ユニーク賢者の異世界大冒険

ハヤテ

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第12章 集結、3人の「悪魔」

第316話 全てを知って2

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 「うぅ。取り乱してしまって、申し訳ありませんでした」

 アマテラスの胸でひとしきり泣いた後、ようやく落ち着きを取り戻した小夜子は、恥ずかしそうにアマテラスに頭を下げて謝罪した。

 アマテラスはそんな状態の小夜子を見て、

 「大丈夫、そんなに気にしなくていいから」

 と、小夜子の頭を「よしよし」と優しく撫でながら言った。

 撫でられた小夜子はますます顔を赤くすると、春風の方を向いて、

 「幸村も、すまなかった。お前が一番、辛い想いをしているというのに……」

 と、春風にも深く頭を下げて謝罪した。

 それを聞いた春風は、

 「そんな、顔を上げてください先生! 理由があったとはいえ、何も言わずに先生やみんなのもとを飛び出した俺に非があるんですから!」

 と、大慌てで小夜子に頭を上げるよう促した。

 すると、

 「……違う」

 『ん?』

 突如聞こえた声にピクっと反応した春風達が、一斉にその声がした方へと振り向くと、

 「……ウィルフレッド陛下」

 そこにいたのは、ウィルフレッドだった。

 春風達の視線を受ける中、ウィルフレッドは口を開く。

 「春風殿も、小夜子殿も悪くない。一番悪いのは、この私だ」

 そう言うと、ウィルフレッドはアマテラスの方を向いて、

 「『地球』の神アマテラス様、此度はあなた様の世界に対して、大変申し訳ないことをしてしまった。全ての責任は、この私1人にあります」

 と、深々と頭を下げた。

 その姿勢を見たイブリーヌは、

 「ま、待ってくださいお父様!」

 と、ウィルフレッドもとへと駆け寄ろうとしたが、

 「よせ、イブりん」

 と、側にいたギルバートに肩を掴まれた。

 「は、離してくださいギルバート陛下!」

 イブリーヌはその手から離れようとしたが、ギルバートは無言で首を横に振るった。

 それを見て、イブリーヌが何も言うことが出来ずにその場に留まると、アマテラスが口を開いた。

 「ウィルフレッド王、いくつか聞きたいことがあるんだけど、良いかな?」

 そう言ったアマテラスに対して、ウィルフレッドは頭を下げたまま、

 「はい、何なりとお聞きください」

 と言うと、アマテラスは「じゃあ、まずは……」と言って、

 「さっき君は、『責任は全て自分1人にある』って言ってたけど、今回のルールを無視した『勇者召喚』に関しては、黒幕が君らの信じてる神様達で、実行したのは君の娘のクラリッサ姫と4人の魔術師達の筈なんだけど、その辺はどう考えているのかな?」

 と、ウィルフレッドに尋ねた。

 その問いに対して、ウィルフレッドは答える。

 「……確かに、その通りです。しかしそれでも、最終的に『勇者召喚』を行うよう命じたのは、この私です。罰があるのなら、この私1人が受けます」

 その答えを聞いて、アマテラスが「そう……」と呟くと、

 「もう1つ聞くけど、君はこの世界の『真実』や、『異世界召喚のルール』について、どこまで知ってるのかな?」

 と、再びウィルフレッドに尋ねた。

 その問いにウィルフレッドは一瞬躊躇ったが、やがて意を決したように答える。

 「……信じてもらえないかも知れませんが、正直に申しますと、『異世界召喚のルール』に関しましては、情けないことになに1つ知りませんでした。この世界の『真実』に関しましては……」

 ーーゴクリ。

 「……知っていました。我々の祖先が、この世界の住人ではなく、他の世界から来た『侵略者』で、我々セイクリアの王家はその末裔であることを」

 その答えを聞いた瞬間、周囲の人達は、

 『ええぇっ!?』

 と、驚愕の声を上げた。

 「……詳しく聞いてもいいかな?」

 と、アマテラスが尋ねると、

 「我々セイクリアの王家は、先祖代々王位を継いだ第一子にのみ、この世界の『本当の歴史』を聞かされるのです」

 「じゃあ、クラリッサ姫も知ってるってこと?」

 「いえ、クラリッサはまだ王位を継いではおりませんので、知っているのは今はこの私1人です」

 「なるほどねぇ……」

 アマテラスはウィルフレッドの話を聞いて、「うーん」と唸りながら考える仕草をすると、

 「うん。だったら、私がやるべきことは1つね」

 と、真面目な表情でそう言った。

 その言葉を聞いて、その場にいる者達全員が緊張すると、

 「春風くーん」

 と、アマテラスは春風の方を向いた。

 いきなり名前を呼ばれた春風は、

 「な、何ですか?」

 とアマテラスに尋ねると、アマテラスは手と手をあわせて、

 「ごめん、後は任せた!」

 と、謝罪を交えてそう言った。

 次の瞬間、

 『な、何ぃいいいいいいいっ!?』

 と、春風を除いたその場にいる者達全員の悲鳴があがった。
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