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間章7
間話60 春風とルーシー・2
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*間章7、最終話です。
それは、春風が「賢者」へとランクアップし、セイクリア王国へ向かうと決めた、その日の夜のことだった。
「天使」となったモーゼスとの戦いの後、春風達は自分達の拠点に戻った。本当はすぐにでもセイクリア王国へと向かいたかったが、
「春風君、君ここまでの道のりやらランクアップしたばかりで疲れただろう? まずは一晩しっかり休むように」
と、フリードリヒに言われてしまい、
「……わ、わかりました」
と、春風は渋々その提案を受け入れた。
その後、春風達は一旦二手に分かれて、春風達「七色の綺羅星」の面々は自分達の拠点に、歩夢、小夜子ら「勇者」達と、冬夜、雪花、静流、そして師匠の凛依冴は、シャーサル内の宿屋に泊まることになった。ただ、その際に、
「私もハニーの家に行きたい!」
と、凛依冴がそんなことを言ってきたのだが、
「絶対に駄目!」
と、小夜子に叱られてしまい、泣く泣く断念したそうだ。
さて春風達はというと、また変装するのかと思っていたが、フリードリヒ曰く、
「ああ、それなら大丈夫。住人のみんなは『事情』を理解しているから」
とのことなので、春風達は不安になりながらも、そのまま拠点へと戻った。
その結果、
『おかえり、七色の綺羅星!』
と、フリードリヒが言った通り、住人達は春風達を咎めることなく受け入れていたので、
「シャーサルの皆さん……」
『ただいま!』
と、春風達は笑顔でそう言った。
その後、本当の意味でシャーサルに帰ってきた春風達は、それぞれ楽しいひと時を過ごした。
そしてその夜、
(……イブリーヌ様)
拠点内の自室にあるベッドの上で、春風がイブリーヌのことを考えていると、トントンと自室の扉をノックする音が聞こえたので、
「ん? 誰?」
と、春風が尋ねると、扉がゆっくりと開かれて、
「い、今、いいですか?」
と、その隙間からゆっくりとルーシーが顔を出してきた。
それからすぐに、ベッドから起き上がった春風は、ルーシーを中に招き入れると、
「し、失礼、します」
と言って、ルーシーは春風の隣に座った。因みに、ジゼルはというと、
「では、ごゆっくり」
と、小さく笑いながら部屋を出ていった。
その後、部屋にルーシーと2人っきりになって、春風は何故か恥ずかしくなったが、
「え、えーっと、どうしたんだいルーシー?」
と、このままではいけないと思い、顔を赤くしながらルーシーに向かってそう尋ねた。
すると、ルーシーも「ふえ!?」と顔を赤くしたが、すぐに首を横に振るって、
「そ、その……ハル、兄さん」
と、真面目な表情で春風を見た。
春風はそんなルーシーを見て、「な、何?」と戸惑っていると、
「は、話は、聞きましたけど、改めて、聞きます、けど……兄さんも、『裏スキル』を、手に、入れたんですよ、ね?」
と、ルーシーは恐る恐るそう尋ねてきた。
確かにルーシーが言ったように、モーゼスとの戦いの後、春風は仲間達にランクアップの経緯を話した。当然、その中には裏スキル[暴食]についてのことも含まれている。
しかし、まさかそのことで改めて質問されるとは思わなかったので、
「あ、ああ、うん。手に入れたけど、どうしたの?」
と、春風は戸惑いながらそう尋ね返した。
すると、ルーシーはシュンとなって、
「あ、あの、オズワルド様との話、覚えて、ますか?」
と、再び春風に尋ねた。
「え、オズワルド様……て、あ」
それを聞いた瞬間、春風はオズワルドから聞いた「裏スキル」についての話を思い出した。
ーー「裏スキル」を使い続けてた者の多くは、皆悲劇的な最期を迎えていたんだ。
その言葉を思い出した時、春風はルーシーが何を思ってるのかを理解した。
(そっか、俺のこと、心配してくれてるんだな)
そう考えた春風は、「フ……」と小さく笑って、
「ねぇ、ルーシー」
「は、はい」
「もしもだけどさ、ルーシーがまた[憤怒]の裏スキルを使うことがあったら、遠慮なく言ってくれ」
その言葉に、ルーシーが「え?」となると、
「その時はさ、俺が[暴食]で、その力、全部食ってやるから。なんてね」
と、春風は冗談混じりに笑顔でそう言った。
その言葉に、ルーシーはポカンとなったが、すぐに「むぅ」と頬を膨らませて、
「そ、そんなことしたら、本気で怒る、からね」
と、プンスカと怒りながらそう返した。
その後、2人は話がおかしかったのか、「アハハ」とお互い笑い合うと、
「に、兄さん……」
と、ルーシーが先に口を開いた。
「何、ルーシー?」
と、春風がそう返事すると、
「わ、私……兄さんが、好きです」
「……」
「私、世界が救われても、兄さんと、一緒に、いたい、です」
と、ルーシーはまっすぐ春風を見つめながらそう言った。
「……俺、複数の女の子達の影があるんだけど?」
と、春風もまっすぐルーシーを見てそう尋ねると、
「そ、それでも、構い、ません!」
と、ルーシーは更に真剣な表情でそう答えた。
「……いいよ。世界を救った後も、一緒にいよう」
拒む理由は、春風になかった。何故なら、この世界で一緒に暮らしていくうちに、春風もまた、ルーシーに対する「想い」に変化が起きていたからだ。
その答えを聞いて、ルーシーは「うぅ……」と唸ると、ガバッと春風を押し倒した。
そして、
「大好き、です、ハル兄さん」
そう言うと、ルーシーは春風と唇を重ねた。
春風は最初驚いていたが、すぐにスッと目を閉じて、ルーシーを受け入れた。
一方、部屋の外では、
ーーいよっしゃあああああああっ!
と言わんばかりに、フィオナ、アデル、ケイト、クレイグが、無言でガッツポーズをとり、
「ウフフ、春風様ったら」
と、ジゼルは穏やかな笑みを浮かべていた。
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どうも、ハヤテです。
というわけで、以上で間章7は終了し、次回からは本編新章となります。
お楽しみに。
それは、春風が「賢者」へとランクアップし、セイクリア王国へ向かうと決めた、その日の夜のことだった。
「天使」となったモーゼスとの戦いの後、春風達は自分達の拠点に戻った。本当はすぐにでもセイクリア王国へと向かいたかったが、
「春風君、君ここまでの道のりやらランクアップしたばかりで疲れただろう? まずは一晩しっかり休むように」
と、フリードリヒに言われてしまい、
「……わ、わかりました」
と、春風は渋々その提案を受け入れた。
その後、春風達は一旦二手に分かれて、春風達「七色の綺羅星」の面々は自分達の拠点に、歩夢、小夜子ら「勇者」達と、冬夜、雪花、静流、そして師匠の凛依冴は、シャーサル内の宿屋に泊まることになった。ただ、その際に、
「私もハニーの家に行きたい!」
と、凛依冴がそんなことを言ってきたのだが、
「絶対に駄目!」
と、小夜子に叱られてしまい、泣く泣く断念したそうだ。
さて春風達はというと、また変装するのかと思っていたが、フリードリヒ曰く、
「ああ、それなら大丈夫。住人のみんなは『事情』を理解しているから」
とのことなので、春風達は不安になりながらも、そのまま拠点へと戻った。
その結果、
『おかえり、七色の綺羅星!』
と、フリードリヒが言った通り、住人達は春風達を咎めることなく受け入れていたので、
「シャーサルの皆さん……」
『ただいま!』
と、春風達は笑顔でそう言った。
その後、本当の意味でシャーサルに帰ってきた春風達は、それぞれ楽しいひと時を過ごした。
そしてその夜、
(……イブリーヌ様)
拠点内の自室にあるベッドの上で、春風がイブリーヌのことを考えていると、トントンと自室の扉をノックする音が聞こえたので、
「ん? 誰?」
と、春風が尋ねると、扉がゆっくりと開かれて、
「い、今、いいですか?」
と、その隙間からゆっくりとルーシーが顔を出してきた。
それからすぐに、ベッドから起き上がった春風は、ルーシーを中に招き入れると、
「し、失礼、します」
と言って、ルーシーは春風の隣に座った。因みに、ジゼルはというと、
「では、ごゆっくり」
と、小さく笑いながら部屋を出ていった。
その後、部屋にルーシーと2人っきりになって、春風は何故か恥ずかしくなったが、
「え、えーっと、どうしたんだいルーシー?」
と、このままではいけないと思い、顔を赤くしながらルーシーに向かってそう尋ねた。
すると、ルーシーも「ふえ!?」と顔を赤くしたが、すぐに首を横に振るって、
「そ、その……ハル、兄さん」
と、真面目な表情で春風を見た。
春風はそんなルーシーを見て、「な、何?」と戸惑っていると、
「は、話は、聞きましたけど、改めて、聞きます、けど……兄さんも、『裏スキル』を、手に、入れたんですよ、ね?」
と、ルーシーは恐る恐るそう尋ねてきた。
確かにルーシーが言ったように、モーゼスとの戦いの後、春風は仲間達にランクアップの経緯を話した。当然、その中には裏スキル[暴食]についてのことも含まれている。
しかし、まさかそのことで改めて質問されるとは思わなかったので、
「あ、ああ、うん。手に入れたけど、どうしたの?」
と、春風は戸惑いながらそう尋ね返した。
すると、ルーシーはシュンとなって、
「あ、あの、オズワルド様との話、覚えて、ますか?」
と、再び春風に尋ねた。
「え、オズワルド様……て、あ」
それを聞いた瞬間、春風はオズワルドから聞いた「裏スキル」についての話を思い出した。
ーー「裏スキル」を使い続けてた者の多くは、皆悲劇的な最期を迎えていたんだ。
その言葉を思い出した時、春風はルーシーが何を思ってるのかを理解した。
(そっか、俺のこと、心配してくれてるんだな)
そう考えた春風は、「フ……」と小さく笑って、
「ねぇ、ルーシー」
「は、はい」
「もしもだけどさ、ルーシーがまた[憤怒]の裏スキルを使うことがあったら、遠慮なく言ってくれ」
その言葉に、ルーシーが「え?」となると、
「その時はさ、俺が[暴食]で、その力、全部食ってやるから。なんてね」
と、春風は冗談混じりに笑顔でそう言った。
その言葉に、ルーシーはポカンとなったが、すぐに「むぅ」と頬を膨らませて、
「そ、そんなことしたら、本気で怒る、からね」
と、プンスカと怒りながらそう返した。
その後、2人は話がおかしかったのか、「アハハ」とお互い笑い合うと、
「に、兄さん……」
と、ルーシーが先に口を開いた。
「何、ルーシー?」
と、春風がそう返事すると、
「わ、私……兄さんが、好きです」
「……」
「私、世界が救われても、兄さんと、一緒に、いたい、です」
と、ルーシーはまっすぐ春風を見つめながらそう言った。
「……俺、複数の女の子達の影があるんだけど?」
と、春風もまっすぐルーシーを見てそう尋ねると、
「そ、それでも、構い、ません!」
と、ルーシーは更に真剣な表情でそう答えた。
「……いいよ。世界を救った後も、一緒にいよう」
拒む理由は、春風になかった。何故なら、この世界で一緒に暮らしていくうちに、春風もまた、ルーシーに対する「想い」に変化が起きていたからだ。
その答えを聞いて、ルーシーは「うぅ……」と唸ると、ガバッと春風を押し倒した。
そして、
「大好き、です、ハル兄さん」
そう言うと、ルーシーは春風と唇を重ねた。
春風は最初驚いていたが、すぐにスッと目を閉じて、ルーシーを受け入れた。
一方、部屋の外では、
ーーいよっしゃあああああああっ!
と言わんばかりに、フィオナ、アデル、ケイト、クレイグが、無言でガッツポーズをとり、
「ウフフ、春風様ったら」
と、ジゼルは穏やかな笑みを浮かべていた。
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どうも、ハヤテです。
というわけで、以上で間章7は終了し、次回からは本編新章となります。
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