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第二章・小説の中の僕
29・俺の辿った道
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小洒落たカフェに着いて、店の中に入る。護衛の人達を寒空の下に長時間待たせるのも可哀想だと思ったのか、レオ殿下は僕達のテーブルから少し離れた席に座らせて、待機するように言っている。会話までは聞こえないけど、何かあれば直ぐに駆け付けることが出来るギリギリの位置だ。
僕はオリヴァーとギルバートにも、王太子殿下と同席する訳にはいかないから、同じく離れた席でお茶でも飲んでてくれない?と頼む。
「いつもは一緒だけどゴメンね!」
そうお願いポーズをする僕に、しぶしぶといった感じで了承してくれたけど、目線は片時も離れない。それはギルバートだけでなく、何故かオリヴァーも。あれは…興味から?
それからケーキと紅茶のセットを注文して、一息ついてから落ち着いて話し始める。
「俺はさぁ、何て言うかな…永遠に続くかのような孤独を味わったよ。俺が前世を思い出したのは5歳の時だった。まだ身体も小さくて…だけど頭の中は大人並みだった。身体は子供だけど頭脳は大人!ってやつだな?だから余計辛くてね…。今だったら絶対誰にも言わないんだけど、当時は黙ってなんていられなかった!だから俺は、その時から頭のオカシイ王子決定さ」
僕はショックを受けた…前世の時と同じように、この世界でも明るい性格だと感じた乃恵留が、そんな思いをして過ごしていたなんて…
僕が前世を思い出したのは最近になってだけど、やっぱり小さな頃だったらきっと、同じような経験をしていたんだろうと思う。
そんな居た堪れない表情の僕を見て、乃恵留はフッと笑って今は大丈夫だよ?って。
「それにね、兄上は決して、僕を馬鹿にしなかった。兄上だけが唯一の味方だったんだ。だからこの世界でも、そんな状況に腐らず、俺らしくいられたんだと思うよ」
──亡くなられた第一王子の?それまでは王太子殿下だったお方だ。
僕は何とも言えない気持ちになる…だって、乃恵留を唯一理解してくれた方が亡くなったんだよ?どんなにか哀しかっただろう。
「乃恵留…いやレオ殿下、お兄様の事、お悔やみ申し上げます。どんなにか辛かっただろうね…」
僕は鎮痛の面持ちでそう伝えると、それに乃恵留は何故かポカンとした表情でいる。それからハッと気付いた様子で慌てて声を上げて…
「いやっ、実は死んでないんだ!俺は小説の内容全てを記憶している男だからね?死ぬって分かっているのに、指をくわえて待ってなんていないよ!愛する兄上なら尚更だ。もちろん兄上の運命は僕が変えたよ」
──小説の内容を…変えただと?そんなこと可能なのか。死ぬ運命だった人を変えられる!?
だけど待てよ?それなら何で今は死んだ事になっているんだろうか。全国民そう思ってますからー!
「ミシェルからレオ殿下は、最近までずっと王城を離れていたって聞いたけど…それと関係があるのかい?もしかして第一王子の運命を変える為に国を出ていたってことなの?」
僕のそんな疑問に乃恵留は、どこか嬉しそうな顔をしながら大きく頷いた。そして…
「流石俺の親友だな、察しがいいぜ!その通りだ。俺はずっと隣国のガシアンに居たんだ。表向きは留学していたんだけど…実は兄上の伴侶になるべく人を探しに行っていた。そして兄上は今現在ガシアンに居る。今はまだ理由があって秘密になっているけど…いずれ俺が王になった時は晴れて、真実を国内や諸外国にも公表するつもりでいる。この上なく幸せに暮らしているから安心してくれ!」
乃恵留は嬉しそうにそう言って笑う。それってどゆこと?って疑問しきりだけど、詳細までは分からないが乃恵留の活躍で兄の運命を変えたのだろう。
もしかして、僕とミシェルの運命も変える事だって可能なのかも知れない…だったら僕だってやってやる!そう心に決めた。
「ところで海人、手紙ではまだクリスと会うのは心の準備が出来ていないと言っていたね?だけど俺は…一度だけでも会っておいた方がいいと思うんだ。お前の気持ちは痛い程分かるし、無理にとは言わないが…俺の話を聞いた今でも、それに変わりはないか?」
──とうとうクリスの話題だよ!僕達には避けては通れないのがそのクリスだ…
「だけど乃恵留、君のその口ぶりだとかなり仲が良い間柄なのかい?クリスとは一体、どういう関係なの…」
ずっと不思議だった。僕にとってクリスは、どうしたって避けて通りたい人物なのは知っている筈だろう?なのに会ってみろだなんて…何か理由があるのかな?
「クリスはね…俺の婚約者だ。海人は小説の中では、ミシェルにとっていずれ別れる事になる婚約者だろ?そしてそれは俺も同じ…ようは俺達二人共、当て馬の立ち位置だな!」
乃恵留がクリスの婚約者で…当て馬だって?
僕はオリヴァーとギルバートにも、王太子殿下と同席する訳にはいかないから、同じく離れた席でお茶でも飲んでてくれない?と頼む。
「いつもは一緒だけどゴメンね!」
そうお願いポーズをする僕に、しぶしぶといった感じで了承してくれたけど、目線は片時も離れない。それはギルバートだけでなく、何故かオリヴァーも。あれは…興味から?
それからケーキと紅茶のセットを注文して、一息ついてから落ち着いて話し始める。
「俺はさぁ、何て言うかな…永遠に続くかのような孤独を味わったよ。俺が前世を思い出したのは5歳の時だった。まだ身体も小さくて…だけど頭の中は大人並みだった。身体は子供だけど頭脳は大人!ってやつだな?だから余計辛くてね…。今だったら絶対誰にも言わないんだけど、当時は黙ってなんていられなかった!だから俺は、その時から頭のオカシイ王子決定さ」
僕はショックを受けた…前世の時と同じように、この世界でも明るい性格だと感じた乃恵留が、そんな思いをして過ごしていたなんて…
僕が前世を思い出したのは最近になってだけど、やっぱり小さな頃だったらきっと、同じような経験をしていたんだろうと思う。
そんな居た堪れない表情の僕を見て、乃恵留はフッと笑って今は大丈夫だよ?って。
「それにね、兄上は決して、僕を馬鹿にしなかった。兄上だけが唯一の味方だったんだ。だからこの世界でも、そんな状況に腐らず、俺らしくいられたんだと思うよ」
──亡くなられた第一王子の?それまでは王太子殿下だったお方だ。
僕は何とも言えない気持ちになる…だって、乃恵留を唯一理解してくれた方が亡くなったんだよ?どんなにか哀しかっただろう。
「乃恵留…いやレオ殿下、お兄様の事、お悔やみ申し上げます。どんなにか辛かっただろうね…」
僕は鎮痛の面持ちでそう伝えると、それに乃恵留は何故かポカンとした表情でいる。それからハッと気付いた様子で慌てて声を上げて…
「いやっ、実は死んでないんだ!俺は小説の内容全てを記憶している男だからね?死ぬって分かっているのに、指をくわえて待ってなんていないよ!愛する兄上なら尚更だ。もちろん兄上の運命は僕が変えたよ」
──小説の内容を…変えただと?そんなこと可能なのか。死ぬ運命だった人を変えられる!?
だけど待てよ?それなら何で今は死んだ事になっているんだろうか。全国民そう思ってますからー!
「ミシェルからレオ殿下は、最近までずっと王城を離れていたって聞いたけど…それと関係があるのかい?もしかして第一王子の運命を変える為に国を出ていたってことなの?」
僕のそんな疑問に乃恵留は、どこか嬉しそうな顔をしながら大きく頷いた。そして…
「流石俺の親友だな、察しがいいぜ!その通りだ。俺はずっと隣国のガシアンに居たんだ。表向きは留学していたんだけど…実は兄上の伴侶になるべく人を探しに行っていた。そして兄上は今現在ガシアンに居る。今はまだ理由があって秘密になっているけど…いずれ俺が王になった時は晴れて、真実を国内や諸外国にも公表するつもりでいる。この上なく幸せに暮らしているから安心してくれ!」
乃恵留は嬉しそうにそう言って笑う。それってどゆこと?って疑問しきりだけど、詳細までは分からないが乃恵留の活躍で兄の運命を変えたのだろう。
もしかして、僕とミシェルの運命も変える事だって可能なのかも知れない…だったら僕だってやってやる!そう心に決めた。
「ところで海人、手紙ではまだクリスと会うのは心の準備が出来ていないと言っていたね?だけど俺は…一度だけでも会っておいた方がいいと思うんだ。お前の気持ちは痛い程分かるし、無理にとは言わないが…俺の話を聞いた今でも、それに変わりはないか?」
──とうとうクリスの話題だよ!僕達には避けては通れないのがそのクリスだ…
「だけど乃恵留、君のその口ぶりだとかなり仲が良い間柄なのかい?クリスとは一体、どういう関係なの…」
ずっと不思議だった。僕にとってクリスは、どうしたって避けて通りたい人物なのは知っている筈だろう?なのに会ってみろだなんて…何か理由があるのかな?
「クリスはね…俺の婚約者だ。海人は小説の中では、ミシェルにとっていずれ別れる事になる婚約者だろ?そしてそれは俺も同じ…ようは俺達二人共、当て馬の立ち位置だな!」
乃恵留がクリスの婚約者で…当て馬だって?
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