ユニーク賢者の異世界大冒険

ハヤテ

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第11章 断罪官の逆襲

第265話 ルイーズ達への「罰」2 春風の「考え」

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 「……で、その日からルイーズさん達をどうするかで悩んでる最中に……」

 「『断罪官達が来る』って知らせを受けたのですね?」

 「はい、そうです」

 春風がそう答えると、部屋の中が重苦しい空気に包まれた。

 そんな中、最初に口を開いたのは、

 「……ねぇ、フーちゃん」

 歩夢だった。

 「何? ユメちゃん」

 「ルイーズさん達は、あれからどうしてるの?」

 「……あの後一度だけ、彼女達がいる牢屋に行ったんだけど……あ、勿論、会うと何言われるかわからないから、[気配遮断]のスキルを使ってからね。で、行ってみたら、相変わらず大人しかったよ」

 「……そっか」

 春風が言ったように、あの夜春風が暗殺されそうになった後、ルイーズ達は全員帝城内の牢屋送りになり、今も処分を待っている状態だった。特にルイーズに至っては、イブリーヌに叱られた上にビンタまでされたのだから、最早大人しいどころか完全に無気力な状態になっていた。

 因みに、全員自殺するのを防ぐ為に特別な魔導具をつけさせられている。

 (ま、当然といえば当然だけど)

 と、春風がそんな事を考えていると、

 「あのさ、ハル」

 今度はリアナが口を開いた。

 「何? リアナ」

 「ハルはさ、殺されそうになったことについては、もう怒ってないんだよね?」

 「うん、それは本当。というより、寧ろ『申し訳ない』って気持ちの方が大きいかな」

 そう言うと、春風は自室に備え付けられた机に置いた、いつも腰につけてるポーチから、「あるもの」を取り出した。

 「「「うっ!」」」

 驚いたリアナ、歩夢、イブリーヌが見たのは、胴体の部分を何度も刺されて、無惨な姿になった、の人形だった。

 「見てよ、この特製ダミー春風君人形『ダミハル君』の姿。こんな風になるくらい俺あの人達に恨まれてるんだぜ?」

 と、そう話す春風に、リアナ達は、

 「「「えぇ(いや、『ダミハル君』って)……」」」

 と、冷や汗を流した。といっても、大部分はダミー人形の名前の方に反応したのだが。

 そんな彼女達だったが、リアナは「いかんいかん」と首を振るった後、再び口を開く。

 「ま、まぁ別に怒ってないなら、『許す』ってことで良いんじゃないかなぁ」

 と、リアナは「アハハ」とわざとらしく笑いながらそう言ったが、

 「そうしたいけど、それだと陛下達は、きっと納得してくれないと思う」

 と、春風はダミハル君をポーチに戻すと、沈んだ表情でそう返した。

 リアナはそれに対して、

 「いや、でもぉ……」

 と何か言おうとしたが、

 「……そうですね。それは、当然だと思います」

 と、遮るようにイブリーヌが口を開いた。

 「え、あの、どういうことですか?」

 と、歩夢がイブリーヌにそう尋ねると、

 「彼女達は『暗殺』という目的をもってこの帝城内に侵入しました。これだけでも許されることではないのに、今回彼女達が狙ったのは、ギルバート陛下が心から『欲しい』と、『自分達のものにしたい』と思わせたハル様なのです。皆様は知らないでしょうが、陛下は自分の大切なものを傷つけた輩に対しては本当に容赦がないのです。もう数年前になりますが、帝国国内にある小さな村が盗賊に襲撃を受けたと知らせが入った時、相手が十数人というのに対し、陛下は100人の兵士という過剰ともいえる戦力をもって、その盗賊達をにしたのです」

 「え、じゃなくて、ですか?」

 「はい、問答無用でです」

 キッパリとそう言ったイブリーヌに、春風、リアナ、歩夢は、

 「「「う、うわぁ」」」

 と、ギルバートにドン引きしたかのような表情になった。

 「そして今回、陛下は間違いなくルイーズ達を『死刑』にするつもりでしょう。それも、かなり残酷ともいえる方法で」

 イブリーヌがそう言い切ると、再び部屋の中が重苦しい空気に包まれた。それも、先程以上の重苦しい空気だ。

 そんな雰囲気の中、イブリーヌが春風に尋ねる。

 「ハル様」

 「……はい」

 「もしかしてですが、ルイーズ達の処遇について、『考え』があるのですか?」

 「……何故、そう思ったのですか?」

 「『女の子の勘』、というやつです」

 ニコリと笑ってそう答えたイブリーヌを見て、春風はクスリと困ったような笑みを浮かべて、

 「……実は、1つだけ『考え』があるんです」

 と言った。

 その後、

 「と言っても、これが正しいのかわかりませんし、陛下からは『甘い! 甘すぎるぞ春風ぁ!』と怒られそうで怖いですけど」

 と付け加えた。

 それを聞いてイブリーヌは、

 「よろしければ、教えてくれませんか?」

 と、春風に向かって「お願い」と言わんばかりの表情でそう尋ねてきた。

 それに続くように、リアナと歩夢も、イブリーヌと同じような表情になった。

 春風はそんな彼女達を見て、観念したかのように、

 「……わかりました」

 と言うと、

 「俺が考えたのは……」

 と、自身の「考え」について説明を始めた。
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