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第14章 更なる「力」を求めて
第424話 水音編20 「天使」になった女
しおりを挟む夜の闇に紛れて現れた謎の人物。
水音を殺す為に来たその人物の正体は女性で、
「あ、あなたは!」
水音はその女性を知っていたようだった。驚く水音の横では、セレスティアも水音と同じような表情をしていた。
「あなたはぁ!」
そう言った水音に、リネット、アビゲイル、ループス、分身1号、煌良、学、麗生、グレアムの視線が集まった。
そして、その場が緊張に包まれた時、水音の口から出たのは、
「……ど、どちら様……でしたっけ?」
まさかの「ボケ」だった。
その瞬間、水音達と女性の間をヒュウと風が吹き抜けて、セレスティアを除いたその場にいる人達が、
『ズコォーッ!』
と叫びながらずっこけた。当然、その中には水音を殺そうとした女性も入ってた。
その後、
「おいコラ、水音ぉ! そりゃないだろ!」
と、ガバッと起き上がったループスが水音向かってそう怒鳴ると、
「え、あ、すみません! あの人自体は覚えてるんですけど、なんて名前だったかまでは覚えてなくて……!」
と、水音は謝罪しながら、目の前にいる震えながら起きあがろうとしている女性を見てそう説明した。
すると、
「あの女の名はルイーズ。以前、幸村春風を暗殺しようとした、セイクリア王国の騎士だ」
と、セレスティアが目の前の女性を見ながらそう言ったので、水音は「あ、そうでした」と思い出したかのような表情になり、
「そ、そうなんですか?」
と、漸くずっこけた状態から立ち上がった煌良がそう尋ねてきた。
その質問に、セレスティアは答え続ける。
「ああ、そうだ。そして、暗殺が失敗した後、あの女は仲間達と共に牢屋に入れられ、刑を受ける筈だったのだが、どういうわけか突然牢屋から消えたのだそうだ。まさかここに現れるとはな……」
そう説明し終えると、
「……そう、確かに私はあの後、弟のアッシュと仲間達と共に牢屋で刑を待っていた。だがその時、私達の前に『あの方々』が現れたのよ」
と、女性ーールイーズはゆっくりと口を開いてそう言った。
その言葉を聞いて、
「あの方々だと……ってまさか!?」
と、ループスが何かに気付いたかのようにそう尋ねると、ルイーズはニヤリと口元を歪ませて、
「そうだ、邪神ループス。私達の前に、『神々』が現れたのよ!」
と、そう言い放った。
その瞬間、ループスの横で聞いていた分身1号が、「ヒィ!」と小さく悲鳴をあげて、ガクガクと激しく体を震わせた。
「ん? おい、どうした1号?」
と、ループスがチラッと分身1号を見てそう尋ねると、分身1号は体を震わせながら、
「や、やばいよ、あの人……アレはもう、『人』じゃなくなってるよ!」
と、目の前にいるルイーズを見てそう叫んだ。
その言葉にセレスティアが「何だと!?」と言うと、
「そう、私はもう『人』ではない」
と、ルイーズがそう言った次の瞬間、彼女の背中から2つの白い光が噴き出た。
突然のことに水音達が驚いていると、ルイーズの背中から出てきた光が形を変えた。
出来上がったのは、大きな純白の「翼」だった。
そしてそれを見た瞬間、
「そ、その姿! 貴様ぁ、奴らに体を改造されたなぁ!?」
と、ループスは激昂しながらルイーズを問い詰めた。
その問いに対し、ルイーズは「アハハ」と笑いながら答える。
「ああ、そうだ、邪神ループスよ! 私達は『神々』によって新たに生まれ変わったのさ! 『神々』の使いである、『天使』にな!」
その答えを聞いた時、分身1号は「ヒィイ!」と悲鳴をあげて更に体を震わせた。
そして、側で聞いていた水音達も、顔を強張らせてその場から動けずにいた。
しかし、そんな水音達を前に、「天使」となったルイーズは、
「そして、私がここへ来た目的! それは桜庭水音、神の名のもとに、神を裏切った『青き悪魔』である貴様を裁きに来たのだ!」
と、水音を指差してそう言い放った。
その言葉を聞いた後、
「フン! そんなことさせるものかぁ!」
と叫んだセレスティアをはじめ、煌良達もそれぞれ武器を構えて戦闘態勢に入った。
そんな中、水音はというと、自身の武器を構えながらも、
(まいったなぁ、僕まだパワーアップしてないのに……)
と、タラリと冷や汗を流しながら、心の中でそう呟いていた。
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