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第5章 対決、断罪官
第71話 戦闘開始
しおりを挟む「この俺を先にぶっ殺すんだな!」
ウォーレン達断罪官に、彼岸花の切先を向けてそう言い放つ春風。
その挑発とも言える言動に、ウォーレンを除く10人の断罪官の隊員達は、
「な、何だとぉ!」
「ふざけやがって!」
「こ、殺してやる!」
と、全員怒りのままに春風に襲いかかってきた。
「あ、危ない!」
ハッとなったアリシアが悲鳴をあげた次の瞬間、
「カァッ!」
と、春風は目の前の隊員達に向かって力強く叫んだ。
すると……。
ーーブオンッ!
『グワァアアア!』
春風を中心に衝撃波の様なものが発生し、隊員達を吹き飛ばした。結界内のアリシア達は吹き飛ばされない様にその場に踏ん張り、吹き飛ばされた隊員達は、7人はどうにか着地したが、残りの3人は木に激突したか上手く受け身を取る事が出来ずに、その場に倒れ伏した。
「(ちっ!)3人だけか。俺もまだまだ弱いな」
春風はその現状に、心の中で舌打ちをしながら呟くと、
『ちょっと待てぇえ!』
と、残った隊員達が突っ込みを入れてきた。
「……何だよ」
「き、貴様、今何をした!?」
嫌そうな表情で答えた春風に、隊員の1人が怒りの形相で剣を構えながら尋ねてきた。
春風は嫌そうな表情を崩さずに答える。
「何って、気迫で吹っ飛ばしただけだけど」
「な、何だそれは!? スキルか!? スキルによるものなのか!?」
さらに尋ねてきた隊員に、春風はしれっとした態度でこう答えた。
「いや、吹き飛ばすだけなら、スキル無くても出来るだろ?」
『な!?』
その言葉にショックを受けたのか、さらに2人の隊員がその場に倒れ、そのまま気を失った。よく見ると、その内の1人は、昨日ナンパをしてきた隊員の1人だった。
「よし! これで半分だ!」
思わぬ形ではあったが、10人いた隊員達を半分倒した春風。そんな春風に、残った隊員達は、
「き、貴様ぁあああ!」
「よくも仲間を!」
「もう許さん!」
『ぶっ殺してやる!』
と、怒りを露わにして春風に攻撃を仕掛けた。
「ふん」
しかし、春風はそれらを冷静に回避し、隙だらけになった隊員達に、彼岸花の峰打ちを力いっぱいお見舞いした。狙いは、鎧に守られてない腹部や上腕、そして太腿だ。
『ぐぁあああああ!』
強烈なダメージを受けた隊員達。その内3人は持っていた武器を落として、受けた部分を押さえた。
(今だ!)
それを見て、春風はトドメに入った。
「求めるは“風”、瞬間強化、『クィックブースト』!」
春風はそう唱えると、隊員の1人に強烈な飛び蹴りをくらわせた。
クィックブースト……風属性の支援魔術。対象の「運勢」を除く全ての能力値を、30秒だけ強化する。消費魔力:6。詠唱:「求めるは“風”、瞬間強化、クィックブースト』」
「ぐはぁ!」
飛び蹴りをくらった隊員は、他の3人を巻き込んで盛大に吹っ飛ばされると、背後の大きな木に激突し、そのまま気を失った。
(これで4人。後は……)
春風がチラリと横を振り向くと、そこには残り1人になった隊員がいた。それは、昨日春風をナンパしたもう1人の隊員だった。
「お、おのれぇ」
隊員は苦しそうに春風に向かって剣を構えると、最後の力を振り絞って飛びかかってきた。
「遅いよ」
だが、春風はそれよりも速く隊員の懐に飛び込むと、
「求めるは“風”、『ウインド』!」
と、至近距離から風魔術「ウインド」を放った。
「ぐあああ!」
防御出来ずにまともに受けた隊員は、地面を数回バウンドすると、そのまま意識を失った。何やら面白そうなポーズをとった状態で、だ。
「うん、これで全員かな!」
と、春風がそう満足した次の瞬間、
「うおおお! 貴様ぁあああ!」
「ん?」
春風の背後で、一振りの刃が振り下ろされようとしていた。
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