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第11章 断罪官の逆襲
第278話 決戦、断罪官11 アリシア、「過去」との戦い
しおりを挟むリアナ&歩夢対ギャレットと、アデルチーム対ダリア。
それぞれの戦いの最中、アリシアはというと、
「お久しぶりです、ユリウス小隊長。そして、みんな」
「ええ、久しぶりねアリシア」
と、1つの「再会」を果たしていた。
その相手は、かつてアリシアが断罪官だった時に所属していた小隊の隊長と隊員達だった。
その隊長である、女性のような雰囲気をした長髪の男性ユリウスは、アリシアの格好を見ると、
「……髪、切ったの? ハァ馬鹿ね、とっても綺麗だったのに」
と、何処か悲しみを帯びた表情で、溜め息を吐きながら女性のような口調でそう言った。
そんなユリウスに続くように、アリシアも悲しみを帯びた表情で口を開く。
「……ウォーレン大隊長からみんなが生きていると聞いた時、私は嬉しかったです。しかし、出来ることなら、こんな風に会いたくはありませんでした」
「それは私達も同じよアリシア。私達はあの時、あなたに殺されても良いと思っていた。事情はどうあれ、私達はあなたから故郷を、そして家族を奪ってしまったから」
「小隊長……」
2人の会話に反応したのか、ユリウスの後ろにいる小隊の隊員達は、全員悲しそうに表情を暗くした。彼らもまたユリウスと同じように、アリシアに会いたくはなかったのだ。
しかし、
「……でも、私達はこうして戦場で出会ってしまった。それも、敵同士としてね。だから……」
ユリウスはそういうと、背中に背負った武器を手に取った。
それは、鉤爪状の刃がついた穂先を持つ、2本の槍だった。
ユリウスはその2本の槍を構えると、先程までの悲しみを帯びた表情からキリッとした表情に変えて、
「さぁアリシア、あなたも武器を構えなさい! 今度はあの時のように、そう簡単にやられたりはしないわよ!」
と、アリシアに向かって言い放った。その言葉に続くように、隊員達も自分の武器を構え始めた。
アリシアはユリウス達の覚悟を感じたのか、ユリウスと同じように、悲しみを帯びた表情からキリッとした表情になると、
「……わかりました。なら私も、覚悟を決めます! 私も、ここでやられるわけにはいかない理由がありますから!」
と言って、持っている自身の武器である長剣を構え直した。
両者が睨み合っていると、その場が緊張に包まれる。
するとそこへ、
「「「ちょっと待った!」」」
という声が上がり、「っ!」と驚いたアリシア達がその声がした方向を向くと、そこには勇者である煌良、学、麗生の3人がいた。
煌良達は、アリシアの側に駆け寄ると、それぞれ武器を構えた。
「き、君達、どうして!?」
アリシアがそう尋ねると、
「話は全て聞いた」
「「僕(私)達も助太刀します」」
と、煌良達は目の前のユリウス達を見ながらそう答えた。
そんな3人を前に、ユリウスは、
「異世界の勇者達、だったわね? 私達の邪魔をするっていうなら、たとえ神に選ばれたあなた達でも、一切容赦はしないわよ」
と、脅すような感じで静かにそう言った。
だが、
「フン、そう上手くいくかな?」
と、煌良は不敵な笑みを浮かべてそう返した。
その後、学と麗生はアリシアに話しかける。
「アリシアさん、隊員達の方は僕達に任せてください」
「その隙に、あなたはあのリーダーの男性(?)を」
2人の言葉を聞いて、アリシアは「フフ」と小さく笑うと、
「……ありがとう、みんな」
と、3人にお礼を言った。
ただそれからすぐにアリシアは、
「因みに、あそこにいるユリウス小隊長は男だぞ」
と言うと、煌良達は、
「「「え、そうなの!?」」」
と、全員ギョッとなった。
その後、アリシアは改めてユリウス達を見ると、
「行くぞ!」
と叫んで、煌良達と共にユリウス達に突撃した。
それを見てユリウス達も、
「全隊員、戦闘開始!」
『オウ!』
と、こちらも負けないようにアリシア達に向かって突撃した。
そして両者がぶつかり合うと、煌良達は隊員達を押さえた。
その隙をついて、アリシアはユリウスの前に出る。
「ユリウス小隊長、お覚悟!」
「かかって来なさい、アリシアぁ!」
そう叫び合うと、2人はお互いの武器を思いっきりぶつけた。
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