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第5章
第78話
しおりを挟むギルドのボードを見て、どの依頼にするか悩んでいると紅葉が2枚ほど持ってきた。
「レイ、これはどうじゃ?レッドホーンラビットとロパープの討伐で同じ草原で済ませられるぞ!」
「なら私は、Fランク最後の薬草集めですかね。」
「これで3枚か…そういえば、スサノオは登録しなくていいの?」
「えぇ、私はそのような物なくても主人殿についていければそれで。」
「そっか。じゃあ俺も1枚選ぼうかな…」
最後の1枚を選んでいると、端っこの方に随分色あせた依頼書を見つけた。
何かと思い取ってみると、依頼されたのは3ヶ月近く前だった。
「これ…なんでこんな放置されてるんだろ。」
ロゼッタも不思議に思ったのか、紙を覗き込んでいる。
「私の選んだのと似ている薬草集めですかね…。ですが、今まで行った事のない森の名前が書いてありますね。」
「面白そうじゃな。ならそれにしよう!」
「そうだね、じゃあこの4枚で。」
アリアさんのいる受付に4枚の依頼書を持ってくと、3枚は普通に確認してくれたのだが、最後の1枚で顔をしかめていた。
「どうかしましたか?」
「これね…だいぶ前からあって他の冒険者達も挑戦したんだけど、みんな失敗に終わってね。」
「そんなに難しいんですか?」
「他の薬草集めと変わった所はないんだけど…まず、目的の花がないらしいのよ。」
アリアさんの言葉に俺たちは驚いた。
「それって…達成不可能なんじゃ。」
「でも依頼者はあるって言い張ってるみたいだし、依頼料金もちゃんと払われてるから断る訳にもいかなくてね。」
「まぁ無理そうだったらまた来ますね。」
「それがいいわね。あ、それと最近王都付近で人攫いが何件かあるみたい。レイ君たちも…って心配ないか。気をつけて行ってきてね!」
「はい!」
4枚の依頼書を持って、俺たちはギルドを後にした。
「あ、ロパープ!」
コルータの森の近くの草原で、1匹の根っこが足のようになった植物がせっせと逃げている。
俺はこういった魔物討伐では、あまり魔力を追わないで目で探すようにしている。その方が、モ○ハンみたいで楽しいからだ。
「よし、これで最後の一匹じゃ!」
紅葉がロパープに扇を突き出して、体を貫通させ絶命させた。
「マスター!こっちも終わりました。」
反対からは、紅葉とスサノオがノメル草を小さいカゴに入れてやってきた。
レッドホーンラビットとロパープ、ノメル草を魔法袋にしまって、最後の依頼に取り掛かる事にした。
依頼書には、『ホリネスの森』と書いてあり手書きの地図まであった。地図には、森の近くにある依頼者の家まで描かれている。
「ここの真反対に近いな…。とりあえず、依頼者の家まで行くか。」
「では空からいきましょうか。」
「そうだね。」
武器になった3人を抱え、王都の上を高速で通過し、森と家を探した。
森はすぐに見つかり、その辺りに一軒だけ小さな家があった。
家の前に降り立ち、3人は変身を解いた。
「ここですかね…?」
「地図があってればここっぽいね。」
「なんというか…変な所に住んでいるな。」
紅葉の言う通り、ここは王都の外の貴族の領地なのかもしれないが、他に家は見当たらず、家の横にある畑で自給自足をしているようだった。
とりあえずドアをノックすると、1人の白髪の女の子が出てきた。歳はレイと同じか少し上くらいだろうか。
「…どちら様でしょうか?」
「えっと…これの依頼者さんですか?」
依頼書を見せると、少女は嬉しそうな泣きそうな顔になった。
「来てくれたんですね!良かったぁ…前にも何人か来たんですけど、みんな諦めて帰ってしまって。4人も来てくれて助かりました!」
「あの…あそこの『ホリネスの森』に本当に咲いてる花なんですよね?」
「もちろん、咲いてるって言われました!私も探すので必ず見つけましょう!」
「は、はぁ。」
「じゃあ出かける準備をするので待っててください!」
そう言って少女は家の中へ戻って行った。
「なんかすごいめんどくさい依頼受けちゃったかも。」
俺はこの先起こるであろう事を予想して、頭を悩ませた。
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