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第4章 誕生、ユニークなハンター?
第40話 理由
しおりを挟む春風がリアナと同じ「ハンター」になることになった理由。
それは1週間前、ゼウスを交えて今後について話し合っていた時だった。
「えっと、ゼウス様、今何と言いました?」
「だから、『地球』と『エルード』、2つの世界を救う為に、お前にはこの世界の人々と触れ合って貰うって言ったんだ」
ゼウスの言葉に、春風は大きな「?」を浮かべながら、キョトンと首を傾げた。だが、すぐに我に返って、
「いやいやいや、ちょっと待ってくださいよ! どうして俺がそんなことをしなきゃいけないんですか!? ここで強くなるだけじゃダメなんですか!?」
とゼウスに問い詰めると、ゼウスは真面目な表情で、
「必要なことだからさ」
と答えた。
「……はぁ?」
だが、春風は全く理解出来なかった。そんな春風に、ゼウスは真面目な表情を崩さずに説明する。
「いいか春風。お前には『地球を救う』という強い意志がある。だが、『この世界も救う』となると、それだけじゃあ足りねぇ。2つの世界を救うには、地球だけじゃなくこの世界にも意識を向けなきゃならねぇんだ」
「……だから、『この世界の人達と触れ合え』と?」
そう言う春風の手は、微かだが震えていた。勿論、それは「怒り」でだ。だが、それでもゼウスは、真面目な表情を崩さずに話を続ける。
「お前の気持ちはわかる。俺だって許せない気持ちは一緒だ。だが思い出せ、ここに来る直前にアマテラスから受けた、もう1つの『お願い』を」
「!」
その瞬間、春風はその「お願い」を思い出した。
エルードに来る直前、
「もう1つの『お願い』ですか?」
「うん。あのね、もし良ければだけど、もし、向こうで『信じられるもの』とか、『希望』みたいなものを見つけたら、それを守って欲しいの」
「何ですかそれ?」
「うーん、春風君にとって向こうの世界は『敵』だと思ってるんだろうけど、ほら、もしかしたら、それとは違う、『良いもの』もあるかもしれないから……」
それを聞いて、春風は微妙に嫌そうな表情をした。
そして現在、
「希望……か」
アマテラスの「お願い」を思い出して、春風はボソリとそう呟いた。震えの方も、いつの間にか止まっていた。
春風は少し考えて、
「……ですが、『人と触れ合え』って、具体的には何をすれば良いのでしょうか?」
と、ゼウスに質問した。
「む!? えーっと、それは……」
その質問に対し、ゼウスが言葉に詰まったその時、
「はい! 私に考えがあります!」
と、リアナが元気良く叫んだ。
「えっと、リアナ……さん?」
驚いた春風達が一斉にリアナの方を向くと、リアナは自信たっぷりの表情で、
「春風、『ハンター』になろうよ!」
と、春風に向かって言い放った。
「は、ハンターに……て、俺がですか?」
春風は訳がわからないという表情でリアナにそう尋ねると、
「うん! ハンターになれば、いろんな人に触れ合えるし、上手くいけば肉体的にも精神的にも強くなれると思うから、今の春風にピッタリだと思う!」
と、リアナはドヤ顔でそう答えた。
その答えに、春風を除いた全員が「オオッ!」となったが、春風だけは不安な表情で俯いた。
「俺……出来るのでしょうか?」
色々と思う所があったのか、春風は不安そうにそう言うと、リアナは春風に近づいて、その手を握り、真剣な表情で言う。
「大丈夫だよ。春風は大切なもの守る為に、危険を承知でこの世界に来たんでしょう? その『気持ち』があればきっと出来るし、何より……」
「?」
「『侵略者』の血が流れているこんな私を、春風は信じてくれたじゃない」
「!」
リアナのその言葉にハッとなった春風。そこへ、ゼウスが続いた。
「そうだぜ春風。お前が、その娘を信じようと思ったのは、その娘から『信じられるもの』を感じたからじゃないのか?」
「!」
そう問いかけるゼウスに、春風はさらにハッとなった。
そして、春風は謁見の間での事を思い出した。
(そうだ。俺がこの子を信じようと思ったのは、あの時『自分を信じて』と言ったこの子を見て、心から信じようと思える『何か』を感じたからじゃないか? そしてそれが、アマテラス様の言っていた『希望』ってものなんじゃないか?)
「ハンターになる……か」
それから春風は、再び少し考え込むと、意を決した様に顔を上げて、
「わかりました。俺、ハンターに、なります!」
と、リアナ達にそう宣言するのだった。
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