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間章6
間話41 「地球」の大人(?)達の集い
しおりを挟む涼司と総一、水音と歩夢の両親達との楽しい(?)ひと時が終わると、春風達は仲間達と合流し、宴会の続きを楽しんだ。
その後、宴会が終わってその場は解散となり、皆が寝静まった後、
「……ふぅ」
セイクリア王国のキャンプ地にて、春風達の担任教師である小夜子は1人、テントの中で寝転がっていた。
(なんだか、今日も色々あったなぁ……)
と、ごろごろと転がりながらそんなことを考えていると、
「こんばんは」
と、挨拶をされたので、小夜子は「ん?」と声がした方へと向くと、
「どーもぉ」
そこには、凛依冴、冬夜、雪花、静流の4人がいたので、
「あ、こ、これはどうも!」
と、小夜子は大慌てで起き上がった。
凛依冴達はそんな小夜子を見て、
「ああ、そんなに慌てなくてもいいから、ね、取り敢えず座って」
と、少し驚いた表情でそう言うと、小夜子はハッと顔を赤くして、
「す、すみません」
と、すぐにその場に座ったので、凛依冴達はそれを見た後、「よっこらせ」と自分達も小夜子の前に座った。
「あ、あの、どうしたんですか? こんな夜中に」
と、小夜子は恐る恐る凛依冴に尋ねると、
「いやぁ、ここに来てから結構ごたついちゃって、ちゃんと挨拶出来てなかったなぁって思ってね」
と、凛依冴は照れくさそうに答えた。その横では冬夜達も、
『アハハ』
と、凛依冴と同じように照れくさそうしていたので、
「あー、そういえばそうでしたね」
と、小夜子も若干気まずそうに「アハハ」と笑った。
それから小夜子は、照明用の魔導具でテントの中を明るくすると、
「改めて、初めまして。私は、幸村春風君達の担任教師をしております、高坂小夜子といいます」
「間凛依冴。春風と水音の、『冒険』の師匠をしてるわ。よろしくね」
「光国冬夜です。といっても、今は幸村冬夜と言った方がよろしいでしょうか」
「妻の光国雪花です。私も、今は幸村雪花と言った方がいいですね」
「幸村静流です。春風の今の父親である幸村涼司の妻です」
と、5人はお互い自己紹介した。
すると、小夜子は「え、えっとぉ」と言いにくそうな表情になったので、
「ん? どうかしたんですか?」
と、冬夜が尋ねると、
「その……話は聞いてましたが、本当に幸村のご両親……なんですよね?」
と、小夜子は更に言いにくそうな表情で答えた。
その言葉を聞いて、冬夜と雪花は「ああ、そうか」と言わんばかりの表情になると、
「まぁ、信じられない気持ちはわかりますよ。私達は確かに、一度死んだ身ですから」
と、冬夜はあっけらかんとした表情で答えたので、
「す、すみません」
と、小夜子はシュンとなった。
冬夜はそれを見て、
「ああ、そんなに気にするほどのことではありませんよ。こうしてまたあの子と一緒にいられることが出来て、私達は凄く嬉しいんですから」
と、小夜子に向かって笑顔でそう言うと、小夜子は「はぁ、そうですか」と顔を上げた。
それから少しの間、両者は沈黙していると、
「あ、あの!」
と、小夜子が口を開いた。
そんな小夜子を見て、
「ど、どうかしたの?」
と、凛依冴が驚きながら尋ねると、
「いえ、そ、その、こうして改めて皆さん前にすると、私、全然みっともないところしか見せてないなって……」
と、小夜子は恥ずかしそうに顔を赤くしながら言ったので、
「ん? みっともないところ?」
と、凛依冴が尋ねた。
すると、小夜子は更に顔を赤くして、
「その、初めて会った時、私、アマテラス様の前で思いっきり泣き出しちゃいまして……」
と答えると、その瞬間、それがこの地に来た初日の時のことかと思い出した凛依冴達は、
『あぁ、あの時か!』
と、ポンと相槌を打った。
それを聞くと、小夜子は顔を下に向けて再びシュンとなったが、
「先生」
と、雪花が小夜子の手を握った。
「あ、あの?」
「大丈夫、先生はみっともなくなんてないですから。あれは当然の反応ですし、あの反応を見て、あなたが本当に『良い先生』だってことが分かりましたから」
と、雪花が優しくそう言うと、小夜子は顔を真っ赤にして、
「あ、ありがとう、ございます」
と、顔を下に向けた。
すると、
「さぁてと、辛気臭い雰囲気はここまでにして……」
と、凛依冴はそう言いながら、腰につけたポーチに手を突っ込むと、そこから何かを取り出した。
「それって、ティーセット……ですか?」
「うん。さっきまでお酒飲みまくったから」
そう言うと、凛依冴は取り出したティーセットを使って人数分のお茶をいれた。
それから暫くの間、とても和やかな雰囲気に包まれていると、
「あの、間さん……」
と、小夜子が口を開いた。
「ああ、凛依冴でいいよ。あ、それとも、フレンドリーに『マリー』って呼ぶ?」
「え、なんで『マリー』なんですか?」
「ほら、私の名前、『はざまりいさ』だから」
と、凛依冴が笑いながらそう説明した瞬間、
(ああ、そうか。『ま』と『り』と『い』と続けて読んで、『マリー』なんだ)
と、小夜子は理解したが、
「すみません、流石にそこまで踏み込めないので、『凛依冴さん』でいいでしょうか?」
と恥ずかしそうに凛依冴に向かってそう言った。
「いいけど、どうしたの?」
「その……凛依冴さんと、幸村との関係なんですけど」
小夜子がそう言った瞬間、冬夜、雪花、静流の3人はピクッとなった。
「あー、『師匠』と『弟子』……じゃあ、納得出来ないかな?」
と、凛依冴が気まずそうに小夜子に向かって尋ねると、
「ええ、今日のアレを見た後ですと、どう見てもただならない関係に思えて……」
と、小夜子は「すみません」と言わんばかりの申し訳なさそうな表情でそう答えた。
そんな小夜子の言葉を聞いて、凛依冴は「うーん」と考え込むと、
「私自身のことも含めて……で、いいかな?」
と、再び小夜子に向かってそう尋ねた。
小夜子はそれを聞いて、コクリとゆっくり頷くと、
「……昔ね、私『異世界召喚』されたことがあるの」
と、凛依冴は真面目な表情で話し始めた。
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