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第7章 襲来、「邪神の眷属」
第119話 「勇者」達とのハンター生活
しおりを挟むそれから暫くの間、春風達「七色の綺羅星」は、新たに仲間になった「勇者」ことクラスメイト6人と共にハンター活動に励んだ。その際、五神教団の神官達やセイクリア王国の騎士達、特に小隊長のディックの部下であるルイーズにもの凄く睨まれた。
春風は何故自身がここまで睨まれているのかディックに聞いたところ、実は勇者召喚が行われたあの日、ブチ切れた春風にぶっ飛ばされた騎士の中に彼女の弟がいたという。先に手を出してきたのは相手側である事は理解出来ているのだが、それでも身内がそんな目に遭わされたのだから、頭では理解出来ても感情の方はそうはいかないらしい。
(ホントにすみません)
ともあれそんな状況の中、春風達は騎士や神官達に監視されながらも、ハンター活動を続けていた。といっても、
「大事な勇者様に余計な怪我を負わせる事は許さん!」
という連中の主張を聞き入れて、実際にやる仕事は主に都市内部のものが中心になった。当然、鉄雄達から不満の声があがったが、
「あのねぇ君達、いくら『勇者』と言ってもハンターとしてはまだ新米でしょうが!」
と、春風がリーダーとしてビシッと言うと、彼らは全員シュンとなって納得した。ただその時も、
「貴様、勇者様に説教とは何事だ!」
と言わんばかりの表情で睨まれたが、春風は「面倒だ」と考え、無視することにした。
そんなわけで、春風は鉄雄達に、ハンターとしての仕事を最大限丁寧に教えていった。春風自身が元々真面目な性格の為、とてもわかりやすかったと感謝された。そのおかげで彼らの仕事ぶりがとても良いと、ギルド側からも感謝された。
また、春風は世話になった先輩ハンター達にも鉄雄達を紹介した。当然、その流れで自身も異世界の人間である事がバレてしまったのだが、事情を理解した彼らは特に春風を責めることもなく、寧ろ、
『騎士ぶっ飛ばすとかスゲーじゃん!』
と、褒められたりもした。
そんなある時、春風は鉄雄達にとある質問をした。それは、ギルドカードを見せられた際に見えた、彼らの「職能」についてだった。
記された職能は、鉄雄は「拳闘士」、恵樹は「土魔術師」、美羽は「風魔術師」、彩織は「水魔術師」、双子の妹の詩織はアデルと同じ「軽戦士」、そして歩夢は「魔戦士」だった。
「えっと、野上君に天上さん、彩織さんに、海神さんは、『魔術』使えますか?」
春風が恐る恐るそう質問すると、呼ばれた4人はとても答えにくそうな表情をした。
(ああ、やっぱりか)
と、春風が心の中でそう呟くと、
「いやぁ、実は俺達、最近の魔術師達の異変ってやつに巻き込まれちゃったんだよねぇ」
と、恵樹が「アハハ」と笑いながら言った。
しかしそれなら、何故今回、恵樹、美羽、彩織、歩夢が「邪神の眷属」の討伐に選ばれたのか?
春風はそれについての理由も尋ねると、鉄雄曰く、なんでもこの4人は、春風が出ていったあの日、
「あいつが出ていったのはきっと訳があるんだ!」
と、春風を擁護していた者達なのだ。勿論、鉄雄と詩織も一緒だ。
その為、五神教会の連中からは、
「ただでさえ魔術が使えない『役立たず』だというのに、あの無礼な幸村春風を擁護するとは許せん!」
と影で囁かれていて、それも選ばれた要因に含まれているのかもしれないという。
それを聞いて、春風は、
(ああ、みんなホントにごめん。そして、五神教会ぶっ潰す!)
と、心の中で謝罪しながらそう決意した。
その後、冷静になった春風は、恵樹達4人に、「あるもの」を渡した。当然、
「何処で手に入れたかについては、聞かないでください」
と、プレッシャーをかけて念押ししてからだ。
それは、小さな宝石が1つずつ嵌め込まれた幾つかの指輪だった。
実はこの指輪は、春風が「魔導具錬成」のスキルを使って作ったもので、嵌め込まれている宝石、否、魔石には、春風が作った魔術がインストールされていた。そして、それに魔力を込める事によって、インストールされた魔術が発動する様になっているのだ。
それを聞いて恵樹達は、大喜びでその指輪を受け取った。
そんな彼らの姿を、春風は内緒にしている事に罪悪感を抱きつつ、うんうんと頷きながら見ていると、
「春風様、わたくしのぶんは無いのですか?」
と、イブリーヌが目をウルウルとさせながらそんな事を言ってきたので、
「えっと、今はありませんが、用意ができ次第あなたにもお渡ししますから」
と、春風はそう言ってイブリーヌと約束した。
そんなこんなで数日が経ったある日、ギルド総本部に、
「大変です! 邪神の眷属が大量の魔物を引き連れて、このシャーサルに向かってます!」
という報告が入ってきた。
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