冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな

文字の大きさ
17 / 30

回復薬を作ってみました

しおりを挟む
 街歩きを早々にやめ、お城に帰って回復薬を作ることにしました。

 幼い子供さんが、命の危険に晒されているのです。

 女神様。
聖女の作る回復薬は、魔族の方にも効くのでしょうか?

 どうか、どうか、効きますように。

 効かなければ、私が聖女である意味がないです。

 だって私はもう、ネモフィラ王国のために祈ったりしません。

 魔族の国メルキオール王国で暮らしていきたいのです。

 だからどうか女神様、お力をお貸しください。

 祈りを捧げながら、果実水に聖力を注ぎます。

 メルキオール王国には精製水を作るための濾過装置がないので、飲料水に注ぐことにしたのです。

 精度は落ちるかもしれませんが、その分強く聖力を注げば、問題はないはずです。

 一時間ほど聖力を注ぐと、果実水味の回復薬が出来ました。

 精製水以外に込めるのは初めてだったので、いつも以上に時間をかけてしまったけど、成功して良かったです。

「もう出来たのか?」

「いつもの倍は時間がかかったのですが、精製水以外に込めるのは初めてだったので、念には念を入れました。でも、魔族の方に薬になるか毒になるかは分かりません。女神様のお声も聞こえないので、聞くことも出来ませんし」

「いや、それは両親にも話した上で、本人たちが納得しなければ飲まさない。それより、神の声が聞こえるのか?」

「祈りの間で祈れば、お声をいただくこともあります。ただ、絶対ではありません。色々と制約があるみたいで、私の処刑に関してもお知らせいただくことはありませんでしたから」

 前もって知らせられるのなら、無理して私を生き返らせた女神様なら、お知らせくださったと思います。

 それが出来なかったということは、制約があるのでしょう。

 まぁ、前もって聞かされていたとしても、塔から出ることのできなかった私は、処刑を避けることは出来なかったでしょうけど。

「・・・そうか、そうだな」

 私は今生き返って、あの頃よりも幸せなのです。

 だからヴィンセント様、そんな辛そうなお顔をなさらないで。

「子供さんは今も苦しんでいるのですよね?届けに行きましょう」

「ああ。だがもし、回復薬が毒になった場合や効かなかった場合に、親が心ない言葉を吐くかもしれない。だから、ルディアはここで待っていてくれ」

「・・・いえ。一緒に参ります。心ない言葉なら、たくさんたくさん言われて慣れています。せめて、離れてでもかまわないので、ご一緒させてください」

「ヴィンセント様、どうかルディア様のお心のままに。私がそばにおります。この身を呈してでも、ルディア様をお守りいたします」

 イブリンがそんなふうに言ってくれますが、身を呈したりしないでください。

 イブリンが傷ついても、回復薬が効かなかったら私は助けることができないのですから。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。

石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。 やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。 失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。 愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります

秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。 そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。 「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」 聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。

処理中です...