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第一章・ベータ、オメガになる。
4・先輩との日常
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それから僕は、自分の恋心を隠して先輩と友達になった。
きっと先輩は、あの時の綺麗な人みたいなのが好みなんだろう。
だけど┉男性オメガだったよね?だったら男の僕でも可能性はゼロじゃないのかな?
なんて馬鹿な事は思わない!
そもそも男性オメガと普通のベータ男は似て非なるものだ。
僕達は子供も産めないし、中性的で綺麗でもない。
普通の見た目の男性オメガだって沢山いるだろうが、アルファを誘うフェロモンがあるんだ。そのフェロモンに抗うのは無理だって聞くし┉。
ベータって、まずそれが理解出来ない。嗅げない匂いだから。
だから良かった┉友達にならなれるって。
あれから先輩と食べに行ったり、大学で偶然会ったりしているうちに色んなことが分かった。
まず先輩は、あのFUSHIKIグループの社長の次男なこと。
そしてその父親と折り合いが悪いこと。
一人お兄さんが居て、仲良しなこと。そのくらいかな?
それと┉あの綺麗なオメガと付き合っていること──。
6歳も年上なんだって。お兄さんの同級生らしい。
そして僕のことも話したよ?でも、母子家庭で喫茶店を手伝っていること以外に話すことなんてほぼないんだ。
学内でもトップクラスで有名な優先輩と友達になったから、注目されたのかな?ほんの数人だけど僕にも友達が出来た。
先輩目当ての人も近付いてきたけど、そんな人はお断わりだ!
僕は人付き合いが得意な方ではないけど、だからって人に何も言えないタイプなんかじゃないから。
言いたい事は言う。その性格が意外と先輩と合うようだ。
そんな僕だけど┉最近先輩に元気がないのを心配している。
──何かあったのだろうか?
先輩も三年生になって、就職なのか今やっているモデルの仕事を続けるのか決める時期だろう。その事なのかな?元気ないの┉って想像して、僕に何か出来ることは?と考えてみたけど、きっと僕にはそんな事求めてないよね?って思い直した。
今日は午前中には講義がないし、朝から喫茶店の手伝いをしている。
モーニングタイムも過ぎて、ランチまでの時間、少しは楽にいれそうだ┉って思っていた時、久しぶりに先輩からのメッセージが。
──瑞樹、すまないけど今日時間ないか?会いたいんだけど。
そんな内容だった。僕はちょっと違和感があったんだ。
いつも先輩は「すまない」なんて言わない。
もちろんお店の事もあるし、予定は聞いてくれるよ?だけど┉何か切羽詰まっているのかなって。
だから今日は、僕の他にもアルバイトさんも来ているし、午後からの講義後に先輩に会うことにしたんだ。
「先輩!優先輩こっちですよ!」
大学のカフェテラスで待っていた僕は、遠くに見えてきた先輩に手を振ってここだって知らせる。
先輩も気付いて、手を振り返してくれる。
その間もチラチラと皆んなが先輩を見ている。
やっぱり目立つし、カッコ良すぎるんだよなぁ~。
「ゴメンな!忙しいだろ?ちょっと待ってて、何か飲み物買ってくるし。お前のも買ってくるわ!もうないんだろ?」
僕は、おかわりはもういいんで┉って言おうとしたけど、あっという間に先輩は行ってしまった。
暫くしてカップを両手に持った先輩が戻ってきて、その一つを僕の前に置いた。
そして、お礼を言う間もなく言ったんだ。
「瑞樹、俺失恋したんだ┉。」
──先輩が、失恋だって?
きっと先輩は、あの時の綺麗な人みたいなのが好みなんだろう。
だけど┉男性オメガだったよね?だったら男の僕でも可能性はゼロじゃないのかな?
なんて馬鹿な事は思わない!
そもそも男性オメガと普通のベータ男は似て非なるものだ。
僕達は子供も産めないし、中性的で綺麗でもない。
普通の見た目の男性オメガだって沢山いるだろうが、アルファを誘うフェロモンがあるんだ。そのフェロモンに抗うのは無理だって聞くし┉。
ベータって、まずそれが理解出来ない。嗅げない匂いだから。
だから良かった┉友達にならなれるって。
あれから先輩と食べに行ったり、大学で偶然会ったりしているうちに色んなことが分かった。
まず先輩は、あのFUSHIKIグループの社長の次男なこと。
そしてその父親と折り合いが悪いこと。
一人お兄さんが居て、仲良しなこと。そのくらいかな?
それと┉あの綺麗なオメガと付き合っていること──。
6歳も年上なんだって。お兄さんの同級生らしい。
そして僕のことも話したよ?でも、母子家庭で喫茶店を手伝っていること以外に話すことなんてほぼないんだ。
学内でもトップクラスで有名な優先輩と友達になったから、注目されたのかな?ほんの数人だけど僕にも友達が出来た。
先輩目当ての人も近付いてきたけど、そんな人はお断わりだ!
僕は人付き合いが得意な方ではないけど、だからって人に何も言えないタイプなんかじゃないから。
言いたい事は言う。その性格が意外と先輩と合うようだ。
そんな僕だけど┉最近先輩に元気がないのを心配している。
──何かあったのだろうか?
先輩も三年生になって、就職なのか今やっているモデルの仕事を続けるのか決める時期だろう。その事なのかな?元気ないの┉って想像して、僕に何か出来ることは?と考えてみたけど、きっと僕にはそんな事求めてないよね?って思い直した。
今日は午前中には講義がないし、朝から喫茶店の手伝いをしている。
モーニングタイムも過ぎて、ランチまでの時間、少しは楽にいれそうだ┉って思っていた時、久しぶりに先輩からのメッセージが。
──瑞樹、すまないけど今日時間ないか?会いたいんだけど。
そんな内容だった。僕はちょっと違和感があったんだ。
いつも先輩は「すまない」なんて言わない。
もちろんお店の事もあるし、予定は聞いてくれるよ?だけど┉何か切羽詰まっているのかなって。
だから今日は、僕の他にもアルバイトさんも来ているし、午後からの講義後に先輩に会うことにしたんだ。
「先輩!優先輩こっちですよ!」
大学のカフェテラスで待っていた僕は、遠くに見えてきた先輩に手を振ってここだって知らせる。
先輩も気付いて、手を振り返してくれる。
その間もチラチラと皆んなが先輩を見ている。
やっぱり目立つし、カッコ良すぎるんだよなぁ~。
「ゴメンな!忙しいだろ?ちょっと待ってて、何か飲み物買ってくるし。お前のも買ってくるわ!もうないんだろ?」
僕は、おかわりはもういいんで┉って言おうとしたけど、あっという間に先輩は行ってしまった。
暫くしてカップを両手に持った先輩が戻ってきて、その一つを僕の前に置いた。
そして、お礼を言う間もなく言ったんだ。
「瑞樹、俺失恋したんだ┉。」
──先輩が、失恋だって?
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