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第ニ章・先輩が彼氏に?

26・あの記憶

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 「あぁ、とうとうバレちゃったのか┉。だから早く言ったら?ってさぁ~。でも仕方がないね、そうなったら。誤解を上手に解いていきなさい!」

 立巳に昨日の顔合わせで起きた事を相談して、そうやって器用に出来たら誰も苦労しないんだけとな~って思う。

 「ったく、他人事ひとごとだと思ってさぁ。どう言ったらいいのか分からないから相談してるんでしょ?」
 ちょっと膨れっ面で僕が言うと┉

 「もうさの言わないで、お試し終了して正式に付き合って下さい!って言っちゃったら?」

 コイツ、面白がってるな?って思うけど、案外それが一番手っ取り早いかもしれない┉。

 「じゃあさ、逆に聞くけど瑞樹は何に悩んでるんだ?そんなの一つ一つ説明していくしかないって俺は思うんだけど。違う?」一緒に聞いていた翔琉のその言葉にドキッとした。

 ──違わない!翔琉の言う通りなんだ。

 僕は結局、先輩に対して後ろめたい気持ちが有り過ぎるんだよね┉。
 もう先輩が卒業するタイミングで僕から離れていくのは決まりだ!って思い込んでいて、何の努力もして来なかったから。

 ──それがバレた時に、この幸せも終わるかも?って心配してるんだ。

 「でもさ、それを言ったら先輩だって言葉が足りないよ?アピールっていうか┉。瑞樹を大切に思っていたんだったら、それを態度で示さないとねぇ?」

 ──ハッ!また声に出てた?って焦ったけど、立巳の言う事も一理いちりある。

 結局、僕と先輩。どちらも言葉が圧倒的に足りてなかった。
 このまま行ったらまた堂々巡どうどうめぐりなんだ┉。
 もう当たって砕けるしかない!って思った。

 今まで自分が年下で、先輩は仕事で忙しいんだからって受け身でいたけど、これからは自分からだってガンガンいくよ!

 そう決心して自分からメッセージを送ってみた。

 『先輩、お話しがあるので近い内に会って貰えませんか?』

 返事してくれるかな?って心配だったけど、意外に早く連絡が。
 それで金曜日の夜、会う事になった。
 約束を取り付けた事に少しホッとして、会える日を待ち望んでいたんだ。

 そんなある日、僕は就職活動で意外な人と再会する。
 再会┉って言うか、向こうは僕を全く知らないんだけど。

 涼さん達に頼まれたブライズメイド、それってどういう事をするの?って調べていたら、ちょっとだけ興味が湧いてきた。
 それでこの業界の会社を受けてみようかな┉って。

 KANAI WEDDING、ウェディング業界最大手の会社だ。
 そこで見掛けたあの人┉先輩と付き合っていた綺麗な男性オメガ。

 僕は忘れていた記憶が呼び覚まされた。
 あの桜の下での苦しい記憶を。

 ──先輩に僕は似合っていない?

 
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