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第6章 結成、ユニークなレギオン?
第89話 ハンターチーム「レギオン」
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*今年最初の投稿です。
「れ、レギオン……」
「はい、レギオンです」
フレデリックの提案に戸惑う春風。もしこれがギャグ漫画なら、ここで、
「……て、何?」
と、ボケをかますところだろう。
「それって、複数のハンターが組むチームのことですよね?」
だが、春風はボケなかった。
「ええ、そうですよ。あなたにはそのレギオンを作って、彼らと共に『白金級ハンター』を目指してもらいます」
『ええぇーっ!』
その言葉に、春風と幼いイアン、ニコラ、マークを除く全員が驚愕の声をあげた。その後、全員暫くの間固まっていたが、ハッとなったリアナが、大慌てでフレデリックに詰め寄った。
「ちょ、ちょっと待ってください総本部長さん! え!? いや、なんで……」
「ああ、彼の本名を知っている理由ですか? それでしたら……」
と、フレデリックが答えかけたところで、春風が右手を上げて「待った」をかけた。
「申し訳ありませんが、俺の事はひとまず置いといて、どうして俺にその提案を出したのか聞いてもよろしいでしょうか?」
春風は落ち着いた口調でそう尋ねた。
フレデリックはその態度に少し驚いたが、すぐに真面目な表情で答えた。
「先ほども言いましたが、あなたは本来裁かれる側である彼らを助ける為に、裁く側である断罪官、それも歴代の大隊長最強と謳われたウォーレン・アークライトを退けたという前代未聞の偉業を成し遂げました。つまり、この時点であなたに彼らを最後まで守る『責任』が生まれたということになります」
「それは……」
「しかし、今のあなたには彼らどころか自身を守る『力』すらありません。そんな状態で教会を相手にしたら、真っ先に潰されてしまうでしょう」
「……」
「そこで、彼らにはハンターになってもらい、あなたには彼らをチームメンバーにレギオンを作り、そのリーダーとして、自身を鍛えつつ彼らを教会に対抗できるくらいになるまで育ててもらいます」
「それが、『白金級ハンター』……なんですね?」
「ええ、彼らは1人で人々に絶大な人気を誇り、1人で数百もの魔物を相手に出来る実力を持った者達です。強大な『力』を有する教会相手に対抗するなら、こちらも連中と同等、いやそれ以上の『力』を身に付けなければいけません」
「『白金級ハンター』なら、それが出来るというのですか?」
「あくまでも『可能性』の範囲内ですが」
「……それは、俺がどういう存在か知っている上での提案ですか?」
春風のその問いに、フレデリックは「はい」と頷いた。
「……俺のこと、いつから知っていたのですか?」
「セイクリア王国で行われたイベントから、ですね」
「イベントって、思いっきり最初からじゃないですか。てことは、リアナのことも?」
「はい、勿論です、よ!」
「ヒィッ!」
フレデリックにギロリと睨まれて、リアナはビクッと震え上がった。その後、フレデリックはすぐに穏やかな表情に戻った。
「フフフ、我々の情報網を舐めてもらっては困りますよ。まぁ、知っていると言っても、あなた個人のことまでは入っておりません」
「はぁ、そうですか」
「ですが、初めてあなたに会った『あの日』から、私は確信しているのです」
「何をですか?」
「あなたは、強い『意志』と『目的』を持ってここに来たということと、近い将来とても大きな事を成し遂げるということです。それも、世界の未来に関わるくらいの、ね」
「……それは、大袈裟です。俺はそんな大層な人間じゃあありません」
「そうでしょうか? というより、もうそろそろ話しても良いのではありませんか? 彼らも気になっているご様子ですし」
「え……って、あ」
フレデリックにここまで言われて、春風は漸く、アデル達が春風の事情を知りたがっていることに気がついた。
(あぁ、めっちゃ『気になってます』って顔してる!)
ジィッと見つめてくるその視線に居心地の悪さを感じた春風は、
(ど、どうしようリアナ!)
と、リアナに助けを求めようと彼女の方に振り向いたが、
「あわわわわわわわ……」
と、当の本人は滝の様に汗を流し、目を泳がせながらガタガタと震えていた。
(アレェ? もしかしてこれって、全部話さなきゃ駄目なやつ?)
逃げ道を失った春風は、今まさにピンチを迎えていた。
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あけましておめでとうございます、ハヤテです。
というわけで、今年最初の投稿になりました。
これからもどんどん投稿していきますので、今年もよろしくお願いします。
「れ、レギオン……」
「はい、レギオンです」
フレデリックの提案に戸惑う春風。もしこれがギャグ漫画なら、ここで、
「……て、何?」
と、ボケをかますところだろう。
「それって、複数のハンターが組むチームのことですよね?」
だが、春風はボケなかった。
「ええ、そうですよ。あなたにはそのレギオンを作って、彼らと共に『白金級ハンター』を目指してもらいます」
『ええぇーっ!』
その言葉に、春風と幼いイアン、ニコラ、マークを除く全員が驚愕の声をあげた。その後、全員暫くの間固まっていたが、ハッとなったリアナが、大慌てでフレデリックに詰め寄った。
「ちょ、ちょっと待ってください総本部長さん! え!? いや、なんで……」
「ああ、彼の本名を知っている理由ですか? それでしたら……」
と、フレデリックが答えかけたところで、春風が右手を上げて「待った」をかけた。
「申し訳ありませんが、俺の事はひとまず置いといて、どうして俺にその提案を出したのか聞いてもよろしいでしょうか?」
春風は落ち着いた口調でそう尋ねた。
フレデリックはその態度に少し驚いたが、すぐに真面目な表情で答えた。
「先ほども言いましたが、あなたは本来裁かれる側である彼らを助ける為に、裁く側である断罪官、それも歴代の大隊長最強と謳われたウォーレン・アークライトを退けたという前代未聞の偉業を成し遂げました。つまり、この時点であなたに彼らを最後まで守る『責任』が生まれたということになります」
「それは……」
「しかし、今のあなたには彼らどころか自身を守る『力』すらありません。そんな状態で教会を相手にしたら、真っ先に潰されてしまうでしょう」
「……」
「そこで、彼らにはハンターになってもらい、あなたには彼らをチームメンバーにレギオンを作り、そのリーダーとして、自身を鍛えつつ彼らを教会に対抗できるくらいになるまで育ててもらいます」
「それが、『白金級ハンター』……なんですね?」
「ええ、彼らは1人で人々に絶大な人気を誇り、1人で数百もの魔物を相手に出来る実力を持った者達です。強大な『力』を有する教会相手に対抗するなら、こちらも連中と同等、いやそれ以上の『力』を身に付けなければいけません」
「『白金級ハンター』なら、それが出来るというのですか?」
「あくまでも『可能性』の範囲内ですが」
「……それは、俺がどういう存在か知っている上での提案ですか?」
春風のその問いに、フレデリックは「はい」と頷いた。
「……俺のこと、いつから知っていたのですか?」
「セイクリア王国で行われたイベントから、ですね」
「イベントって、思いっきり最初からじゃないですか。てことは、リアナのことも?」
「はい、勿論です、よ!」
「ヒィッ!」
フレデリックにギロリと睨まれて、リアナはビクッと震え上がった。その後、フレデリックはすぐに穏やかな表情に戻った。
「フフフ、我々の情報網を舐めてもらっては困りますよ。まぁ、知っていると言っても、あなた個人のことまでは入っておりません」
「はぁ、そうですか」
「ですが、初めてあなたに会った『あの日』から、私は確信しているのです」
「何をですか?」
「あなたは、強い『意志』と『目的』を持ってここに来たということと、近い将来とても大きな事を成し遂げるということです。それも、世界の未来に関わるくらいの、ね」
「……それは、大袈裟です。俺はそんな大層な人間じゃあありません」
「そうでしょうか? というより、もうそろそろ話しても良いのではありませんか? 彼らも気になっているご様子ですし」
「え……って、あ」
フレデリックにここまで言われて、春風は漸く、アデル達が春風の事情を知りたがっていることに気がついた。
(あぁ、めっちゃ『気になってます』って顔してる!)
ジィッと見つめてくるその視線に居心地の悪さを感じた春風は、
(ど、どうしようリアナ!)
と、リアナに助けを求めようと彼女の方に振り向いたが、
「あわわわわわわわ……」
と、当の本人は滝の様に汗を流し、目を泳がせながらガタガタと震えていた。
(アレェ? もしかしてこれって、全部話さなきゃ駄目なやつ?)
逃げ道を失った春風は、今まさにピンチを迎えていた。
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あけましておめでとうございます、ハヤテです。
というわけで、今年最初の投稿になりました。
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