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第5章

第79話

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森の方に歩いていると、一枚の絵を渡された。絵には、ピンクのような紫のような色の花が描かれていた。

「これは?」

「それは私が聞いた事をもとに描いた絵です!ウレンゲの花といって、とても綺麗な花らしいですよ。」

「聞いたって誰にですか?」

「はっ!と、とりあえず探すの手伝ってください!」

頭に?が浮かんでいるレイ達をよそに、依頼人ーエリスは慌てて森の方に歩いて行った。

「何か事情でもあるんですかね?」

「なんだろうな…なんか隠すような感じだったな。」

溜息を吐きながら、俺たちはエリスの後を歩いて行った。


森の入り口で、エリスから詳しい話を聞いた。
それによると、花は滅多に見られる事はなくどこらへんにあるかもわからないらしい。
とりあえず、男性チームと女性チームにわかれて探すことにした。

この森は、魔物などはほとんど生息しておらず、人間に害を与える動植物はほぼいない。真ん中には小川が流れ、透き通った水は飲む事もできるらしい。
日差しが差し込み、森はエメラルドグリーンに輝いていた。



開始から1時間ほど経ったが、俺とスサノオチームの成果はなしだ。俺は、彼女の買い物に3時間くらい付き合わされた彼氏のようにへばっていた。ただ下を見て花を探しているだけなので、それ以上に辛い体験かもしれない。


「しっかし、ほんと見つかんないな。もうないんじゃねぇの?」

「主人殿がそう言いたくなるのもわかるが、まだ1時間しか経っていない。夕刻まであと2時間はある。」

「えーもう無理…。一回休憩しない?」

「主人殿は休んでいても良いぞ。私はいくらでも探せるのでな。」

「なんでそんな下見続けて飽きないの…?ハイキ○ーなら烏養コーチに怒られちゃうよ…。」

そんな俺の言葉を無視して、スサノオは下を見ながらうろうろしていた。



一方、その頃女性チームはー。

「エリスさん、これはなんと言う花ですか?」

「それは確か、サランの花ですね。花言葉は…あ、愛してる…ですよ。」

エリスは真っ赤になりながら、なんとか口に出した。

「そ、そんな素敵な言葉が…。これはマスターにあげなくてはですね。」

「おい、エリスとやら!こいつはなんじゃ?!」

「なんですか…いやぁぁぁあああ!!」

紅葉の手には、大きなカブトムシのような生き物が握られていた。

「そ、そんなもの近づけないでください!」

「そんなものとはなんじゃ!こんなにも逞しそうな見た目をしているのじゃぞ?!レイも喜ぶはずじゃ!」

「全く、本当にあなたは野蛮ですね。そんなのでマスターが喜ぶわけないでしょう?」

「妾はこの前花はあげたからな、今度は別のものをレイにあげるのじゃ!」

「はぁ…全く。あ、エリスさんあれはなんという花でしょう?」

「あれは…ティアモの花じゃないですか!すごい珍しいんですよ、あれ!花言葉はサランの花と同じような意味だったはずです!」

「そうなんですか?!あれもマスターに持っていかなければ!」

「お、今あっちの方に何か飛んで行ったぞ?!まてぇー!」

女性陣は当初の目的を忘れ、森の花や生き物に夢中になっていたのだった。
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