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第九章:青と深淵
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沙良は勢い良く自分の部屋まで走って行って――波折を引っ張り込むと、扉の鍵をしめた。波折は部屋についた瞬間にがくりと座り込んでしまって、過呼吸かと見紛うほどに荒く息を吐く。
「波折先輩、がんばった、波折先輩よく頑張ったよ!」
沙良は波折の背をさすりながら、激励の言葉を送ってやった。小さなチョコレートを一粒食べただけでもおかしくなってしまう波折は、やはりあの量のガトーショコラを食べてしまって大変なことになっている。よくこんな状態なのに夕紀の前ではなんでもないようなふりができたと、沙良は感心してしまった。
「さらっ……さら、……!」
「よしよし、波折先輩……もう俺しかみてませんからね、安心してください」
「抱いて……さら、抱いて、お願い……抱いて……」
「……」
すっ、と沙良は精神統一をする。ぎゅっと抱きついてきて「抱いて」と懇願してくる波折。しかしこれはチョコレートによる作用であって、一時的なものだ。波折には鑓水という彼氏がいて、ここで波折を抱いたら自分は間男になってしまう。
でも……
「お願い……お願いします……抱いて、抱いてください……沙良……」
がくがくと身体を震わせ身体を丸めてしまって、額を床にこすりつけながらお願いしてくる波折。涙をながし、嗚咽をあげ……こんなにも必死に求められて、沙良の理性は崩壊寸前だった。
「さら……さら……!」
「……ッ」
ひどく、苦しそうだった。これは――抱くんじゃなくて、波折を楽にしてあげるだけ。沙良はそう自分に言い聞かせて……波折を抱きかかえ、ベッドまで運んでいった。
「あっ……」
波折をベッドに寝かせてあげると、沙良に身を委ねるように彼はくたりと沙良を見上げてきた。はあはあと波折が息をすれば、その胸が上下する。白い肌は蒸気してほんのりと紅く染まり、とてつもない色香を発していた。
「さら……」
「……どこ、触ればいいですか」
「さらの、好きなところ……」
ぐ、と沙良は生唾を飲み込む。本当に触れていいのか、そんな迷いがぐるぐると頭のなかに浮かんでくるが、もう引き返せない。波折のカーディガンを脱がせてやって、シャツ一枚にしてやる。そうすればぽつんと固くなった乳首がシャツの下で存在を主張していて、沙良はかあっと顔を赤らめた。ゆっくりとシャツの上から乳首に指を這わせて……乳頭を、くるくると円を描くように撫でてみる。
「あっ……あっ……」
ぴくん、ぴくん、と波折の腰が跳ねた。波折は一切の抵抗を示さず、ただ沙良から与えられる刺激を享受している。うっとりと目を閉じて、その唇から秘めやかな声を零してゆく。
「波折先輩……気持ちいい……?」
「ん……きもちいい……もっと乳首触って……」
そのままシャツの上から、乳首をつまむ。揉むように、くにくにと指先でその突起をこねくりまわせば、波折が手を口にあててはくはくと息をした。「もっと、もっと……」と呟きながら、波折は脚をもじもじとこすり合わせる。すさまじいほどに淫靡な波折の姿に、酩酊感のようなものを覚えて、沙良はきゅ、と唇を噛んだ。
「波折先輩……」
波折が悶えるたびにちらちらとシャツがめくれて肌が覗く。……目に毒だ。沙良ははあ、と息を吐いて――波折の服を脱がしにかかった。ベルトを外し、下衣を脱がせてゆく。下着を脱がせたとき……沙良は息を飲んだ。下着が、粘質の液体でびしょぬれになっていて、糸をひいている。ふる、と姿をみせた波折のペニスが、だらだらとカウパー液を流していた。
「先輩……ほんとうに、やばかったんだね……」
「沙良……」
波折の下腹部全体が、てらてらと濡れている。あんまりにも卑猥なそれに、思わず沙良のものも勃ってしまった。
「さら、……さらも、脱いで……」
「えっ……」
「さら……俺だけ、なんていやだから……」
「……こ、の」
こっちの気持ちも知らないで! そう悪態をつきたくなったが、波折を脱がせたのはこっち。ついでにいえばこのままだと下着のなかにだしてしまいそうだ。それはさすがに避けたいため、沙良もさっと服を脱ぐ。下だけ脱ぐのはなんとなく不格好か、と思ったからやけになって裸になってやった。
沙良が裸になって波折を見下ろせば、彼はぽーっとした顔で見上げてくる。あんまり裸をみられたくはない。制服の上からはかるだけではあるが、鑓水のほうが絶対にいい体をしているだろうから。
男として体格で負けるのはなんとなく情けなくて、波折にじろじろと裸をみられることに抵抗を覚える。しかし、波折は馬鹿にするわけでもなく、嬉しそうな顔をして言うのだ。
「沙良のからだ……」
波折がぺた、と沙良の胸に触れる。残念ながらそこまで筋肉はついていない……が、それでも波折はうっとりとした表情を浮かべて沙良の身体を堪能している。
「さら、抱いて」
「うおっ」
ぎゅっと波折が背に腕を回して、抱きついてきた。沙良はバランスを崩しそのまま波折にのしかかってしまったが、ばふ、と勢い良く波折の上に飛び込んだ瞬間に波折が「んっ」と鼻にかかるような甘い声をあげた。
耳元で、はあ、と波折が熱い吐息をこぼす。これはもしや……他人の身体に発情しているのだろうか。これからこの人に抱かれるのだ、と興奮している。それを感じ取ってしまった沙良は、ぐ、と下腹部が猛るのを感じた。
――やばい、抱きたい。波折先輩とひとつになりたい。
でも……でも。だめだ、心が繋がっていないのに、セックスなんて。
「ごめんね、波折先輩……」
沙良は波折のことを掻き抱くと、波折の耳にキスを落とす。ぴく、と震えた波折に、こめかみ、まぶた、頬……と優しくキスをしていった。
「波折先輩、がんばった、波折先輩よく頑張ったよ!」
沙良は波折の背をさすりながら、激励の言葉を送ってやった。小さなチョコレートを一粒食べただけでもおかしくなってしまう波折は、やはりあの量のガトーショコラを食べてしまって大変なことになっている。よくこんな状態なのに夕紀の前ではなんでもないようなふりができたと、沙良は感心してしまった。
「さらっ……さら、……!」
「よしよし、波折先輩……もう俺しかみてませんからね、安心してください」
「抱いて……さら、抱いて、お願い……抱いて……」
「……」
すっ、と沙良は精神統一をする。ぎゅっと抱きついてきて「抱いて」と懇願してくる波折。しかしこれはチョコレートによる作用であって、一時的なものだ。波折には鑓水という彼氏がいて、ここで波折を抱いたら自分は間男になってしまう。
でも……
「お願い……お願いします……抱いて、抱いてください……沙良……」
がくがくと身体を震わせ身体を丸めてしまって、額を床にこすりつけながらお願いしてくる波折。涙をながし、嗚咽をあげ……こんなにも必死に求められて、沙良の理性は崩壊寸前だった。
「さら……さら……!」
「……ッ」
ひどく、苦しそうだった。これは――抱くんじゃなくて、波折を楽にしてあげるだけ。沙良はそう自分に言い聞かせて……波折を抱きかかえ、ベッドまで運んでいった。
「あっ……」
波折をベッドに寝かせてあげると、沙良に身を委ねるように彼はくたりと沙良を見上げてきた。はあはあと波折が息をすれば、その胸が上下する。白い肌は蒸気してほんのりと紅く染まり、とてつもない色香を発していた。
「さら……」
「……どこ、触ればいいですか」
「さらの、好きなところ……」
ぐ、と沙良は生唾を飲み込む。本当に触れていいのか、そんな迷いがぐるぐると頭のなかに浮かんでくるが、もう引き返せない。波折のカーディガンを脱がせてやって、シャツ一枚にしてやる。そうすればぽつんと固くなった乳首がシャツの下で存在を主張していて、沙良はかあっと顔を赤らめた。ゆっくりとシャツの上から乳首に指を這わせて……乳頭を、くるくると円を描くように撫でてみる。
「あっ……あっ……」
ぴくん、ぴくん、と波折の腰が跳ねた。波折は一切の抵抗を示さず、ただ沙良から与えられる刺激を享受している。うっとりと目を閉じて、その唇から秘めやかな声を零してゆく。
「波折先輩……気持ちいい……?」
「ん……きもちいい……もっと乳首触って……」
そのままシャツの上から、乳首をつまむ。揉むように、くにくにと指先でその突起をこねくりまわせば、波折が手を口にあててはくはくと息をした。「もっと、もっと……」と呟きながら、波折は脚をもじもじとこすり合わせる。すさまじいほどに淫靡な波折の姿に、酩酊感のようなものを覚えて、沙良はきゅ、と唇を噛んだ。
「波折先輩……」
波折が悶えるたびにちらちらとシャツがめくれて肌が覗く。……目に毒だ。沙良ははあ、と息を吐いて――波折の服を脱がしにかかった。ベルトを外し、下衣を脱がせてゆく。下着を脱がせたとき……沙良は息を飲んだ。下着が、粘質の液体でびしょぬれになっていて、糸をひいている。ふる、と姿をみせた波折のペニスが、だらだらとカウパー液を流していた。
「先輩……ほんとうに、やばかったんだね……」
「沙良……」
波折の下腹部全体が、てらてらと濡れている。あんまりにも卑猥なそれに、思わず沙良のものも勃ってしまった。
「さら、……さらも、脱いで……」
「えっ……」
「さら……俺だけ、なんていやだから……」
「……こ、の」
こっちの気持ちも知らないで! そう悪態をつきたくなったが、波折を脱がせたのはこっち。ついでにいえばこのままだと下着のなかにだしてしまいそうだ。それはさすがに避けたいため、沙良もさっと服を脱ぐ。下だけ脱ぐのはなんとなく不格好か、と思ったからやけになって裸になってやった。
沙良が裸になって波折を見下ろせば、彼はぽーっとした顔で見上げてくる。あんまり裸をみられたくはない。制服の上からはかるだけではあるが、鑓水のほうが絶対にいい体をしているだろうから。
男として体格で負けるのはなんとなく情けなくて、波折にじろじろと裸をみられることに抵抗を覚える。しかし、波折は馬鹿にするわけでもなく、嬉しそうな顔をして言うのだ。
「沙良のからだ……」
波折がぺた、と沙良の胸に触れる。残念ながらそこまで筋肉はついていない……が、それでも波折はうっとりとした表情を浮かべて沙良の身体を堪能している。
「さら、抱いて」
「うおっ」
ぎゅっと波折が背に腕を回して、抱きついてきた。沙良はバランスを崩しそのまま波折にのしかかってしまったが、ばふ、と勢い良く波折の上に飛び込んだ瞬間に波折が「んっ」と鼻にかかるような甘い声をあげた。
耳元で、はあ、と波折が熱い吐息をこぼす。これはもしや……他人の身体に発情しているのだろうか。これからこの人に抱かれるのだ、と興奮している。それを感じ取ってしまった沙良は、ぐ、と下腹部が猛るのを感じた。
――やばい、抱きたい。波折先輩とひとつになりたい。
でも……でも。だめだ、心が繋がっていないのに、セックスなんて。
「ごめんね、波折先輩……」
沙良は波折のことを掻き抱くと、波折の耳にキスを落とす。ぴく、と震えた波折に、こめかみ、まぶた、頬……と優しくキスをしていった。
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