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第一章・僕が公爵家に居るワケ

13・『真実の愛』について

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 あのミシェルという人は、本当に分かってやってるの?

 あれだけ長い間、冷たい態度で僕に接して無視し続けたくせに、ケガしないように助けたりして。(思いの外、喘がされたけど…)

 それに僕の現状を知って、意外とすんなり内職を認めてくれたりして。(むちゃくちゃ叱られたけど…)

 んで、お金持ち歩くからって心配して護衛騎士付けてくれたりして。(邪魔でしかないけど…買い食いの?)

 僕がまたミシェルに対して、恋心を抱いたとしたらどうするつもりなんだろうか?
 
 ──全く!罪作りだなぁ~。

 だけどここで、改めて小説の内容を考えてみる。

 「真実の愛を求めて!」…だよね?
 て事は、真実愛を経験してる…って事なんだろうか?

 ──もしかしてその相手┉僕じゃないよね?
 それは嫌だなぁ…それで無一文で追い出すの?酷い~!
 
 だけど確かマリンについての説明は一行、二行とかそれくらいだったと思う。
 だからそれは有り得ないと思うけど…

 それにもう一つ、ずっと気になっている事があるんだ。

 ──グランバード公爵って、全くお会いしたことないんだけど?

 ミシェルの父、グランバード公爵。人づてに聞いたところによると、病気の夫人に付き添って領地の方に行ったままだ。

 息子に婚約者を迎えたんだよ?それも天敵と言えるロテシュ伯爵家の人間を。
 それなら一目でも、無理なら手紙の一つでも送ってくるのが普通なんじゃないのー?

 だから『真実の愛』って、単に男女の愛(男男&女女の愛もアリ)だけを指すんじゃないのでは?って事だ。

 今まであまり話す機会はなかったけど、ミシェルから夫妻の話題を聞いた事など、一切ない。

 ──何でだろう?ミシェルって言うか、グランバード公爵家にもまだまだ秘密あるのかもね!?
 間違いなく、父と息子の仲は余り良くない。

 お母様との事はちょっと分からないけどさ。でも…

 僕も母さんを流行り病で亡くしているから。
 気付いた時には遅くって、あっという間だった…

 ご病気がかなり深刻なんだとしたら?心配だろうな…

 だから『真実の愛』って、親子の愛とか夫婦の愛も含まれるのかも知れないね?

 それにしても…もっと小説、読んでおけば良かったなー!
 実はあらすじくらいしか覚えていないんだ…

 死ぬのがもう少し後だったら…もう少し読み進めていただろうけど。

 だけど、良くある異世界転生の話しって内容を良く知っているが為に、かえって可怪しくなる時あるよね?
 そうなるくらいなら、アッサリと知らない方がいいのかも知れない。ただ…

 目下もっか気になるのは、ミシェルがクリス嬢とどうやって出会うのか?と、僕ことマリンをどうやって屋敷から追い出すのか?だ。
 
 いくら気に入らない相手でも、何の理由もなしにポイって追い出すのは無理だと思う。
 ましてや僕は、王から勧められた縁談で来た訳だからね?
 
 きっとこの先、何か事件が起きる!それも僕を巻き込んだ。

 何か恐ろしい事のような気がするが、結局何かは分からない。
 起きてもいない事で行動を狭めてしまうのは得策ではないし、僕は僕の出来ることをするだけ!

 そう心に誓った僕だったけれど、小説の中という強制力にあらがい続けるのは無理かもしれない…と、漠然とした不安に包まれた──。
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