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第14章 更なる「力」を求めて
第388話 リアナ編4 影のようなものの正体
しおりを挟む「……は? リアナ嬢ちゃん、今なんて言った?」
目の前にいる黒い影のようなもの達の正体を聞いて、ギャレットは頭上にいくつもの「?」を浮かべながら、リアナに向かって小声でそう尋ねた。
当然、ヘリアテスやアデレード達も、ギャレットと同じように頭上に「?」を浮かべて、何を言ってるのか理解出来ないと言わんばかりの表情をしていた。
しかし、リアナは真面目な表情で、
「いや、だからね、この人達は、『幽霊』なんだって」
と、目の前の黒い影のようなもの達を見つめながらそう言った。
それから数秒の沈黙後、
『ちょっと待てぇいっ!』
と、ギャレット達は一斉にリアナに突っ込みを入れた。
「え、どしたのみんな!?」
と、リアナが驚くと、
「いやおかしいだろ! 幽霊ってなんだ、幽霊って!?」
「そうだよ! 何でこんな昼間に幽霊なんかが出てくるの!?」
と、ギャレットと詩織が怒鳴りながら問い詰めてきた。
そんな2人に対してリアナが、
「何でって言われても……」
と、どう答えたらいいのかわからず困っていると、
「3人共、呑気なこと言ってる場合じゃないよ。彼らをよく見て」
と、アデレードが落ち着いた口調でそう言ったので、リアナ達は「ん?」と前を見た。
アデレードに言われて、リアナ達は黒い影のようなもの達をよく見てみると、彼らは皆、自分の腕にあたる部分を槍のように尖らせていて、今にも襲いかかってきそうな雰囲気をしていた。
ギャレットはそれを見て落ち着いたのか、
「……なぁ、リアナ嬢ちゃん。あいつら全員、本当に幽霊なんだな?」
と、視線を前に向けたままリアナに尋ねると、
「うん、間違いないよ。あの人達はこの村で死んだ人達の幽霊だよ」
と、リアナも視線を前に向けたまま答えた。
「……それって、俺が殺した者達っていう意味か?」
と、ギャレットが再びそう尋ねると、リアナは答えるのを躊躇ったが、
「……うん」
と、大きく頷いた。
その答えを聞いたギャレットは、
「そうかい。だったら……」
と、小さく呟くと、リアナ達より数歩前に出て、
「オイ、幽霊ども! この俺を覚えているか!?」
と、黒い影のような者達に向かってそう叫んだ。
「え、ちょ、何してんの!?」
と、驚くリアナ達だったが、ギャレットはそれに構わず叫び続ける。
「俺は、17年前にお前らを殺した、断罪官のギャレットだ! お前らはこの俺に恨みがあんだろ!? だったら、殺すなら俺1人だけを殺せ! その代わり、この嬢ちゃん達には手ェ出すんじゃねぇ!」
ギャレットが声高々にそう叫ぶと、黒い影のようなもの達は一瞬怯んだかに見えたが、やがてその中の1体が、意を決したかのようにギャレットに飛びかかった。
「っ!」
それを見た瞬間、リアナはダッと駆け出し、ギャレットを横に突き飛ばして、
「やめてぇ!」
と叫んだ。
「駄目ぇ、リアナァ!」
と、ヘリアテスが悲鳴をあげたその時、黒い影のようなものは、リアナの目前でピタッと動きを止めた。
それを見て、リアナは「ん?」と首を傾げると、
「……リ……リアナ?」
と、黒い影のようなものが女性のような声でそう言った。
『喋った!?』
と驚くヘリアテス達をよそに、黒い影のようなものは尖らせた腕を元に戻して、リアナの頬に触れた。
「え、あ、あのぉ……」
と、リアナが戸惑っていると、
「……ああ、リアナ。リアナ! リアナァ!」
と、黒い影のようなものは、まるで喜んでいるかのような声をあげた。
そして次の瞬間、禍々しいオーラが消えて、黒い影のようなものは姿を変えた。
それは、狐の耳と尻尾を持つ、長い白髪の若い女性だった。
ギャレットはその女性を見て、
「あ。あんたは……」
と呟いた。
そして、リアナ達が一斉に頭上に「?」浮かべると、女性は涙を流しながら穏やかな笑みで言う。
「ああ、リアナ。私の娘」
女性がそう言うと、リアナとヘリアテスは、
「「……え?」」
と、小さく言った。
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