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第14章 更なる「力」を求めて
第389話 リアナ編5 再会、リアナと「両親」
しおりを挟む突如、リアナ達の前に現れた、「黒い影のようなもの」達こと幽霊達。
その中の1体が、リアナを「私の娘」と言った。
「あなたが私の……お母さん?」
そんなわけのわからない状況に、リアナはただ困惑するだけだった。
そして、それはギャレット達も同様だった。
特にリアナの育ての親であるヘリアテスは、頭上にいくつもの「?」を浮かべていて、リアナ以上に困惑していた。
しかし、目の前の女性の幽霊はそんなリアナ達に構うことなく、
「ああ、リアナ! 私の可愛いリアナ! こんなに大きくなっちゃって……って、ああ! ご、ごめんねリアナ! 何処も怪我とかしてない!? 本当にごめんねぇ!」
と、リアナにかなり近い距離で色々と言った。
すると、そんな状況に耐えられなかったリアナは、
「あ、あのぉ、人違いじゃないでしょうか?」
と、女性の幽霊を落ち着かせようとしてそう尋ねたが、
「いいえ、そんなことないわ! 私にはわかるの! あなたは17年前、この私、シルビア・フィアンマが産んだ娘だって! ていうか……」
「?」
「何処の世界に、自分の娘がわからないお母さんがいるっていうの!?」
と、真っ直ぐな目でリアナを見ながらそう言い放った女性の幽霊ーーシルビアに、リアナはそれ以上何も言えないでいた。
すると、シルビアは他の黒い影のようなもの達の方へと振り向いて、
「あなたー! みんなー! 私の娘が、帰ってきたわよぉー!」
と叫ぶと、黒い影のようなもの達が一斉に姿を変えた。
それは、先程までの禍々しい姿とは違って、人間や、獣人、妖精と、様々な姿をした幽霊達だった。
「……本当に、リアナなのか?」
と、その中の1人、人間の男性の幽霊が、シルビアに向かってそう尋ねると、
「ええ、そうよあなた。私達の娘が、帰ってきたのよ」
と、女性は涙を流しながらそう答えた。
「う、お、お……」
男性は少しずつリアナに近づくと、
「うおー! リアナー! お父さんだよー! お父さんのエルネストだよー!」
と叫びながらリアナに飛びかかった。
「うえ!? ちょ、ちょっと……!」
驚いたリアナは咄嗟に身構えたが、男性の幽霊ーーエルネストに触られることはなかった。
何故なら、飛びかかったエルネストが、そのままスーッとリアナを通り抜けてしまったからだ。
その瞬間、
「……しまった。僕、幽霊なの忘れてた」
と、エルネストはショックでその場に縮こまった。
そしてそれと同時に、シルビアを含め、他の幽霊達も「そうだった」とその場に縮こまった。よく見ると、全員目から涙が溢れていた。
そんな彼らを見て、ヘリアテス達はどう反応すればいいのかわからず困った表情をしていたが、
「え、ええっとぉ、母さんと、父さんで、いいのかな?」
と、リアナが恥ずかしそうにシルビア達に向かってそう尋ねた。
その言葉にシルビア達が「え?」と反応すると、リアナは更に恥ずかしそうに、
「その……ただいま」
と言うと、シルビアとエルネストはブワッと滝のように涙を流して、
「「うわぁあああああん! おかえりリアナァアアアアアッ!」」
と、2人同時にリアナに飛びかかったが、またスーッとリアナを通り過ぎて、
「「うう。幽霊になった自分が憎い」」
と、その場にシュンと縮こまった。
そんな2人を見て、リアナは「えっとぉ……」と困った顔をすると、
「あ、あのぉ……」
と、何処からかそんな声がしたので、リアナ達は一斉にその声がした方へと振り向くと、
「ど、どうも、こんにちは、です」
と、そこにはフードをかぶった灰色ローブ姿の人物が立っていた。
「あー、あんたは?」
と、ギャレットが恐る恐る尋ねると、灰色ローブの人物も恐る恐る、
「ど、どうも、ここの、住人です」
と答えた。
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