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18 自分で高々と上げてる恋愛中の看板、誰も注目してくれてない?
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あれから本当に生井君が隠せてるのか分からない。
あの二人と顔を合わせることもなく、課内の先輩たちからも探りを入れられる視線もないと思う。
そして漏れ出してない私は友達にも褒められることもなく。
そんな日常が当たり前で・・・。
なんだろう、こんな普通の感覚。
週末の予定を立てて、部屋に誘われたら泊りにも行く。
一緒にデートもして手もつなぐし、半眼じゃない笑顔も見慣れたし。
お姉さんと一緒にいた時よりも笑顔じゃない?って思うくらい。
私も笑顔だと思う。
でも職場では一切気配がない。
あれから資料室に行くことも減ってる。
何でだろうって思うけど、他の人ももちろん頼まれてない。
単に用がないらしい。
だから資料室のドキドキなんて全く妄想でもないレベルだ。
どうなんだろう?
ランチの時に彼の話をする夢ちゃんを観察した。
可愛いしキラキラして嬉しそうにしてる。
羨ましいなあ。
私はお母さん相手にこんな顔してたのかなあ?
「お帰り。お父さんももうすぐ帰ってくるからシャワー先にしたら?」
「そうする。お腹空いたなあ。」
シャワーを浴びて、着替えて、鏡の中の自分を見る。
は~、やっぱり少しも漏れ出てないじゃない。
ただの血色よくなった健康な女子。
きっと食事の後には笑顔も追加される女子。
それだけ。
お母さんの手伝いをしながら聞いてみる。
「ねえねえ、毎日好きな人に会ってるのに誰もきれいになったとか、隠せてないとか、何とか褒めてくれないんだけど。全然幸せが漏れ出てないみたい。」
「あんなにバレたら恥ずかしいし、仕事しにくいって心配してたのに?今度はバレたいの?」
「違うよ。別に相手は誰か言わなくても恋愛中ですって看板掲げられるくらいキラキラしたいじゃない。夢ちゃんなんてランチの時に嬉しそうに彼氏のことを話してるんだよ。ハピマックス状態がずっと続いてるの。羨ましいんだもん。」
「里穂は?」
「だってお互いに普通過ぎるんだもん。ぜんぜん挨拶くらいだし、表情も平坦だし。」
「それは職場だし、ヘラヘラしたら周りが迷惑よ。週末は里穂もマックスを隠せない声と笑顔で出かけてるじゃない。」
「本当?ハピマックス状態?ちゃんと恋愛中の看板出てる?」
「出てる出てる。浮かれ過ぎてお父さんが寂しそうな顔してるのにも気がついてないでしょう?」
「え、してるの?」
「してるよ。行ってらしゃいも元気ないくらいじゃない。気がついてないんだったら相当だから、大丈夫。」
「そうか・・・・看板出てるのか・・・・。」
そんな話がうれしかったけど、そんな事を喜びたかったんだっけ?
結局褒めてくれてないお母さん。
相手にしてるのがお母さんだけだからそこを信じるしかない。
二人とも公私の区別がつけれる器用な二人だということでいいか。
あれから泊まりに行っても先に起きだすことはなくなった生井君。
その代わりに遠慮なく起こされる。それが夜中だったり、朝方だったり。
その度に寝ぼけながらおはようって一応は言うんだから。
その数時間後にまた言うことになるけどね。
へへへっ。
待ち合わせのカフェの席で携帯の写真を見ながら表情が緩む。
デート先で撮った写真は誰にも見られないようにロックしてる。
そんな変な写真じゃない。
二人がデート先の背景と写った普通の写真がほとんど。
ちょっとくっつかないと見切れちゃうからくっつくけど、仲良し二人の写真。
部屋でとった油断した写真もお互いあるけどそっちはもっと秘密。
でもちゃんと服は着てるし。
「うれしそうだね。」
そう声をかけられてビックリした。
生井君がいた。
「楽しそうに笑顔で携帯を見てたけど、最初の頃よくそんな顔見てたな。懐かしい。」
もちろん最初の頃って言うのは研究の書を読んで妄想全開の時だと思う。
あの頃とは全然違うのに。
絶対リアルの方がいいはずなのに。
でも嬉しそうで楽しそうな顔をしてたらしい。
「お疲れ様。」
「お疲れ様。」
「お腹空いた?」
「もちろん。」
「だと思った。」
毎回の事だけど私がより食欲を見せる。
だってそんな約束の日はランチを軽めにしてるし、それにお昼からだって凄く時間が経ってるんだから。
なんだか本当に底の浅いヘラヘラした食い気のある女みたいじゃない。
まあ、ちょっとはそうだけど。
だから最初の頃はバカにされたり、呆れたりしてるんだと思った。
全く違うタイプの生井君は驚き呆れ・・・・あ~あって思ってるんだと思った。
違うとはわかったけど、なんと思ってたんだろう?
「ねえ、最初の頃の私の印象ってどんな感じだったの?」
そう言ったらちょっと伏し目で顎をこする生井君。
照れたり言いにくい時、ちょっと抵抗するような間を置きながら顎に手をやることが癖みたい。最近発見したのだ。
「元気でいいなあって思ったよ。」
「元気って、うるさいってこと?」
「じゃなくて明るくて楽しそうだなあって。先輩ともすぐに打ち解けた感じだったし、だから仕事を頼まれるんじゃないの?僕はほとんど頼まれないよ。」
うるさいってことじゃないと分かってホッとした。
仕事を頼まれるのは女性だからだと思った。
お手伝いのような単純な仕事ばっかりだし、男性に頼むよりは女性にって。
まさかそれをそんな風に思ってたなんて。
全く私の受け取り方とは逆じゃない。
聞いてみないと分からない。
『いくい』より『つつい』の方が呼びやすいなんて理由もあるんだし。
「じゃあ、僕は?」
「それは・・・・・・。」
思わず手が止まり、上を向く。
言いにくいなあ・・・・でも前に言ったよね?
それに今さらだよね?
「あんまりいい印象じゃないんだ。そうやって考える風に視線をそらすんだよね。」
私の癖を言ったの?
さっき私が分かりやすいって思った事なのに、生井君もそんなポイントを見つけてたらしい。
でも私は教えない。内緒で観察するんだから。
「最初はなんだか嫌われてるって思ってた。全然仲良くなれないなあって思ってたし。」
「確かにそう言ってたね。何でだろう?」
「でも何を考えてるのか分からないってよく言われてたなあ。」
さり気なく過去を振り返った生井君。
それはきっと彼女に言われたことなんだよね?
男友達じゃないよね。
初めて聞いたかもしれない。
過去の彼女の顔を思い出してるのか、なかなか現実に戻ってこない生井君。
今自分は嫉妬してるんだと思う。
私の知らない思い出の中で生井君が再会してる昔の彼女に。
『只今恋愛中』の看板を掲げても、そんな気持ちは消せない。
正面からじっと見てたらやっと戻って来てくれたみたい。
「ああっ、あれ?何?」
「ううん、なんだかすごく懐かしい思い出に浸ってるなあって、そんな生井君をはじめて見たなあって思ってただけ。」
そう言って視線を外して料理を見た。
ぶすっとフォークを突き刺してお肉を食べた。
どうせ大きな塊はちょっとしか食べない生井君。
一緒に食べてても半分以上が私。
生井君が葉っぱを食べてる時に私は肉を食べてる。
小食の草食だって思ってたのに、そうじゃない過去があったらしい。
モグモグと音がするくらいかみ砕いて飲み込んで、次々と消える塊。
お酒も食事もどんどん進む。
もしかして私には悲しくて食が細くなるってことない?
元気になろうと逆に食べる?
自分の生存本能の逞しさを見た気がした。
生き抜いていけそう、どんなことがあっても生き残れそう。
それでも満腹にはなる。
頭もぼんやりとはして来るくらいに飲んだし。
「終わりにする?」
「うん。もういい。満腹。」
結局二人の取り皿の汚れ具合を見ればわかる。
私は今日も元気に食べたのだ。
それでも半分づつ、もしくは交互に奢り合う。
一緒に手をつないで帰った。
飲み過ぎたんだと思う、ちょっとふらついてしまいそうだった。
酔っ払いの多い電車の中で、大人しく横に立って吊革を掴んで。
明日は祝日だ、わ~い。
そうやって約束をした。
お母さんには明日のお昼ご飯までいらないと言ってある。
生井君の家に連れて帰られる。そこは予定通り。
「そんなにいつもより飲んだかな?ちゃんと歩けるよね。」
改札を出て歩いてるのに聞かれた。
「ちゃんと歩いてるじゃない。」
「まあそうだけど、なんだか油断すると座り込みそうだし、寝そうだし。あと少しだから頑張ってね。」
眠い。週末でもない水曜日なのに、疲れてるって程でもないのに。
「『希那』ってなんで?男の人の名前なのかな?」
「母親の名前を、『希美(のぞみ)』から一文字をとって、後は姉とお揃いにした感じでつけられたらしい。」
「じゃあお姉さんの『芹那』さんは?なんで?」
「さあ?」
「なんだ。お父さんの名前とは関係ないの?」
「父親は『雄一』だから、全く関係ない。親族にもいないと思う。」
「芹那さんかあ、美人だったよね。仲良しなんだね。」
「まあ、普通じゃないかな?でもほとんど連絡は家族間の連絡だけだなあ、何かを相談したり、報告したりは・・・・・ない。」
「ふうう~ん。」
また顎を触ってた。
何が気になったんだか。
何かを相談したのかもしれない。
会って食事をしたときに、どうなのとか聞かれて、同僚が女子で一人で、まだ仲良くはなってないとか、そんな事。
でもそんな事相談とは言わないか。
ああ、昔よくしてたのかもしれない。
『また何を考えてるのか分からないって言われたんだけど・・・。』って。
『そうなの?すごくわかりやすいけど。ちゃんと笑顔を見せてる?黙ってちゃダメよ。』なんて言われたり。
だってあの時は二人とも笑顔で、会社で見る半眼の生井君なんて、どこ行ったってくらいだった。
だからお姉さんには分かりやすい素直でかわいい弟なのかもしれない。
ああ・・・別にどうでもいいや・・・・。
部屋に着いたし。
あの二人と顔を合わせることもなく、課内の先輩たちからも探りを入れられる視線もないと思う。
そして漏れ出してない私は友達にも褒められることもなく。
そんな日常が当たり前で・・・。
なんだろう、こんな普通の感覚。
週末の予定を立てて、部屋に誘われたら泊りにも行く。
一緒にデートもして手もつなぐし、半眼じゃない笑顔も見慣れたし。
お姉さんと一緒にいた時よりも笑顔じゃない?って思うくらい。
私も笑顔だと思う。
でも職場では一切気配がない。
あれから資料室に行くことも減ってる。
何でだろうって思うけど、他の人ももちろん頼まれてない。
単に用がないらしい。
だから資料室のドキドキなんて全く妄想でもないレベルだ。
どうなんだろう?
ランチの時に彼の話をする夢ちゃんを観察した。
可愛いしキラキラして嬉しそうにしてる。
羨ましいなあ。
私はお母さん相手にこんな顔してたのかなあ?
「お帰り。お父さんももうすぐ帰ってくるからシャワー先にしたら?」
「そうする。お腹空いたなあ。」
シャワーを浴びて、着替えて、鏡の中の自分を見る。
は~、やっぱり少しも漏れ出てないじゃない。
ただの血色よくなった健康な女子。
きっと食事の後には笑顔も追加される女子。
それだけ。
お母さんの手伝いをしながら聞いてみる。
「ねえねえ、毎日好きな人に会ってるのに誰もきれいになったとか、隠せてないとか、何とか褒めてくれないんだけど。全然幸せが漏れ出てないみたい。」
「あんなにバレたら恥ずかしいし、仕事しにくいって心配してたのに?今度はバレたいの?」
「違うよ。別に相手は誰か言わなくても恋愛中ですって看板掲げられるくらいキラキラしたいじゃない。夢ちゃんなんてランチの時に嬉しそうに彼氏のことを話してるんだよ。ハピマックス状態がずっと続いてるの。羨ましいんだもん。」
「里穂は?」
「だってお互いに普通過ぎるんだもん。ぜんぜん挨拶くらいだし、表情も平坦だし。」
「それは職場だし、ヘラヘラしたら周りが迷惑よ。週末は里穂もマックスを隠せない声と笑顔で出かけてるじゃない。」
「本当?ハピマックス状態?ちゃんと恋愛中の看板出てる?」
「出てる出てる。浮かれ過ぎてお父さんが寂しそうな顔してるのにも気がついてないでしょう?」
「え、してるの?」
「してるよ。行ってらしゃいも元気ないくらいじゃない。気がついてないんだったら相当だから、大丈夫。」
「そうか・・・・看板出てるのか・・・・。」
そんな話がうれしかったけど、そんな事を喜びたかったんだっけ?
結局褒めてくれてないお母さん。
相手にしてるのがお母さんだけだからそこを信じるしかない。
二人とも公私の区別がつけれる器用な二人だということでいいか。
あれから泊まりに行っても先に起きだすことはなくなった生井君。
その代わりに遠慮なく起こされる。それが夜中だったり、朝方だったり。
その度に寝ぼけながらおはようって一応は言うんだから。
その数時間後にまた言うことになるけどね。
へへへっ。
待ち合わせのカフェの席で携帯の写真を見ながら表情が緩む。
デート先で撮った写真は誰にも見られないようにロックしてる。
そんな変な写真じゃない。
二人がデート先の背景と写った普通の写真がほとんど。
ちょっとくっつかないと見切れちゃうからくっつくけど、仲良し二人の写真。
部屋でとった油断した写真もお互いあるけどそっちはもっと秘密。
でもちゃんと服は着てるし。
「うれしそうだね。」
そう声をかけられてビックリした。
生井君がいた。
「楽しそうに笑顔で携帯を見てたけど、最初の頃よくそんな顔見てたな。懐かしい。」
もちろん最初の頃って言うのは研究の書を読んで妄想全開の時だと思う。
あの頃とは全然違うのに。
絶対リアルの方がいいはずなのに。
でも嬉しそうで楽しそうな顔をしてたらしい。
「お疲れ様。」
「お疲れ様。」
「お腹空いた?」
「もちろん。」
「だと思った。」
毎回の事だけど私がより食欲を見せる。
だってそんな約束の日はランチを軽めにしてるし、それにお昼からだって凄く時間が経ってるんだから。
なんだか本当に底の浅いヘラヘラした食い気のある女みたいじゃない。
まあ、ちょっとはそうだけど。
だから最初の頃はバカにされたり、呆れたりしてるんだと思った。
全く違うタイプの生井君は驚き呆れ・・・・あ~あって思ってるんだと思った。
違うとはわかったけど、なんと思ってたんだろう?
「ねえ、最初の頃の私の印象ってどんな感じだったの?」
そう言ったらちょっと伏し目で顎をこする生井君。
照れたり言いにくい時、ちょっと抵抗するような間を置きながら顎に手をやることが癖みたい。最近発見したのだ。
「元気でいいなあって思ったよ。」
「元気って、うるさいってこと?」
「じゃなくて明るくて楽しそうだなあって。先輩ともすぐに打ち解けた感じだったし、だから仕事を頼まれるんじゃないの?僕はほとんど頼まれないよ。」
うるさいってことじゃないと分かってホッとした。
仕事を頼まれるのは女性だからだと思った。
お手伝いのような単純な仕事ばっかりだし、男性に頼むよりは女性にって。
まさかそれをそんな風に思ってたなんて。
全く私の受け取り方とは逆じゃない。
聞いてみないと分からない。
『いくい』より『つつい』の方が呼びやすいなんて理由もあるんだし。
「じゃあ、僕は?」
「それは・・・・・・。」
思わず手が止まり、上を向く。
言いにくいなあ・・・・でも前に言ったよね?
それに今さらだよね?
「あんまりいい印象じゃないんだ。そうやって考える風に視線をそらすんだよね。」
私の癖を言ったの?
さっき私が分かりやすいって思った事なのに、生井君もそんなポイントを見つけてたらしい。
でも私は教えない。内緒で観察するんだから。
「最初はなんだか嫌われてるって思ってた。全然仲良くなれないなあって思ってたし。」
「確かにそう言ってたね。何でだろう?」
「でも何を考えてるのか分からないってよく言われてたなあ。」
さり気なく過去を振り返った生井君。
それはきっと彼女に言われたことなんだよね?
男友達じゃないよね。
初めて聞いたかもしれない。
過去の彼女の顔を思い出してるのか、なかなか現実に戻ってこない生井君。
今自分は嫉妬してるんだと思う。
私の知らない思い出の中で生井君が再会してる昔の彼女に。
『只今恋愛中』の看板を掲げても、そんな気持ちは消せない。
正面からじっと見てたらやっと戻って来てくれたみたい。
「ああっ、あれ?何?」
「ううん、なんだかすごく懐かしい思い出に浸ってるなあって、そんな生井君をはじめて見たなあって思ってただけ。」
そう言って視線を外して料理を見た。
ぶすっとフォークを突き刺してお肉を食べた。
どうせ大きな塊はちょっとしか食べない生井君。
一緒に食べてても半分以上が私。
生井君が葉っぱを食べてる時に私は肉を食べてる。
小食の草食だって思ってたのに、そうじゃない過去があったらしい。
モグモグと音がするくらいかみ砕いて飲み込んで、次々と消える塊。
お酒も食事もどんどん進む。
もしかして私には悲しくて食が細くなるってことない?
元気になろうと逆に食べる?
自分の生存本能の逞しさを見た気がした。
生き抜いていけそう、どんなことがあっても生き残れそう。
それでも満腹にはなる。
頭もぼんやりとはして来るくらいに飲んだし。
「終わりにする?」
「うん。もういい。満腹。」
結局二人の取り皿の汚れ具合を見ればわかる。
私は今日も元気に食べたのだ。
それでも半分づつ、もしくは交互に奢り合う。
一緒に手をつないで帰った。
飲み過ぎたんだと思う、ちょっとふらついてしまいそうだった。
酔っ払いの多い電車の中で、大人しく横に立って吊革を掴んで。
明日は祝日だ、わ~い。
そうやって約束をした。
お母さんには明日のお昼ご飯までいらないと言ってある。
生井君の家に連れて帰られる。そこは予定通り。
「そんなにいつもより飲んだかな?ちゃんと歩けるよね。」
改札を出て歩いてるのに聞かれた。
「ちゃんと歩いてるじゃない。」
「まあそうだけど、なんだか油断すると座り込みそうだし、寝そうだし。あと少しだから頑張ってね。」
眠い。週末でもない水曜日なのに、疲れてるって程でもないのに。
「『希那』ってなんで?男の人の名前なのかな?」
「母親の名前を、『希美(のぞみ)』から一文字をとって、後は姉とお揃いにした感じでつけられたらしい。」
「じゃあお姉さんの『芹那』さんは?なんで?」
「さあ?」
「なんだ。お父さんの名前とは関係ないの?」
「父親は『雄一』だから、全く関係ない。親族にもいないと思う。」
「芹那さんかあ、美人だったよね。仲良しなんだね。」
「まあ、普通じゃないかな?でもほとんど連絡は家族間の連絡だけだなあ、何かを相談したり、報告したりは・・・・・ない。」
「ふうう~ん。」
また顎を触ってた。
何が気になったんだか。
何かを相談したのかもしれない。
会って食事をしたときに、どうなのとか聞かれて、同僚が女子で一人で、まだ仲良くはなってないとか、そんな事。
でもそんな事相談とは言わないか。
ああ、昔よくしてたのかもしれない。
『また何を考えてるのか分からないって言われたんだけど・・・。』って。
『そうなの?すごくわかりやすいけど。ちゃんと笑顔を見せてる?黙ってちゃダメよ。』なんて言われたり。
だってあの時は二人とも笑顔で、会社で見る半眼の生井君なんて、どこ行ったってくらいだった。
だからお姉さんには分かりやすい素直でかわいい弟なのかもしれない。
ああ・・・別にどうでもいいや・・・・。
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