【完結】あなたの恋人(Ω)になれますか?〜後天性オメガの僕〜

MEIKO

文字の大きさ
上 下
26 / 51
第ニ章・先輩が彼氏に?

25・バツの悪さこの上なく

しおりを挟む
 ──男性┉オメガ?

 微かに先輩がそう呟くのが聞こえる。

 「そうそう!瑞樹くんは珍しい後天性オメガなんだよね。もう二年になるんだっけ?」
 涼さんが僕を見ながら聞いてくる。

 涼さん、そこはスルーが正解なんですが┉。

 「一度倒れてね?その時、お医者様から珍しいタイプのオメガだって言われて。あの時は本当に驚いたわよ。」

 ちょっとだけ緊張がほぐれてきた母が、僕と先輩の経緯いきさつを知らずそう言うので、はい┉って一言だけ返す。

 それにお兄さんは、優先輩の顔をじっと見て不思議そうな顔をしている。
 直接僕がお兄さんに自分の性について言及した覚えはないけど、きっと先輩からベータだって聞いていたんだろう。
 先輩は、ふうん┉って相槌あいずちのような言葉を発して、そのまま黙っていた。

 怖い┉その反応一番怖い。まだ、何でだよ!とか言ってくれた方が良かった┉。

 そんなこんなで顔合わせは始まって、ひやひやしている僕以外は和やかなムードで進んでいく。

 僕はチラチラと先輩の様子を伺いながら、隣に居る柚子ちゃんの相手をしていた。

 それから何と二度目の結婚式をすると、お兄さんと涼さんから発表されて、今回は近い親戚や仲の良い友人だけで行うとのことで。

 それで何故だか僕がブライズメイドに、先輩がアッシャーに任命される。
 普通、友人から選ばれない?あぁ、二度目だから頼みにくい訳ですね!

 それから、おめでたい事は何度やってもいいですからねぇって、笑って顔合わせは終了する。

 帰り際、柚子ちゃんが僕と衣裳お揃いにする~って言って、それは嬉しいな!って思っていると、いきなり後ろから先輩に声を掛けられた。

 「瑞樹、ちょっと┉いいかな?」

 「はい、先輩┉。」

 先輩が手招きして、それに付いていく。
 そして奥の部屋の前で立ち止まって、ここ俺の部屋だからって。

 中に入ると、先輩らしいシンプルで落ち着いた感じの部屋だった。
 僕のガチャガチャと物が並んだ部屋とは大違いだ!
 そう思って、眺めていると┉

 「そんなに嫌だったか?」

 ──えっ、先輩┉どういう意味?

 「俺にオメガだって言うの嫌だったんだろ?」

 うーん┉確かにそうだけど、オメガ嫌いな先輩に言ったら嫌われるって思ったからなんだけど┉どう伝えたらいいのかな?
 そう考えている時、母さんが僕を呼ぶ声が。

 あっ、もう帰るって┉。

 「今日は疲れただろ?また今度話し合おう。まさか、それも嫌だって言わないよな?」

 僕は慌てて、そんな事ない!って言った。
 
 もう一度遠くで呼ばれて、はーい!って返事する。

 先輩が早く行ったほうがいいぞって言って、きっとまた会って下さいね!と念を押す。
 僕は後ろ髪を引かれる思いだったけど、それじゃ┉って部屋を出て行った。

 なんて┉タイミングの悪い!

 僕が先輩にオメガだって言おうと決心したのに、言えなくって。
 それで他の人から聞くなんて、先輩絶対面白くなかったと思う。

 僕は、人生最大の不覚だって思ったけどもう起きてしまった事は変えようがない。

 先輩にはこの事すらも正直に言おうって思う。

 また会ってくれるよね?先輩┉。不安になる気持ちを抑えて、信じて待とうって思った。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

当たり前の幸せ

ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。 初投稿なので色々矛盾などご容赦を。 ゆっくり更新します。 すみません名前変えました。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

幸せな復讐

志生帆 海
BL
お前の結婚式前夜……僕たちは最後の儀式のように身体を重ねた。 明日から別々の人生を歩むことを受け入れたのは、僕の方だった。 だから最後に一生忘れない程、激しく深く抱き合ったことを後悔していない。 でも僕はこれからどうやって生きて行けばいい。 君に捨てられた僕の恋の行方は…… それぞれの新生活を意識して書きました。 よろしくお願いします。 fujossyさんの新生活コンテスト応募作品の転載です。

【BL】こんな恋、したくなかった

のらねことすていぬ
BL
【貴族×貴族。明るい人気者×暗め引っ込み思案。】  人付き合いの苦手なルース(受け)は、貴族学校に居た頃からずっと人気者のギルバート(攻め)に恋をしていた。だけど彼はきらきらと輝く人気者で、この恋心はそっと己の中で葬り去るつもりだった。  ある日、彼が成り上がりの令嬢に恋をしていると聞く。苦しい気持ちを抑えつつ、二人の恋を応援しようとするルースだが……。 ※ご都合主義、ハッピーエンド

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

婚約破棄?しませんよ、そんなもの

おしゃべりマドレーヌ
BL
王太子の卒業パーティーで、王太子・フェリクスと婚約をしていた、侯爵家のアンリは突然「婚約を破棄する」と言い渡される。どうやら真実の愛を見つけたらしいが、それにアンリは「しませんよ、そんなもの」と返す。 アンリと婚約破棄をしないほうが良い理由は山ほどある。 けれどアンリは段々と、そんなメリット・デメリットを考えるよりも、フェリクスが幸せになるほうが良いと考えるようになり…… 「………………それなら、こうしましょう。私が、第一王妃になって仕事をこなします。彼女には、第二王妃になって頂いて、貴方は彼女と暮らすのです」 それでフェリクスが幸せになるなら、それが良い。 <嚙み痕で愛を語るシリーズというシリーズで書いていきます/これはスピンオフのような話です>

噛痕に思う

阿沙🌷
BL
αのイオに執着されているβのキバは最近、思うことがある。じゃれ合っているとイオが噛み付いてくるのだ。痛む傷跡にどことなく関係もギクシャクしてくる。そんななか、彼の悪癖の理由を知って――。 ✿オメガバースもの掌編二本作。 (『ride』は2021年3月28日に追加します)

捨てられオメガの幸せは

ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。 幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。

処理中です...