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第6章 結成、ユニークなレギオン?
第88話 フレデリックの結論
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*今年最後の投稿です。
ひとしきり泣いた後、落ち着いたルーシーが春風に話しかける。
「あ、あの、ハルさん。ハルさんの、気持ちは、嬉しいですが、わ、私は、フィオナと、みんなと離れたくありません。ですから、その提案には、乗れません」
ルーシーの答えを聞いて、春風は穏やかな笑みを浮かべて言う。
「うん、そうみたいですね」
「ご、ごめんなさい」
「いえ、俺の方こそ、君の友達に酷い質問をして、すみません」
と、お互い謝ったところで、フレデリックが口を開く。
「ふむ。では、話がまとまったところで、ハルさん」
「はい」
「あなたの提案は却下されましたが、彼らに生きて罪を償ってほしいという意志は、今も変わりありませんか?」
「はい、そこは俺も譲るつもりはありません」
「そうですか。では、私からの結論を言います」
その言葉を聞いた瞬間、春風を除いた全員が、ゴクリと固唾を飲んだ。
「私には、というより、この都市では、彼らをどうにかする事は出来ません」
フレデリックの結論に、春風は落ち着いた表情をしているが、リアナは「そ、そんな」とショックを受け、アデル達は「やっぱりか」とがくりと肩を落とした。
春風は真っ直ぐフレデリックを見て、
「理由を聞いてもよろしいでしょうか?」
と尋ねると、フレデリックも春風を真っ直ぐ見て答える。
「事情がどうであれ、彼らは本来『異端者』として裁かれる側の人間です。ましてや、そちらにいるアリシアさんは、その裁く側である断罪官を裏切った人間です。その様な存在を生かしている事が知られれば、この都市に住む人々に余計な不安と恐怖を与えかねません。私は、この都市をまとめる人間として、彼らの平穏と生活を守る義務があるのです」
その答えを聞いて、アデル達はますます表情を暗くした。特にアリシアは、フレデリックが言うように「裏切り者」でもある為、表情の暗さはアデル達以上だった。
リアナや幼いイアン、ニコラ、マークが、心配そうにアデル達を見ている中、フレデリックはさらに話を続ける。
「そして、ハルさん」
「はい」
「あなたは、そんな彼らを守る為に断罪官、それも「鉄鬼」と恐れられたウォーレン・アークライト大隊長に立ち向かい、これを退けた。この事実は、あなたが想像する以上に大きく、そして重いものです」
「……」
「今のところは教会の方から何も言ってはきませんが、今回の一件で、あなたは教会にとって最も危険な存在となってしまったでしょう」
「……そう、ですね」
そのやり取りの後、春風は顔を下に向けた。そしてその瞬間、総本部長室内は重苦しい雰囲気に包まれた。
暫くの間全員が沈黙していると、先に口を開いたのは、
「ですが、1つだけ、この状況に対抗する手段があります」
フレデリックだった。
彼の言葉に、春風は
「え、本当ですか?」
と顔を上げると、フレデリックはにこりと笑って、
「ええ。ただし、ハルさんには今まで以上に頑張ってもらわねばなりませんが」
と、そう付け加えると、春風は再びフレデリックを真っ直ぐ見て、
「構いません、俺に出来る事があるなら、やります」
と答えた。その表情を見て、リアナは顔を赤くしてうっとりしていた。
フレデリックは春風の決意を聞いて「ふふ」と笑うと、
「わかりました。では、ハルさん……いえ、幸村春風さん」
「「!?」」
いきなり本名を呼ばれて驚いた春風とリアナ。因みにアデル達はというと、皆一斉に「?」を浮かべていた。
だが、そんな春風達を前にフレデリックは言う。
「あなたには、『レギオン』を作ってもらいます」
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どうも、ハヤテです。
というわけで、今回で今年最後の投稿になります。
と言いましても、その後すぐにいつものように投稿していきますので、どうぞよろしくお願いします。
ひとしきり泣いた後、落ち着いたルーシーが春風に話しかける。
「あ、あの、ハルさん。ハルさんの、気持ちは、嬉しいですが、わ、私は、フィオナと、みんなと離れたくありません。ですから、その提案には、乗れません」
ルーシーの答えを聞いて、春風は穏やかな笑みを浮かべて言う。
「うん、そうみたいですね」
「ご、ごめんなさい」
「いえ、俺の方こそ、君の友達に酷い質問をして、すみません」
と、お互い謝ったところで、フレデリックが口を開く。
「ふむ。では、話がまとまったところで、ハルさん」
「はい」
「あなたの提案は却下されましたが、彼らに生きて罪を償ってほしいという意志は、今も変わりありませんか?」
「はい、そこは俺も譲るつもりはありません」
「そうですか。では、私からの結論を言います」
その言葉を聞いた瞬間、春風を除いた全員が、ゴクリと固唾を飲んだ。
「私には、というより、この都市では、彼らをどうにかする事は出来ません」
フレデリックの結論に、春風は落ち着いた表情をしているが、リアナは「そ、そんな」とショックを受け、アデル達は「やっぱりか」とがくりと肩を落とした。
春風は真っ直ぐフレデリックを見て、
「理由を聞いてもよろしいでしょうか?」
と尋ねると、フレデリックも春風を真っ直ぐ見て答える。
「事情がどうであれ、彼らは本来『異端者』として裁かれる側の人間です。ましてや、そちらにいるアリシアさんは、その裁く側である断罪官を裏切った人間です。その様な存在を生かしている事が知られれば、この都市に住む人々に余計な不安と恐怖を与えかねません。私は、この都市をまとめる人間として、彼らの平穏と生活を守る義務があるのです」
その答えを聞いて、アデル達はますます表情を暗くした。特にアリシアは、フレデリックが言うように「裏切り者」でもある為、表情の暗さはアデル達以上だった。
リアナや幼いイアン、ニコラ、マークが、心配そうにアデル達を見ている中、フレデリックはさらに話を続ける。
「そして、ハルさん」
「はい」
「あなたは、そんな彼らを守る為に断罪官、それも「鉄鬼」と恐れられたウォーレン・アークライト大隊長に立ち向かい、これを退けた。この事実は、あなたが想像する以上に大きく、そして重いものです」
「……」
「今のところは教会の方から何も言ってはきませんが、今回の一件で、あなたは教会にとって最も危険な存在となってしまったでしょう」
「……そう、ですね」
そのやり取りの後、春風は顔を下に向けた。そしてその瞬間、総本部長室内は重苦しい雰囲気に包まれた。
暫くの間全員が沈黙していると、先に口を開いたのは、
「ですが、1つだけ、この状況に対抗する手段があります」
フレデリックだった。
彼の言葉に、春風は
「え、本当ですか?」
と顔を上げると、フレデリックはにこりと笑って、
「ええ。ただし、ハルさんには今まで以上に頑張ってもらわねばなりませんが」
と、そう付け加えると、春風は再びフレデリックを真っ直ぐ見て、
「構いません、俺に出来る事があるなら、やります」
と答えた。その表情を見て、リアナは顔を赤くしてうっとりしていた。
フレデリックは春風の決意を聞いて「ふふ」と笑うと、
「わかりました。では、ハルさん……いえ、幸村春風さん」
「「!?」」
いきなり本名を呼ばれて驚いた春風とリアナ。因みにアデル達はというと、皆一斉に「?」を浮かべていた。
だが、そんな春風達を前にフレデリックは言う。
「あなたには、『レギオン』を作ってもらいます」
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どうも、ハヤテです。
というわけで、今回で今年最後の投稿になります。
と言いましても、その後すぐにいつものように投稿していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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