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姉、の噂

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 お兄様には、とにかく婚約話はよく考えて欲しいとお願いした。

 もう、最終手段として「私、あの方をお姉様と呼びたくありません」とまで言った。

 お祖母様に色々お願いしておきながら、本当に失礼な意見だけど、自分の周囲にいて欲しくないんだもの。

 お祖母様なら、タチアナの矯正はできるかもしれないけど、母親まではどうしようもないわよね。

 バッカス侯爵はともかく、あの夫人と親戚になりたくないわ。

 それに矯正できたなら、ちゃんと好きな人か、政略結婚相手でもいいから自分で納得した相手と婚約して欲しいと思う。

 お兄様は私の泣き落としが効いたのか、他の案がないかお祖母様と相談して連絡するよとおっしゃった。

 明日には、一旦アザリウム王国に戻ることになった夜、お兄様からオズワルド公爵家のことについて話を聞いた。

 リリーシアとレオナルドは、ほぼ王命と言っても過言ではない状態で、婚約したそうだ。

 というのも、未だにレオナルドが私との婚約を求めているかららしい。

 叔父・・・お父様が国王陛下にキッチリと念を押して下さったらしいけど、なんでレオナルドは私にこんなに執着するのかしら?

 私は、レオナルドのこともリリーシアのことも、なんとも思っていないし、どちらかといえば嫌いだから、彼らのことに関して絶望して魔王になることはない。

 だからゲームの通りに、レオナルドが私を断罪することもないとは思うけど。

 というか、逆に嫌いな相手と婚約させられたら、そっちの方が魔王になりそうだわ。

 レオナルドだって、もし本当に私のことを好きだと思っていたとしても、自分は王族なんだから政略結婚は仕方ないと理解しているわよね?

 私がセニヨン公爵家に養女に行った時点で、私とは婚約できないと納得しなきゃ駄目なはずよ。

 お兄様の話では、リリーシアは目に見えて元気がないらしい。

 王妃様が王太子妃教育のために王宮に呼んでいるらしいけど、周囲が心配するくらい覇気がないのだとか。

 お兄様が言うには、私が養女に行ったことが相当ショックだったのだろうって。

 意味がわからないわ。

 そんなにショックに思うくらいなら、どうして両親と私の橋渡しをしてくれなかったの?

 蔑ろにされてたことを、知らなかったわけないわよね?

 一緒にお出かけしたことも、それどころか食事さえ一緒にとっていなかったのよ?

 一応公爵令嬢だから、嫁がせる時のために教育は受けさされていたし、服や食事は与えられていたけど。

 そんな私と両親の仲を知っていて、私が逃げることを許せなかったとでも言うつもりなの?
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