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第4章 誕生、ユニークなハンター?
第41話 ギルド登録、からの……
しおりを挟むそれから1週間、春風はヘリアテスや精霊王達から知識と技術を叩き込まれ、さらに必要な装備も準備した。
そして現在、準備を終えた春風はリアナと再会し、今、こうして共に中立都市シャーサルの「ハンターギルド総本部」ーー以下総本部の前にいる。
(ここが、『ハンターギルド総本部』か)
近くで見た総本部のデカさに圧倒さそうになる春風。
リアナは春風の手を握ったまま、
「さ、行こ!」
と、その手を引きながら、春風と一緒に総本部の中へと入った。
「うわぁ!」
中に入って、春風はさらに圧倒されそうになった。
そこには、重そうな鎧や魔術師を思わせるローブ姿の男女が多勢いて、皆それぞれ大きな剣や槍、弓矢といった武器を背負っていた。
(すごい、こんなの漫画やゲームだけの世界だと思ってたのに……)
目の前に広がっている光景に、春風は表情にこそ出さないが、心の中では感動していた。
「こっちだよ、ハル」
リアナはそう言うと、春風の手を引いて総本部の中を進んだ。暫く歩いていると、辿り着いたのはハンターの新規登録をする為の受け付けだった。
「ハンターギルド総本部にようこそ」
受け付け係の女性職員がそう挨拶すると、
「こんにちは、メイベルさん」
と、リアナはそう言って挨拶を返した。
「あら、リアナ、珍しいわね。どうかしたの? こんなところで」
メイベルと呼ばれた女性職員がそう尋ねると、
「彼のギルド登録をお願いします」
と、リアナは春風の方を向いてそう言った。
「『彼』?」
メイベルは目をパチクリさせて春風を見ると、
「……男の子なの?」
と尋ねてきたので、春風はピキッとなって、
「オ・ト・コ・で・す」
と、少々怒りを交えて答えた。
「ひっ! コホン、失礼しました。ギルドの新規登録ですね」
そう言って、メイベルは大慌てで春風に登録に必要な書類と羽根ペンとインクの入った瓶を用意した。
「そ、それでは、こちらの書類に名前と職能を書いて提出してください」
「わかりました」
春風は書類と羽根ペンとインク瓶をうけとると、
「リアナ、ちょっと良いかな?」
と、メイベルに聞こえない様に小声でそう言って、リアナと共に受け付けから少し離れた位置にある小さなテーブルに移動した。
その後、春風はリアナに見てもらいながら書類を書くと、それを持って受け付けに戻り、メイベルに提出した。
「えっと、名前は『ハル』さんで、職能は『剣士』ですね。では、少しお待ちください」
メイベルは提出された書類を見てそう言うと、それを持って受け付けの奥に入っていった。
それを確認すると、リアナは春風に、
「職能、『剣士』にしたの?」
と、小声でそう尋ねると、
「うん。刀を持って後衛系の職能持ちだなんて言われたら信じる?」
と、小声でそう答えた。
「あー、うん。そうだね」
リアナがそう納得していると、
「お待たせしました。こちらになります」
と、奥からメイベルが戻ってきて、春風に1枚のカードを差し出した。
「コレは?」
「はい、こちらがあなたの『ギルドカード』になります」
春風は差し出されたそのカードを受け取ると、それをまじまじと見た。そこには自身の名前と職能の他に、「銅3級」と記されていた。
メイベルの説明によると、ギルド登録をしてハンターになった者には必ず「ランク」というものが付く様になっていて、最低ランクである「銅3級」から始まって、「銅2級」、「銅1級」、「銀3級」、「銀2級」、「銀1級」、「金3級」、「金2級」、「金1級」、そして、最高ランクである「白金級」の順に上がっていくという。
「なるほど、よくわかりました」
メイベルの説明に納得した春風は、貰ったギルドカードを腰のポーチにしまった。
「それじゃあ、登録が終わったところで、他のとこも案内するね」
リアナはそう言うと、また春風の手を引いて、受け付けを後にした。その様子を見て、メイベルは、
「嘘、あのリアナが?」
と言って、暫くの間口をアングリして硬直した。
それから春風は、リアナにギルド総本部内を案内されていた。仕事を引き受ける掲示板をはじめ、簡易的な道具屋や資料室など、中にある様々な施設を見て、春風は再び心の中で感動した。
そして、2人が最後に訪れたのは、
「ここが、ギルド総本部運営の『小闘技場』だよ」
そこは、如何にも少年漫画とかに出てきそうな、石造の大きな円形の舞台だった。
「こっちこっち……と、その前に」
リアナは小闘技場横の受け付けに行くと、何やら書類を書き始めて、それを受け付けに提出した。
提出後、リアナは早足でその舞台に上がると、
「ハル、来て!」
と、春風を手招きした。
それに応じたかの様に、春風が舞台に上がると、リアナは真剣な表情になって、
「よし、じゃあハル……武器を構えて」
と言って、愛用の武器「燃え盛る薔薇」を構えた。
春風はそれ見て、
「……はい?」
と、なんとも間抜けな声を出すのだった。
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