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第五章・西の離宮
37・告白
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「アルジェ┉私の事、酷い人だと思うかい?」
アルジェはその言葉に驚き、固まってしまっている┉。
「アラン様がね、私の癒やしの力の事を、力がまだ残っている事を言うべきなんじゃないかって┉。」
そして使い過ぎたら死ぬ┉って事を──。
「この事はアラン様もご存知ではないんだけど、寿命の事もあるから┉私には。」
あれから幾度も考えてはみたものの正解が解らない。
知って死なれるのと、死なれてから知る。
大抵は、死ぬ前に知りたかった!と言うだろう。でも本当に?
これは死なれる側の言い分だろう。
死ぬ方からしたら、愛する人を苦しめてしまう┉という思いに駆られる。
だから結局は堂々巡りになってしまう。
「スリ様、確かにアラン様の言われる事も一理あります。だけど酷い人だとは思いません!だって好きだからこそ言えないってありますよ。誰だって愛する人を悲しませたくないですから┉。」
アルジェは複雑な表情でそう言う。
「でもスリ様、癒やしの力の方は使わなければ問題ないんだと思うんです。幸いに役を離れた御使いにまだ力があるなんて殆どの方が知りませんよね?でも┉スリ様がロイ王子との結婚をお望みなら寿命についてはお伝えするべきだと思います。」
──結婚。そうだ、結婚するならば黙っている訳にはいかない。
故郷を出た時は後十年┉上手くすれば二十年くらいは生きられると思っていた。
だけど┉この前の感じでは恐らく──。
「わかった!今夜、ロイ様にお話しする事にする。正直言うとちょっと怖いけど┉。」
「大丈夫ですよ!スリ様が正直に全てをお話し出来れば理解して下さいます、きっと。」
不安な様子のスリジャを元気づけるように明るくそう言って笑った。
──コン、コン。
「ロイ様いらっしゃいますか?」
ゴトン!ガタッ┉。
スリジャの急な訪問で慌てたのか何やら物音が聞こえた後、扉が開く。
「スリジャが俺の部屋に来るなんて┉」
笑顔でそう言いながら扉を開けたロイだったが、そこに居たスリジャの様子がいつもとは違っているのに気付き、さっと顔を曇らせる。
「だ、大丈夫か?どうしたんだ一体┉泣いているのか?」
愛おしい人の顔を見ただけで涙が溢れてきて止まらないスリジャ。
今から大事な話しをしないといけない状況で、泣いている場合でないのは分かっている。だけど聞いた後のロイの気持ちを考えてしまうと泣かずにはいられない──。
ロイはそんな様子のスリジャの肩をそっと抱き、部屋に入るように導く。そしてソファに座らせ、自分もその隣に座った。
「どうした?スリジャ。最近ずっと浮かない顔をしていたのは知っていた┉。何か話しがあるんだろ?何でも言ってくれ。」
ロイはスリジャを安心させようと抱き締め、そして優しく背中を撫でてやる。
その優しさが心に染み渡たったスリジャは口を開いた。
「ロイ様。大事なお話しがあるのです。聞いていただけますか?」
それに大きく頷いてロイが姿勢を正す。
「神の御使いであった私に残された時間は┉いえ、はっきり言ったほうが良いでしょうね。┉私の寿命はあと五年ほどでしょう。」
そしたらあなたの元を永遠に去らなければなりません──。
アルジェはその言葉に驚き、固まってしまっている┉。
「アラン様がね、私の癒やしの力の事を、力がまだ残っている事を言うべきなんじゃないかって┉。」
そして使い過ぎたら死ぬ┉って事を──。
「この事はアラン様もご存知ではないんだけど、寿命の事もあるから┉私には。」
あれから幾度も考えてはみたものの正解が解らない。
知って死なれるのと、死なれてから知る。
大抵は、死ぬ前に知りたかった!と言うだろう。でも本当に?
これは死なれる側の言い分だろう。
死ぬ方からしたら、愛する人を苦しめてしまう┉という思いに駆られる。
だから結局は堂々巡りになってしまう。
「スリ様、確かにアラン様の言われる事も一理あります。だけど酷い人だとは思いません!だって好きだからこそ言えないってありますよ。誰だって愛する人を悲しませたくないですから┉。」
アルジェは複雑な表情でそう言う。
「でもスリ様、癒やしの力の方は使わなければ問題ないんだと思うんです。幸いに役を離れた御使いにまだ力があるなんて殆どの方が知りませんよね?でも┉スリ様がロイ王子との結婚をお望みなら寿命についてはお伝えするべきだと思います。」
──結婚。そうだ、結婚するならば黙っている訳にはいかない。
故郷を出た時は後十年┉上手くすれば二十年くらいは生きられると思っていた。
だけど┉この前の感じでは恐らく──。
「わかった!今夜、ロイ様にお話しする事にする。正直言うとちょっと怖いけど┉。」
「大丈夫ですよ!スリ様が正直に全てをお話し出来れば理解して下さいます、きっと。」
不安な様子のスリジャを元気づけるように明るくそう言って笑った。
──コン、コン。
「ロイ様いらっしゃいますか?」
ゴトン!ガタッ┉。
スリジャの急な訪問で慌てたのか何やら物音が聞こえた後、扉が開く。
「スリジャが俺の部屋に来るなんて┉」
笑顔でそう言いながら扉を開けたロイだったが、そこに居たスリジャの様子がいつもとは違っているのに気付き、さっと顔を曇らせる。
「だ、大丈夫か?どうしたんだ一体┉泣いているのか?」
愛おしい人の顔を見ただけで涙が溢れてきて止まらないスリジャ。
今から大事な話しをしないといけない状況で、泣いている場合でないのは分かっている。だけど聞いた後のロイの気持ちを考えてしまうと泣かずにはいられない──。
ロイはそんな様子のスリジャの肩をそっと抱き、部屋に入るように導く。そしてソファに座らせ、自分もその隣に座った。
「どうした?スリジャ。最近ずっと浮かない顔をしていたのは知っていた┉。何か話しがあるんだろ?何でも言ってくれ。」
ロイはスリジャを安心させようと抱き締め、そして優しく背中を撫でてやる。
その優しさが心に染み渡たったスリジャは口を開いた。
「ロイ様。大事なお話しがあるのです。聞いていただけますか?」
それに大きく頷いてロイが姿勢を正す。
「神の御使いであった私に残された時間は┉いえ、はっきり言ったほうが良いでしょうね。┉私の寿命はあと五年ほどでしょう。」
そしたらあなたの元を永遠に去らなければなりません──。
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