351 / 608
第12章 集結、3人の「悪魔」
第315話 全てを知って
しおりを挟む「……そ、それは、本当の話なのですか?」
と、アマテラスから「全て」を聞かされたウィルフレッドが、恐る恐るアマテラスにそう尋ねると、
「信じたくないと思う気持ちはわかるけど、全部事実よ」
と、アマテラスは真っ直ぐウィルフレッドを見てそう答えた。
その答えを聞いて、ウィルフレッドは顔を真っ青にしているが、膝から崩れ落ちないようにどうにか踏ん張っていた。
その一方では、
「う、嘘でしょ?」
「こ、この世界だけじゃなくって……」
「地球まで消滅って……」
「嘘、嘘よぉ……」
と、翔輝を含む他のクラスメイト達も、皆口々にそう言って、顔を真っ青にした。ショックが大きかったのか、中には膝から崩れ落ちてボロボロと涙を流す者もいた。
(みんな……)
そんな彼らを見て、春風は勿論、歩夢や水音ら真実を知っているクラスメイト達も、皆表情を暗くして視線を逸らした。
そして、小夜子はというと、
「ちょ、ちょっと待って……ください、それは、何の冗談なのですか?」
と、ウィルフレッドと同じように顔を真っ青にするだけじゃなく、真実を知った衝撃の所為なのか、体をブルブルと震わせていた。
そんな小夜子を見て、
「……ごめんね。悪いけどこれ、冗談じゃないの」
と、アマテラスは悲しみを帯びた表情で、申し訳なさそうにそう答えた。
そんなアマテラスの表情を見て、小夜子は大きくショックを受けたのか、
「そ、そんな……え? いや、本当に、待って……ください。『勇者召喚』の所為で、この世界も、地球も消滅? それで、幸村が、それを阻止する為にあなた方と契約? 更にこの世界の歴史が、全て嘘? いや、それ以上に、幸村と桜庭が、予言に出てくる『悪魔』? いや、待って。待って待って待って……」
と、まるで壊れた機械のように言葉を発した。
そんないかにも「危ない」といった感じの小夜子に、
「……先生」
と、春風が話しかけると、ハッと我に返った小夜子は、春風をキッと睨みつけた。
そして、ズカズカと音を立てて春風に近づき、
「どうして!? どうして教えてくれなかった!? こんなとんでもない事実を、どうして教えてくれなかったんだ!? どうして!?」
と、春風の両肩を掴んでそう問い詰めてきた。
それを見て、
「せ、先生、落ち着いてください!」
「そ、そうだよ! ハルッちにも事情があって……」
と、水音と恵樹がそう言って小夜子を宥めようとした。
それに続くように、
「先生。信じられないという気持ちは、俺達だってわかります」
「そうです! 私なんてつい最近知りましたけど、今でも信じられないって思ってますから!」
と、煌良や星乃香も、小夜子を宥めようと声をかけた。
しかし、
「落ち着け!? 落ち着けだと!? こんな、こんなとんでもない話を聞かされて、落ち着けるわけないだろぉ!」
と、小夜子は余計に興奮してそう喚いた。
その様子に、周囲の人達が「どうしたもんか」とオロオロしだすと、1つの影が小夜子に近づき、
「落ち着きなって」
と言って、小夜子をソッと優しく抱きしめた。
影の正体、それは、アマテラスだった。
「え? あ……え?」
突然の事に、それまで興奮していた小夜子が戸惑っていると、アマテラスは小夜子の耳元に、
「ごめんね」
と、囁いた。
その言葉を聞いた次の瞬間、
「……どうして」
と、小夜子は小さくそう呟いた。よく見ると、その両目からは大粒の涙が溢れていた。
『あ……』
と小さく驚く春風達をよそに、小夜子は更に続けて言う。
「どうして、幸村が、私の生徒が、こんな大変なものを、背負わなくちゃいけないんですか?」
「先生……」
「まだ……高校生なのに。まだ……子供なのに……」
『……』
「どうして? どうしてなんですか? 教えて、教えて……ください……」
そう言い終わると、小夜子はアマテラス胸の中で、
「教えて、おし……えてよぉ。うわぁああ……」
と、まるで子供のように泣きじゃくった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
185
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる