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第11章 断罪官の逆襲
第266話 「罰」は決まり、そして……
しおりを挟む翌日、春風はギルバートら皇族達に、自身の「考え」を話した。
「……それが、お前が出した『答え』か?」
真剣な眼差しを向けてくるギルバートに、春風は怯むことなく、
「はい」
と、ギルバートを真っ直ぐ見てそう返事した。
昨夜、リアナ達に「考え」を話すと、
「うーん、確かにそれなら、ある意味『死刑』よりも残酷かもしれない」
「うん、そうだね」
「えぇ。そのアイディアなら、ギルバート陛下もきっと納得してくださると思いますが……」
と、全員微妙な表情になった。
「……やっぱり、駄目でしょうか?」
と、春風が恐る恐る尋ねると、リアナが「大丈夫」と口を開いた。
「私達は良いかもって思ってるよ。ハルだって、これが一番良いって思ってるんだよね?」
「うん。これが、俺的には一番良いって思ってるよ」
「だったら、早速陛下に話してみなよ。それで駄目だったら、今度は私達も一緒に考えるから」
笑顔でそう言ったリアナに続くように、歩夢もイブリーヌも、笑顔でコクリと頷いた。
そんな彼女達を見た春風は、
「ありがとう。早速明日、陛下に話してみるよ」
とスッキリしたかのように穏やかな笑顔でそう言った。
そして翌日、ギルバートに「考え」を話し終えた春風は、
(うう。ちょっと緊張するなぁ)
と、内心ではガクガクと震えながら、ギルバートの返事を待っていた。
そんな春風を前に、ギルバートは「うーん」と考え込むと、
「まだ若干甘い気もするが、今回の被害者であるお前がそう判断したなら、それでいこう」
と、春風の「考え」を受け入れた。
春風はそんなギルバートに向かって、
「ありがとうございます」
と、深々と頭を下げた。
その後、
「じゃ、この話はこれで良しとして、問題は断罪官の連中だな」
と、ギルバートが話題を変えると、
「あぁ、陛下、それでしたら……」
と、春風はもう1つの「考え」を話した。
そして時は流れて、現在、春風の抹殺を目的としたウォーレン率いる断罪官達は、帝都までもうすぐという所まで部隊を進めていた。
その夜、いよいよ明日帝都に着くというところで、彼らは野営をしていた。
「大隊長、いよいよ明日ですね」
副隊長のルークが、ウォーレンにそう話しかけた。
「……ああ、そうだな」
ルークを見ずにそう返事したウォーレンの目の前には、布でグルグル巻きにされた「とあるもの」があった。
ルークはその「とあるもの」を見て、ウォーレンに尋ねる。
「大隊長、もしかして『それ』が?」
「そうだ、神より新たに賜った『力』だ」
それを聞いて、ルークが「おぉ!」と小さく驚きの声を上げると、
「へ! 『異世界から来た異端者』か。腕が鳴るぜ」
と、ルークの横からギャレットが割り込んで来た。そこへ更に続くように、
「油断するなよ……と言いたいが、そっちに関しては私も同じだ」
と、ダリアも割り込んできた。
その言葉にウォーレンは「フッ」と笑うと、視線を「とあるもの」からルーク達と隊員達に移して、
「お前達、いよいよ明日だ! 明日、我らが敵、幸村春風を倒し、奴によって傷つけられた我らの『誇り』を取り戻す!」
『オォーッ!』
ウォーレン言葉に、ルークらを含めた隊員達は一斉に声をあげた。
その片隅で、数人程不穏な空気を纏っている者達がいることも知らずに。
そして迎えた翌日、
断罪官達は帝都郊外の広い草原を進んでいると、
「む、あれは……!」
彼らの前に、人影が現れたのだ。
それは、彼らの目的の人物である、少女のような顔付きの少年だった。
しかし、人影はその少年だけではなかった。
よく見ると、複数の少年少女達が、その少年の周りに集まっていたのだ。
「貴様……いや、貴様らは!?」
そう尋ねたウォーレンに、
「俺達は……」
その少年、春風は答える。
「ハンターレギオン『七色の綺羅星』だ!」
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