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第14章 更なる「力」を求めて
第426話 水音編22 ピンチと、頼もしき「助っ人」達
しおりを挟むルイーズが召喚した、「神獣」と呼びし異形の怪物達。
それは、鳥や虎、更にはゴリラのような姿をしていて、「神々(偽物)」が作った為か、皆、恐ろしくも何処か神々しいものが感じられた。
そして今、
「さぁ、神獣達よ! まずはあの『悪魔』の周りにいる邪魔者どもを始末せよ!」
と、ルイーズがそう命令すると、神獣達は水音を無視して、その周りにいるセレスティア達に襲いかかった。
「セ、セレスティア様! みんなぁ!」
驚いた水音は、すぐにセレスティア達を助けようとしたが、
「貴様の相手は私だ!」
「っ!」
それを遮るように、ルイーズが水音の目の前に現れて、その手に握る剣を振り下ろした。
ーーガキィン!
「くぅっ!」
水音は何とかその一撃をガッツで受け止めたが、
(こ、これは! さっきのより重くなってる!?)
ルイーズの力が強くなったのを感じたのか、その重さに耐えきれず、水音は地面に片膝をついた。
「水音!」
セレスティアはすぐに水音のところへ向かおうとしたが、目の前にいる鳥型の神獣に邪魔されてしまう。
「ぐ、そこを退け!」
焦ったセレスティアは鳥型の神獣に向かって槍を振るったが、素早い動きで回避されてしまった。
それぞれが動けずにいる中、
「うぅ、一体、どうすれば?」
と、学が弱音を吐くと、
「ならば、こちらも『助っ人』を呼べばいい!」
と、側に立つグレアムはそう言って、襲いくる虎型の神獣を蹴り飛ばすと、夜空に向かって、
「ウオオオオオオオオン!」
と、力いっぱい雄叫びをあげた。
すると……。
ーーヒュッ!
「ギャウン!」
何処からか攻撃が放たれて、それがセレスティアを襲っている鳥型の神獣に直撃した。
「い、今のは!?」
と、驚くセレスティアが周囲を見回すと、突然目の前に数人の男女達が現れた。それと同時に、リネットや煌良達の前にも、セレスティアと同じように数人の男女達が現れた。
そして、その中の1人、20代後半くらいの大人しそうな男性が、
「グレアムさん、お呼びですか?」
と尋ねると、
「うむ。エルバート、そして皆さん……」
と、グレアムが「エルバート」と呼んだ男性と他の男女達に向かって言い放つ。
「狩りの時間だ!」
そう言った次の瞬間、男女達は一斉に力を込めると、それぞれグレアムと同じような狼に、犀、バイソン、鷲、ゴリラ、豹の姿に変身した。
そして、エルバートも、
「ハァア!」
と、全身に力を込めると、立派なたてがみを持つ白いライオンの姿に変身した。
当然、それを見た煌良が、
「おお、すごい! 是非とも戦いたい!」
と、目をキラキラと輝かせたのは、言うまでもない。
さて、そんな中、
「スゲェ、獣人がこんなにいるのかよ!」
「うわぁ」
と、戦闘開始から水音達とは離れた位置に移動したループスと分身1号が、目の前に現れた獣人達を見て驚いていた。
するとそこへ、
「獣人だけではありませんよ」
と、ループス達の近くにまた新たな数名の男女達が現れた。
「む、お前達は?」
と、ループス男女達の1人に尋ねると、それに答えるかのように、男女達の背中の両側からエネルギーが噴き出て、何かの形に変わった。
それは、綺麗な模様を持つ蝶の羽だった。
それを見て、ループスは再び尋ねる。
「お前達、妖精だったのか?」
その問いに答えるように、男女達は皆、笑顔でコクリと頷いた。
すると、そこへ更に、
『ループス様!』
と、ループスのもとへ駆け寄る者達が現れた。
それは、北の地でループスと暮らしていた、白いマントに不気味な仮面をつけた人物達だった。
仮面の人物達は妖精の男女達の側に立つと、その中の1人が仲間達に向かって叫んだ!
「行くぞみんな! ループス様を守るんだ!」
『オオッ!』
そう叫ぶと、仮面の人物達は一斉に仮面とマントを脱ぎ捨てた。
その正体は、水音や煌良達と同じ年頃の少年少女達だった。
少年少女達は、先ほど変身した男女達のように全身に力を込めると、ある者は狼や兎、狸の姿に、あるものは背中に小さな蝶の羽を生やした。
そう、彼らもまた保護区に住む人達と同じ、獣人と妖精だったのだ。
変身した少年少女達の1人が、
「僕達も手伝います!」
と、妖精の男性に言うと、
「助かる。ただし、無理はしちゃ駄目だよ」
と、妖精の男性は笑顔でそう返事した。
そして、
『はい!』
と、少年少女達もそう返事すると、彼らは数名ほどループス達の側に残して、セレスティア達の加勢に向かった。
さて、そんな中、彼らを見送った分身1号はというと、
(……すごいな、みんな)
と、まるで彼らに憧れているかのような視線を向けながら、心の中でそう呟いた。
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