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第二章・小説の中の僕
30・当て馬と婚約者
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以前、レオ殿下が僕とミシェルの二人の様子を見て言った言葉…
『それは仲良くていいね!私にもね、いるんだよ婚約者。でもね…結婚する気持ちは湧かないね。』
結婚する気持ちは…湧かない。そう言い切った意味がやっと分かった。
自分は当て馬なんだと知っていたからなんだ。
実際その婚約者のクリスの事をどう思っているのかは知らない。
だけど、そもそも自分の事は愛してくれない存在だから…そう思ったら、好きになってはいけない!愛さない!と思ってしまうのは当然だ。僕もそうだったから…
──異世界転生組の二人、本当にツライ立ち位置だって!
「クリスはね、正確にいうと婚約者に一番近い人物っていうか。元々兄上の婚約者だったんだ。だからさ、次に俺が皇太子になっただろ?だからそちらも引き継ぐように言われてるんだ。明言は避けてるけどね?今は。」
乃恵留はそう言ってから、ハハッと乾いた笑いを漏らした。
そりゃそうだ!敢えて茨の道を行くヤツは居ない。
周りが諦めるまで放っておくのも一つの手だよね?
「だけど、そのクリスがなぁ~。何かっていうと城に来るんだ…。打たれ強いんだろうな?どんなに気の無いふりをしてもまた近付いてくる。父親のノゼンタール子爵に必ず落とせ!って言われてんのかな?迷惑なんだよなぁ全く!」
どこにでも同じような事言う親がいるんだね…今はもう二度と会いたくないロテシュ伯爵を思い出した。ヤダヤダ!
「だから僕に会ってみろって?どんな気持ちなのか探って欲しいってこと!?でも話しを聞いてみると僕が思っていたイメージとはちょっと違う人物だね?可憐で大人しい人かと思ってたよ。」
──クリス…ちょっと、イヤ!かなり興味が湧いてきてしまった。確かに今後の対策の為に一度会っておいた方がいいのかも知れない。
「まあ正直その気持ちもあるんだけど、ちょっと別の問題と言うか…。取り敢えず会ってみれば良く分かると思うぞ!」
僕は頷いて、怖がってばかりもいられない状況だし、じゃあ会ってみると答えた。
「もう今日はこれで限界だな。見ろよ!お前んとこの護衛むちゃくちゃ睨んでるぞ?またこうやって会えばいいしな。手紙も出すよ!」
僕はギクリとして振り返ると…困り顔のオリヴァーと鬼の形相のギルバートさんがこちらを見ていた。
ギルバートさん…ミシェルに似て来たね?うん、まぁ仕事熱心な証拠だな…
もう帰るか!って皆んなでカフェを出ると、ちょっと辺りは薄暗くなっていていつの間にこんなに時間が!?って思う。
──ヤバババ!!ミシェルが遅い!って、きっとお怒りだろうなぁ…
それを考えると気が重くなってきて、早く帰んなきゃ!ってなり、殿下またね~って言おうと振り向いたら…いつの間にかレオ殿下の目の前に一人の少年が立っていた。
僕と同じくらい?な年齢の赤毛の髪と菫色の瞳が印象的な少年だ。おまけに美人!
なんて目を引く人なんだろう?見る人に強烈な印象を与える感じだ…一度見たら忘れられないような。
だけど、殿下の友達?もちろん貴族だろうね?そう思ってじっと見つめた。
その僕の視線に気付いた殿下とその少年は、こちらに目を向ける。
反対にその少年から僕への強い視線を向けられ、たじろぐ。
「マリン、紹介しよう。こちらノゼンタール子爵令息、クリス・ノゼンタールだ。」
──ク、ク、クリス!!はっ?何で…クリスって、令嬢じゃなくて令息なの!?うっそーっ!
『それは仲良くていいね!私にもね、いるんだよ婚約者。でもね…結婚する気持ちは湧かないね。』
結婚する気持ちは…湧かない。そう言い切った意味がやっと分かった。
自分は当て馬なんだと知っていたからなんだ。
実際その婚約者のクリスの事をどう思っているのかは知らない。
だけど、そもそも自分の事は愛してくれない存在だから…そう思ったら、好きになってはいけない!愛さない!と思ってしまうのは当然だ。僕もそうだったから…
──異世界転生組の二人、本当にツライ立ち位置だって!
「クリスはね、正確にいうと婚約者に一番近い人物っていうか。元々兄上の婚約者だったんだ。だからさ、次に俺が皇太子になっただろ?だからそちらも引き継ぐように言われてるんだ。明言は避けてるけどね?今は。」
乃恵留はそう言ってから、ハハッと乾いた笑いを漏らした。
そりゃそうだ!敢えて茨の道を行くヤツは居ない。
周りが諦めるまで放っておくのも一つの手だよね?
「だけど、そのクリスがなぁ~。何かっていうと城に来るんだ…。打たれ強いんだろうな?どんなに気の無いふりをしてもまた近付いてくる。父親のノゼンタール子爵に必ず落とせ!って言われてんのかな?迷惑なんだよなぁ全く!」
どこにでも同じような事言う親がいるんだね…今はもう二度と会いたくないロテシュ伯爵を思い出した。ヤダヤダ!
「だから僕に会ってみろって?どんな気持ちなのか探って欲しいってこと!?でも話しを聞いてみると僕が思っていたイメージとはちょっと違う人物だね?可憐で大人しい人かと思ってたよ。」
──クリス…ちょっと、イヤ!かなり興味が湧いてきてしまった。確かに今後の対策の為に一度会っておいた方がいいのかも知れない。
「まあ正直その気持ちもあるんだけど、ちょっと別の問題と言うか…。取り敢えず会ってみれば良く分かると思うぞ!」
僕は頷いて、怖がってばかりもいられない状況だし、じゃあ会ってみると答えた。
「もう今日はこれで限界だな。見ろよ!お前んとこの護衛むちゃくちゃ睨んでるぞ?またこうやって会えばいいしな。手紙も出すよ!」
僕はギクリとして振り返ると…困り顔のオリヴァーと鬼の形相のギルバートさんがこちらを見ていた。
ギルバートさん…ミシェルに似て来たね?うん、まぁ仕事熱心な証拠だな…
もう帰るか!って皆んなでカフェを出ると、ちょっと辺りは薄暗くなっていていつの間にこんなに時間が!?って思う。
──ヤバババ!!ミシェルが遅い!って、きっとお怒りだろうなぁ…
それを考えると気が重くなってきて、早く帰んなきゃ!ってなり、殿下またね~って言おうと振り向いたら…いつの間にかレオ殿下の目の前に一人の少年が立っていた。
僕と同じくらい?な年齢の赤毛の髪と菫色の瞳が印象的な少年だ。おまけに美人!
なんて目を引く人なんだろう?見る人に強烈な印象を与える感じだ…一度見たら忘れられないような。
だけど、殿下の友達?もちろん貴族だろうね?そう思ってじっと見つめた。
その僕の視線に気付いた殿下とその少年は、こちらに目を向ける。
反対にその少年から僕への強い視線を向けられ、たじろぐ。
「マリン、紹介しよう。こちらノゼンタール子爵令息、クリス・ノゼンタールだ。」
──ク、ク、クリス!!はっ?何で…クリスって、令嬢じゃなくて令息なの!?うっそーっ!
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