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第五章・西の離宮

36・愛するが故

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 アラン様の言った事が頭から離れない┉。

 ロイが耐えられない?私がいつ死ぬかもしれない身であることを──。

 これは神の御使みつかいとしての運命なのだと今までは受け取れていた。
 だが、これは私一人のことだと思っていたからだ┉。   

 だけど今は、二人のこと┉ととらえなければならない。

 私は恋に浮かれていたのであろうか。
 そんな事実をまだ伝えていないなんて┉。

 言われるまで気にもしていなかった。
 いや、考えないようにしていたのだろう┉あの人との触れ合いがただ楽しくて、嬉しくて┉愛おしくて。

 隣に居るロイの瞳をのぞき込めば私が見える┉そんな事がいつの間にか当たり前になり永遠えいえんに続くと思っていた──。

 永遠なんて言葉、私には一番似つかわしくはないではないか?
 そんな事を呟きながらも、あの人を求めてしまう自分のあまりのあさましさに┉フッと笑って──そして涙を流した┉。







 『光』とは何だろう?と、アランは考えていた。

 あの時、スリジャ様が言った光だ。

 ただでさえ食が細いあの方が、更に食べられなくなるなど尋常じんじょうではないのではないか?

 思わず┉といった感じで言ってしまわれた後、私に誤魔化ごまかすように違う話題を振られたようだが。

 何か秘密があるのだろうか┉?

 いずれ、突き止めなければならない。
 他でもないスリジャ様のことなのだから。

 

 ──それにしても腹立はらただしい┉ロイ兄上の事だ。

 私はあの方を┉心からほっしているのに。

 だからあの時スリジャ様には酷い事を言ってしまったかもしれない┉。
 かなり動揺なさっていたようだ。
 あの様子を見てしまったら心が痛んだ┉。

 私の行動は子供じみているのかも知れないな。
 好きな相手をいじめてしまうなんて┉だけどスリジャ様だって悪いんだよ?

 あの方は純粋過ぎるのだ┉。

 純粋すぎて直ぐに違う色に染まってしまう┉ロイ兄上の色に──。

 そんな無垢むくなスリジャ様を自分だけのものにしようとする兄上。

 確かに知り合ったのは兄が先かもしれないが、そんな事は関係ない。

 兄上はスリジャ様の『しるし』を見た事がないだろう?┉私はあるのだ。

 あの神殿で──。

 あの神々しいお姿を思い出すだけでたまらなくなる。

 また会おう┉と言って別れたけれど、もう会えないだろうとも思っていた。
 そういう雲の上の存在であったスリジャ様が┉私の世界に降りて来てくれたのだ。

 そんな奇跡のような幸せであったのに、他の男の元へ行かせると思うかい?

 私はあの方の心をワザとさぶったのだ┉。




 ──さあ、スリジャ様。私の所にちて来て┉。


 
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