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第14章 更なる「力」を求めて
第425話 水音編21 「天使」と「悪魔」達の戦い
しおりを挟む水音達の前に現れた、「天使」となったルイーズ。
そんな彼女に立ち向かう為、水音達はそれぞれの武器を構えて戦闘態勢に入った。
お互い睨み合う中、先に動いたのは、
「ハァ!」
ーーガキィン!
「グゥ! は、早い!」
ルイーズだった。
彼女は目にも止まらぬ速さで水音に迫ると、眩い光から一本の剣を取り出して水音を貫こうとしたが、その前に水音は持っていた愛用の長剣ガッツに、自身の能力である「鬼の闘気」を纏わせて、それでルイーズの攻撃を防いだ。
「チィ! それが貴様の『力』か!?」
攻撃を防がれたルイーズがそう悪態を吐くと、
「隙だらけだ!」
と、ルイーズの全方向から、セレスティア、リネット、アビゲイル、煌良、そして、狼形態のグレアムが攻撃を仕掛けた。
しかし、
「邪魔をするな!」
と、ルイーズは背中の翼を羽ばたかせて、セレスティア達を吹き飛ばした。
すると、
(今だ!)
と、心の中でそう呟いた水音は、ガッツに纏わせた「鬼の闘気」を強くして、力いっぱいルイーズを押し返した。
「くぅ! おのれ……」
押し返されたルイーズはすぐに持っていた剣を地面に突き立てて、その場に踏ん張った。
その時、
「これでも、くらいやがれ!」
と、アビゲイルが持っていた大振りの金槌に自身の魔力を纏わせて、それで思いっきり地面をぶっ叩いた。
次の瞬間、叩かれた地面からいくつもの荊が伸びて、ルイーズに襲いかかった。
それと同時に、麗生の持つ弓から、何本もの魔力の矢が、ルイーズに向かって放たれた。
「なぁめるなぁ!」
そう叫んだルイーズは、地面に突き立てた剣を構え直すと、それに純白の光を纏わせた。
その後、その状態の剣を両手でしっかり握ると、自身に迫る荊と魔力の矢に向かって力いっぱい振るった。
次の瞬間、剣から放たれた純白の斬撃が、荊と魔力の矢を残らず消し去った。
「フン、こんなものか」
と、ルイーズが鼻で笑うと、
「そんなわけない!」
「何!?」
リネットがルイーズに飛びかかった。
右手に剣を握り、左手に異形のオーラを纏わせて。
(な、何だ!?)
驚くルイーズを前に、リネットは左手のオーラと右手の剣、左右異なる攻撃何度も繰り出した。
「こ、こいつ……!」
ルイーズはリネットの攻撃を何とか防御していったが、
「「ハァアッ!」」
と、そこへ水音とセレスティアの攻撃も加わってきた。
「なぁ!?」
防御してる最中に受けた3人同時攻撃に、流石のルイーズも今度こそ吹っ飛ばされ、地面に何度もバウンドした。
「く、貴様らぁ……」
口から血を吐き、ヨロヨロとしながらも立ち上がったルイーズに、セレスティアは言い放つ。
「どうだ、如何に貴様が『天使』になったと言えど、この人数を相手に勝てるのか!?」
そう言われたルイーズは口元の血を拭うと、
「ならば、こちらも本気を出さないとな」
と、ニヤリと笑いながらそう言った。
その言葉を聞いて、水音達が「何?」と頭上に「?」を浮かべると、
「ハァアアアアアアア……」
と、ルイーズは全身に力を込めた。
すると次の瞬間、ルイーズの背中の翼の下から、更にもう1組の純白の翼が生えてきた。
「な、何だと!?」
と、驚くセレスティアを前に、ルイーズは言う。
「この翼は天使の『強さ』を表すもの。そして私は、2つの職能を持つ重職保持者。故に私は、2組の翼を与えられた。即ち、こうなった時の私の『強さ』も上がるというわけだ」
冷たい口調でそう言ったルイーズ。その彼女の言葉に、
「そ、そんな……」
と、水音はショックを受けた。それはセレスティア達も同様だった。
しかし、そんな彼らを前に、
「更に……」
と、ルイーズがそう言うと、彼女の左右の空間に、2つの黒い大きな「穴」が開いた。
「な、何だあれ?」
と、アビゲイルがそう呟くと、2つの「穴」から異形の「何か」が出てきた。
その「何か」を見て、
「あ、アレは、風の神ガストが操ってた……!」
と、学が驚きの声を上げると、ルイーズは「フッフッフ……」と笑いながら答える。
「そう、神々が生み出し、神々より賜った『神獣』達だ!」
そう答えた後、穴から何体もの「神獣」達が現れた。
その「神獣」達に向かって、
「さぁ、神獣達よ! まずはあの『悪魔』の周りにいる邪魔者どもを始末せよ!」
と、水音の周りにいるセレスティア達を指差しながらそう命令した。
そして、その命令に従うかのように、
『ゴァアッ!』
と、神獣達はセレスティア達に襲いかかった。
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