今までとどこか違っていた。

 今までは、必ず聖女の力を宿した令嬢に、女神から神託がおり、そして勇者が選ばれる。

 そしてそれは、勇者となる王子の年齢が十五歳前後の時だ。

 それなのに、今回は王子が十歳という年齢の上、聖女ではなく王子に神託がおりた。

 しかも、勇者になるための試練を受ける資格を得た?

 今までの歴史を振り返っても、こんなことは一度もなかった。

 前回、勇者と聖女が現れたのは百二十年前だから当時のことを知る人間はいない。

 だが教会は過去の聖女、そして勇者についての文献をキチンと残していた。

 魔王を屠るのは勇者だが、全てのキーポイントは聖女なのだ。

 聖女の浄化の力なくして魔王は倒せない。

 それに女神からの神託を授かるのは、聖女なのだ。

 なのに、いくら勇者になる可能性があるからといって、そんな中途半端な神託がおりた?

 教会は今回の神託を王太子レオナルドの夢、もしくは虚偽ではないかと疑った。
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