ユニーク賢者の異世界大冒険

ハヤテ

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第2章 冒険の始まり

第17話 春風、質問する

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 春風の突然の発言に、謁見の間にいる者達全員が注目した。

 特に、小夜子とクラスメイト達全員が(ただし、一部を除いて)の視線が凄かった。

 何故なら、眼鏡を外した春風の顔立ちが、翔輝以上にイケてるからだ。

 ただし、「美男子」という意味ではない。

 春風自身は男だが、その顔立ちは「少女」、それも「美少女」に近かった。

 春風が目立ちたくない理由の1つが、その「美少女」に近い顔立ちだった。幼い頃にその所為で、いろいろと嫌な思いをした事があったからだ。

 しかも、成長するにつれてだけじゃなく、涼司や「師匠」との生活の中で、ますます美少女っぽさに磨きがかかってしまい、それが嫌だった春風は、普段は学校に通っている時は眼鏡をかけて髪型を変えるようになったのだ。

 とまあ、それはさておき、それまで春風の顔立ちに見惚れていたウィルフレッドは、すぐにハッと正気に戻った。

 「ど、どうかしたのか勇者殿?」

 正気に戻ったと言ってもまだ少し戸惑っているウィルフレッドに、春風は優しく微笑みながら答える。

 「はい、ウィルフレッド陛下……というより、王族の皆様に幾つか質問したい事がありますので、ちょっとよろしいでしょうか?」

 春風がそう言ったその時、ハッと我に返った翔輝が、慌てて割り込んできた。

 「お、おいおい待ってくれ幸村君、一体どうしたんだい? せっかく話がまとまってきたっていうのに」

 と、春風の肩を掴んでそんな事を言う翔輝。

 「前原君……」

 春風は「ハァ」と溜め息を吐くと、

 「

 と言って、ギロリと翔輝を睨みつけた。

 次の瞬間、謁見の間にいる者達全員が謎のプレッシャーに襲われて、たらりと冷や汗を流した。特に翔輝は白目をむいて立ったまま気絶した。

 春風は肩を掴む翔輝の手を剥がすと、再び優しく微笑んでウィルフレッドに向き直った。

 「さて、ウィルフレッド陛下。質問、よろしいでしょうか?」

 「はっ! あ、ああ、構わない」

 「ありがとうございます。では、最初の質問です」

 そして、春風は質問を開始した。

 「今回、俺達を召喚した人物は、そちらにいるクラリッサ姫と4人の魔術師達という事でよろしいでしょうか?」

 「む? うむ、そうだ」

 「そうですか。では、クラリッサ姫様」

 「は、はい!?」

 「失礼を承知でお聞きしますが、貴方は何か『神職』に就いているのですか? 例えば、『神官』とか『巫女』とか」

 「え? はい、職能でしたら、私は『神官』の職能を持っています」

 「神官……。もしかして、『神様』と対話出来るくらいの力を持ってたりしますか?」

 「え!? そんな、私にはそのような力は持っておりませんし、仮に持っていたとしても、た、対話だなんて恐れ多い事出来ません」

 おろおろしながら否定するクラリッサに春風は穏やかな表情で

 「そうですか(まずはここまでだな)」

 と言うと、向き直って、次の質問に移った。

 「では次の質問です。今回、俺達を召喚した動機は、封印から目覚めた邪神と、その加護を受けた悪魔を倒してもらう為という事ですね?」

 「そ、そうですが」

 「その時、貴方は何を『対価』に支払ったのですか?」

 「た、『対価』.……ですか?」

 「ええ、『対価』です。まさかとは思いますが、誰かを『生贄』にしたなんて言いませんよね?」

 その質問に、クラリッサはカッとなって答えた。

 「な、そんな事していません! 捧げたものがあるとすれば、それは私と魔術師達の魔力だけです!」

 真っ直ぐな目でそう言ったクラリッサに、春風は、

 (うん、嘘は言ってないな)

 と感じた。

 (ま、それでもルール違反してるのに変わりはないけど)

 そして、春風は質問を続けた。

 「それでは次の質問になりますが、魔術師の皆さんもよろしいでしょうか?」

 その言葉に、魔術師達は全員、戸惑いながらもコクリと頷いた。

 「俺達の召喚に関してですが、あなた方が信じる『神様』は何か言ってましたか?」

 すると、魔術師達の1人が、少し驚いた表情で、

 「な、何か、とは?」

 「そうですね。例えば、『向こうの世界の神の許しを貰えた』みたいな。あ、この場合は俺達の世界、『地球』の『神様』ですね」

 クラリッサは一瞬「何言ってるの?」という表情になったが、すぐに、

 「い、いえ、何も聞いていません」

 と答えた。それに続くように、魔術師達も「うんうん」と頷いた。

 「そうですか。それでは……」

 そう言って、春風が次の質問に移ろうとしたその時、

 「オイ! ちょっと待て!」

 と、それまで気を失っていた翔輝が割り込んできた。

 「さっきから黙って聞いていれば、君は一体何をしているんだ!? 陛下達に対して、失礼じゃないか!」

 「前原君……」

 春風はうんざりした表情で溜め息を吐くと、

 「

 と言って、またギロリと翔輝を睨みつけた。

 その瞬間、再び謁見の間にいる者達全員が謎のプレッシャーに襲われた。ついでに、翔輝はまた白目をむいて気絶した。

 「さて、邪魔者がいなくなったところで……ウィルフレッド陛下」

 「はっ! な、なんであろうか?」

 突然話をふられて口調がおかしくなったウィルフレッドに、春風は質問した。

 「封印から目覚めたという『邪神』ですが、名前はなんというのですか?」

 「な、名前……とな?」

 「はい、名前です。差し支えなければ、教えてほしいのですが」

 「う、うむ、わかった。『邪神』の名前は……」

 そして、ウィルフレッドはその「邪神」の名前を言った。

 (おい、嘘だろ? その名前って……)

 それを聞いた瞬間、春風は思わず倒れそうになった。

 何故なら、その「邪神」の名前が、アマテラスが教えてくれただったからだ。

 その時、春風の中で様々な情報が混ざり合い、結果、1つの結論に至った。

 (ああ、オーディン様、アマテラス様、ゼウス様、そして地球の神様の皆さん)

 ーーこの世界、侵略され乗っ取られてました。
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