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第7章 襲来、「邪神の眷属」
第136話 放て、必殺技!
しおりを挟むオリジナルの必殺技でループスの分身を倒す。
春風が出したそのとんでもない案を聞いて、周囲の人達は開いた口が塞がらなかった。
「それではループス様、何処を狙えば良いか教えてください」
と、そんな彼らを無視して、春風はループスにお願いをした。
「ア、アア。ワカッタ」
ハッと我に返ったループスはそう言うと、多少抵抗されつつも分身の胸に当たる部分に、緑色に輝く宝石の様なものを出現させた。
「コイツヲ壊セバ、コノ分身ハ消滅スル」
「ありがとうございます。では……」
と、春風が次の行動に移ろうとしたその時、
『ちょ、ちょっと待てぇえええええええ!』
と、鉄雄、恵樹、美羽、彩織、詩織が「待った」をかけてきた。
「え、ど、どうしたの?」
困惑しながらそう尋ねた春風に、鉄雄らは詰め寄る。
「どうしたのじゃねぇよ! 『必殺技』って何だ、『必殺技』って!?」
「そうだよハルッち、君は一体何言っちゃってんのかな!?」
「そうよ! しかも『オリジナルの』って何!?」
「わ、私達、そんなの持ってないよ!」
「そうだよ持ってないよ! ていうか、スキルじゃダメなの!? オリジナルじゃないとダメなの!?」
「ダメ」
『何でぇ!?』
「そっちの方が最高にカッコ良く決まるから」
『はぁ!?』
春風のとんでもない答えを聞いて、さらに周囲の人達は開いた口が塞がらなくなった。
しかし、春風はそんな彼らをまた無視して、
「うーん。じゃあ、今から俺がお手本みたいなのを見せるから、もし無理そうだったらそれを真似すると良いよ」
と言うと、春風は彼岸花を逆手持ちにすると、ループスの分身を前に右足を前に出し状態で身構え、両目を閉じて、
「ハァアアアアアアア……」
と、意識を集中するかの様な仕草をした。
すると、前に出した春風の右足が、緑色に輝き出し、風の様なものを纏ったのだ。
「よし!」
と、春風は準備完了と言わんばかりに目をカッと開けると、その状態のまま高くジャンプし、
「トルネード・ストライク!」
と叫んで、ループスの分身の胸に出現した緑の宝石に向かって、その風の様なものを纏った緑色に輝く右足による飛び蹴りをかました。
ところが。
ーーっ!
危険を察知したループスの分身が、サッとその飛び蹴りを避けたのだ。
「あれ?」
避けられた春風の飛び蹴りは、そのまま地面に激突し、そこにちょっとした穴を開けた。
「う、うーん。失敗失敗」
春風は残念そうにその穴から出てくると、鉄雄らに向かって言い放つ。
「じゃあ、みんなもやってみて!」
『いやいやいやいやちょっと待てぇえええ!』
「え、どうしたのみんな!?」
「お前、今何やった!?」
「なんか足光ったんだけど!? なんか風みたいなのを纏ってるんだけど!?」
「ああ、簡単だよ。足に風属性の魔力を纏わせて、それでキックをかましたんだ。正義のヒーローの必殺キックみたいで、かっこいいだろ?」
「いやいやハルッち、ほんと何言っちゃってんの!?」
「そ、それ本当にオリジナルなの? スキルによるものじゃないの!?」
「ていうかアンタ、ほんとに幸村春風なの!? 実はそっくりさんの別人じゃないの!?」
「む、失敬な! 俺は正真正銘、幸村春風君だよ! ちょっとユニークだけど本物だよ!」
『意味がわからん!』
と、鉄雄らがそう悲鳴じみた叫びをあげていると、ループスの分身が春風に攻撃を仕掛けてきた。
「おおっと危ない!」
間一髪の所で攻撃を避けた春風。だがその後も、ループスの分身は何度も春風に向かって攻撃してきた。
(うーん。こりゃあ先にコイツを弱らせて動きを封じないといけないなぁ)
と、攻撃を避けながらそんな事を考えていた春風は、鉄雄らに向かって再び言い放つ。
「ごめん! 俺がどうにかしてコイツの弱らせるから、トドメはみんなに任せた!」
4秒の沈黙後、
『な、何ぃ!?』
と、再び悲鳴じみた叫びをあげる鉄雄達。
しかし、春風はそんな彼らをまたまた無視して、
「ごめん、リアナ! ちょっと手伝って!」
と春風に呼ばれたリアナは、
「う、うん! わかった!」
と、春風の側に駆け寄り、攻撃に加わった。
そして、残された鉄雄達はというと、
『ど、どうすりゃ良いんだぁあああああああ!?』
と、三度、悲鳴じみた叫びをあげるのだった。
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